トランス脂肪酸とは 日本の表示ルールと「0g」の基準、WHO・FDAの動きまで整理

無添加トリビア

トランス脂肪酸とは 日本の表示ルールと「0g」の基準、WHO・FDAの動きまで整理

食品100gあたり(清涼飲料水などは100mlあたり)のトランス脂肪酸が0.3g未満なら、栄養成分表示に「0g」と書いてよい。これは消費者庁が2011年2月に公表した「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」の基準です。マーガリンやクッキーの袋にある「トランス脂肪酸 0g」は、厳密なゼロだけを意味する表示ではありません。しかも日本ではトランス脂肪酸の表示そのものが法律上の義務になっていないため、書かれていない商品も多くあります。

この記事では、トランス脂肪酸とは何か、日本人の摂取量の推定、表示のルールと「0g」「ゼロ」の条件、WHOとアメリカの動きを、消費者庁・食品安全委員会・WHO・FDAの公表資料をもとに整理します。危険か安全かを断定する記事ではなく、パッケージを読むための材料としてお使いください。

実際に利用した体験ではなく、公開されている情報にもとづく整理です。健康上の判断や治療について助言するものではありません。

トランス脂肪酸とは 脂質の構成成分のうち「トランス型」の二重結合を持つもの

トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。消費者庁の指針は、コーデックス委員会が採択した定義として「少なくとも1つ以上のメチレン基で隔てられたトランス型の非共役炭素-炭素二重結合を持つ単価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸のすべての幾何異性体」と書いています。言い換えると「脂肪酸の分子の形(二重結合のつき方)がトランス型のものの総称」です。

食品安全委員会のQ&Aでは、由来から大きく2つに分けています。

由来 できかた・含まれる食品 日本の指針での扱い
工業的に加工した植物油に由来するもの 液体の植物油に水素を加えて固める加工(水素添加)の過程などで生じる。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなど 天然由来と正確に区別して分析できないため、区別せず「トランス脂肪酸」として扱う
牛などの反すう動物に由来するもの 乳製品や肉に含まれる 同上。ただし由来となる原料が明らかな場合、その原料を表示してもよい

押さえておきたいのは、トランス脂肪酸は「特定の添加物の名前」ではなく、食品の脂質の中に含まれる成分の名前だという点です。原材料欄に「トランス脂肪酸」と書かれることはなく、栄養成分表示の欄で(表示されていれば)量が分かる位置づけです。「無添加」の文字とも直接の関係はありません。添加物を使っていない食品でも、乳製品や肉には天然由来のトランス脂肪酸が含まれます。

WHOのファクトシートは、植物油を高温で揚げ油として使うことでもトランス脂肪酸がわずかに増えると説明しています。加工油脂だけの話ではない点も覚えておくと、表示を読むときの見方が偏りません。

どんな食品に多いのか 食品安全委員会が調べた含有量

食品安全委員会は、2006年度(平成18年度)の調査事業で国内に流通していた食品のトランス脂肪酸を測っています。Q&Aに載っている当時の調査値は次のとおりです(試料数は品目により3〜29)。

食品 平均値(g/100g) 最大値 最小値
マーガリン・ファットスプレッド(市販品) 5.5 12.3 0.9
マーガリン・ファットスプレッド(業務用) 8.2 13.5 0.4
ショートニング 13.6 31.2 1.2
クッキー 1.9 3.8 0.2
パイ 4.8 7.3 0.4
半生ケーキ 1.8 3.0 0.2
コーン系スナック菓子 1.7 12.7 0.08
マヨネーズ 1.2 1.7 0.5
クリーム 3.0 12.5 0.01

この表を読むときの注意は2つあります。1つ目は値の幅が非常に大きいことです。同じマーガリンでも0.9〜12.3g、コーン系スナック菓子では0.08〜12.7gと、製品によって桁が違います。2つ目は十数年前の調査値で、現在の商品の値ではないことです。食品安全委員会のQ&Aには、2010年度(平成22年度)にマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングを検査したところ含有量は減少傾向だったという注記があります。この表から「今のこの商品には何g入っている」とは言えません。どの種類の食品で製品差が大きかったかを知る資料として読んでください。

ポイント トランス脂肪酸の量は「食品の種類」だけでは決まらず、製品ごと・原料や製法ごとに大きく違います。量を知りたいときは、その商品の栄養成分表示か、メーカーの公開情報を見るのが確実です。

日本人はどのくらい摂っているのか 平均値と「多い側の人」

トランス脂肪酸の1%未満をグラムに換算した図と、日本の平均摂取量・「0g」表示の基準

WHOは2003年に、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう勧告しています(原文は recommendation)。WHOの現在のファクトシートでは、成人に対して「総エネルギー摂取量の1%未満、2,000kcalの食事で2.2g/日未満」と説明されています。

日本人の摂取量について、食品安全委員会は2012年の評価で次のように推定しています。

指標 数値 読み方
平均摂取量 1人1日あたり0.67g(総エネルギーの約0.3%) WHOの1%未満を十分に下回る
全年齢の平均(男性/女性) 0.30% / 0.33% 年齢別では1〜6歳が最も高く、男性0.47%、女性0.46%
95パーセンタイル(摂取が多い側の上位5%の位置)全年齢 男性0.70%、女性0.75% 多い側でも全年齢の平均では1%に届かない
95パーセンタイル 1〜6歳 男性1.02%、女性0.99% 幼児の多い側では1%前後になる

食品安全委員会は、日本人の大多数はWHOの目標を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられるとしています。そのうえで、脂質に偏った食事をしている人は留意が必要で、トランス脂肪酸は人に不可欠なものではないためできるだけ少なく摂ることが望まれる、ただし脂質自体は大切な栄養素で極端な制限は健康に悪影響を与える、と述べています。同委員会のお知らせでは、エネルギー比での平均摂取量をアメリカ2.2%、日本0.3%と並べて示し、「トランス脂肪酸だけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮し、バランスの良い食事を心がけること」を呼びかけています。

消費者庁の2011年2月の指針には、日本人の平均摂取量が「総エネルギー摂取量の0.6%程度」という記載があり、若年層や女性などに1%を超える集団があるとの報告にも触れています。食品安全委員会の2012年の評価では約0.3%です。指針と評価書は時期も根拠資料も違うため、この記事では新しい評価書の数字を主に使い、指針の数字は当時の参考値として扱っています。なお指針は、WHOが2008年の報告書で1%未満という水準の見直しを課題にしていたことにも触れています。

自分の目安を計算してみる

WHOの「総エネルギーの1%未満」は、脂質1gを約9kcalとして換算すると、1日のエネルギー量ごとに次のグラムになります(簡易計算で、公的機関が示した表ではありません)。

1日のエネルギー量 1%にあたるエネルギー グラム換算の上限の目安
1,600kcal 16kcal 約1.8g
1,800kcal 18kcal 約2.0g
2,000kcal 20kcal 約2.2g
2,200kcal 22kcal 約2.4g

日本人の平均0.67gは、2,000kcalの場合の約3割にあたります。これは「ここまでなら摂ってよい」という許容量ではなく、WHOが上限として示した水準で、少ないほど望ましいという位置づけです。

健康との関係 何が言われていて、どこまで分かっているか

食品安全委員会のQ&Aでは、諸外国の研究結果として、トランス脂肪酸の過剰摂取は冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)を増加させる可能性が高いとされています。肥満やアレルギー性疾患、妊産婦・胎児への影響についても、関連が報告された研究があります。

ただし同じQ&Aは、こうした研究結果は「平均的な日本人よりも相当程度多いケース」の結果であり、平均的な日本人の摂取量ではこれらの疾患リスクとの関連は明らかではないとも書いています。例として、アメリカで摂取量の上位20%の群(5.04g/日)と下位20%の群(0.84g/日)を比べ、心筋梗塞の危険度が前者は後者の1.94倍だった研究が挙げられています。日本人の平均0.67g/日は、この上位群の5.04gとは大きな差があります。

WHOは、工業的に作られたトランス脂肪酸と反すう動物由来のトランス脂肪酸のどちらも同様に有害だと説明しています。日本の指針は、両者を分析上区別できないため区別せずに扱う立場です。どちらの資料も、由来にかかわらず「量を増やさない」方向の情報として読めます。

もう1つの論点が飽和脂肪酸です。食品安全委員会は、食品中のトランス脂肪酸を減らすと飽和脂肪酸の含有量が増える傾向があること、飽和脂肪酸の摂取目標量の上限(エネルギー比7%)を超えている性・年齢階級があることを指摘しています。「トランス脂肪酸を減らした」という一点だけで食品を選ぶと、脂質全体のバランスを見落としかねません。

日本の表示ルール 義務ではなく、指針にもとづく任意表示

現在の栄養成分表示は食品表示基準にもとづきます。消費者庁の説明では、表示が義務なのは熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)で、飽和脂肪酸と食物繊維は「推奨」です。トランス脂肪酸は義務にも推奨にも入っておらず、2011年2月に消費者庁が公表した「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」にもとづき、事業者が自主的に表示する形です。指針は、飽和脂肪酸やコレステロールには当時の健康増進法にもとづく基準があった一方、トランス脂肪酸には表示のルールがなかったことを背景に、事業者へ情報の自主的な開示を要請するものです。なお指針は当時の「栄養表示基準」を前提に書かれています。

項目 指針の内容
表示の名称 「トランス脂肪酸」。栄養成分表示の枠内に表示する
一緒に表示するもの 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウムに加え、飽和脂肪酸とコレステロール
表示の順番 一般表示事項のあとに、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの順
単位 100g・100ml、または1食分・1包装など1単位あたりのグラム(g)
誤差の範囲 表示値に対してプラス20%まで(下限は設けない)
分析方法 AOCS Ce1h-05 または AOAC 996.06、あるいは同等の性能の方法。必ず分析する必要はないが、表示値が正確であることを示す合理的な根拠が必要

誤差の範囲が「プラス20%」というのは、たとえば表示が1.0gなら実際の値は1.2gまでありえる、という意味です。マイナス側に制限がないので、表示より少ない分には問題になりません。指針は下限を設けない理由を、1日摂取目安量を設定する根拠が明確でないためと説明しています。

「0g」と書ける基準と、「含まない」と強調できる条件

指針は、0gと表示できるのは原則としてトランス脂肪酸が含まれない場合に限る、としたうえで、食品100gあたり(清涼飲料水などは100mlあたり)のトランス脂肪酸が0.3g未満なら、0gと表示してもよいとしています。食品安全委員会のQ&Aによると、この扱いは栄養表示基準でほかの成分に0表示が認められていることを踏まえたもので、ゼロ表示の制度自体はコーデックスでも国際的に認められています。つまり「0g」は厳密なゼロではなく「0.3g/100g未満」を含みます。

さらに、「無」「ゼロ」「ノン」「フリー」といった「含まない旨」の強調表示は、次の2つの条件を両方満たす場合に限られます。

条件 基準
ア トランス脂肪酸の量 100gあたり(清涼飲料水等は100mlあたり)0.3g未満
イ 飽和脂肪酸の量(どちらか) 100gあたり1.5g(清涼飲料水等は100mlあたり0.75g)未満、または熱量のうち飽和脂肪酸由来が10%未満

イがあることで、トランス脂肪酸を減らした代わりに飽和脂肪酸が多くなった食品は「ゼロ」を名乗りにくくなっています。強調表示をするときは、飽和脂肪酸とコレステロールも表示しなければなりません。「減らした」旨の表示は、比較する食品名と低減量(または割合)を示す必要があります。ゼロ・ノンの表示全般は「ゼロ」「ノンシュガー」「糖質オフ」の表示ルールでも整理しています。

指針には、諸外国の0表示ルールの例も載っています。基準を「100gあたり」で決める国と「1食あたり」で決める国があり、輸入食品の表示を見るときの参考になります。

国・地域 0と表示できる基準
日本(指針) 100gあたり0.3g未満(清涼飲料水等は100mlあたり)
台湾 100gあたり0.3g未満
香港 100gあたり0.3g以下
アルゼンチン・韓国 1食あたり0.2g未満
注意 「トランス脂肪酸 0g」と書いてあっても、0.3g/100g未満までは含まれている可能性があります。1食の量が少なければ実際に口に入る量は小さくなりますが、まとめて食べる食品では積み上がります。また表示自体が任意なので、書かれていない商品が「多い」「少ない」のどちらかだとも言えません。

簡単な試算 マーガリンを塗ったとき、どのくらいか

先ほどの食品安全委員会の表(2006年度調査)の平均値を使い、パンに塗る量を10gとして試算すると次のようになります。量の感覚をつかむための例で、現在の市販品の値ではありません。

食品(10g使用) 当時の平均値(g/100g) 10gあたりの目安
マーガリン・ファットスプレッド(市販品) 5.5 約0.55g
ショートニング 13.6 約1.36g

2,000kcalの1%(約2.2g)と並べると、当時の平均値でマーガリン10gなら約0.55gで1日の目安の4分の1程度、ショートニング10gなら約1.36gで6割程度になる計算です。実際の商品はその後の低減の取り組みで変わっている可能性があります。試算の数字そのものより、同じ種類でも銘柄で大きく違うという点を覚えておくと役に立ちます。

海外の動き WHOとアメリカ

諸外国では、日本よりも強い形で規制が進んでいます。食品安全委員会のQ&Aも、諸外国ではトランス脂肪酸の摂取量がWHOの目標を超えていることが多く、様々な対策を導入してきたと説明しています。

機関・国 内容 出典・時点
WHO 2018年に、工業的に作られたトランス脂肪酸を食品供給から排除する行動パッケージ「REPLACE」を開始。2023年末までの排除を目指したが、達成はできなかった。最良の政策は、①全食品で総脂質100gあたり工業由来トランス脂肪酸2g以下の義務的な上限、②部分水素添加油脂の生産・使用の義務的な禁止、の2つ WHOファクトシート、WHO発表(2023年1月、2024年1月)
WHO(進捗) 最良政策が施行されている国は53か国で、37億人(世界人口の46%)をカバー。デンマーク、リトアニア、ポーランド、サウジアラビア、タイが、排除の進捗を認める証明書を初めて受けた。新たに2025年までの実質的な排除という目標案を示した。1年前の2023年1月の発表では43か国・28億人だった WHO発表(2024年1月29日時点)
アメリカ(FDA) 2015年6月に、部分水素添加油脂(PHO)はGRAS(一般に安全と認められる)ではないとの最終決定(連邦官報への掲載は2015年6月17日付)。遵守期限は2018年6月18日で、その後の延長を経て、一部の用途では2021年1月1日が最終的な期限になった FDA(連邦官報、2018年5月21日)

食品安全委員会は、このFDAの規制の対象はトランス脂肪酸ではなく部分水素添加油脂(マーガリンやショートニング等の原料)で、内容も使用禁止ではない(GRASから外し、使う場合は個別の承認が必要になる)と説明しています。規制の対象が部分水素添加油脂なので、乳製品や肉にもともと含まれるトランス脂肪酸を対象にしたものではありません。

日本については、今回確認できた範囲では、トランス脂肪酸の含有量に上限を設ける法的な規制の資料は見つかりませんでした。日本の現状は、消費者庁の指針にもとづく事業者の自主的な情報開示と、食品安全委員会が「日本人の平均摂取量は目標を下回る」と評価した状況、と整理できます。

店頭での確認手順

  1. 栄養成分表示の欄に「トランス脂肪酸」があるかを見る(任意なので、無い商品も多い)
  2. ある場合は、100gあたりか1食分あたりかを確認し、食べる量に直して考える
  3. 「0g」「ゼロ」の表示は、100gあたり0.3g未満までを含むと理解しておく
  4. 表示がない場合、原材料名に「マーガリン」「ショートニング」「ファットスプレッド」「加工油脂」が入っているかを確認する(入っているから多い、とは言えないが、量を確かめる手がかりになる)
  5. トランス脂肪酸が表示されていれば、すぐ上の飽和脂肪酸の量も一緒に見る
  6. 気になる場合は、メーカーのホームページや問い合わせ窓口で含有量と分析方法を確認する(指針は、事業者のホームページ等で分析方法を示すことを求めている)
  7. 幼児や、医師から食事の指示を受けている人は、自己判断ではなく医師や管理栄養士に相談する

原材料欄の読み方は原材料表示、どこから読めばいいのか迷ったときの見方、パンの乳化剤・イーストフードの表示は無添加のパンを選ぶ、外食や中食での考え方は外食・中食で添加物を減らす工夫にまとめています。

「無添加」との関係

「無添加」は法律で定義された言葉ではなく、消費者庁は2022年3月に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表し、何を使っていないか分からない「無添加」などの表示を、誤解を招くおそれのある類型として整理しました(考え方は「無添加」の表示には決まりがあるで解説)。トランス脂肪酸は添加物の種類ではなく脂質の成分なので、「無添加」と書いてあることは、トランス脂肪酸が少ないことを意味しません。反対に「トランス脂肪酸ゼロ」と書いてあることは、添加物が使われていないことを意味しません。この2つは別の軸です。添加物の役割を全体から見たいときは保存料・着色料・化学調味料、それぞれ何のために使われているのかが入口になります。

よくある質問

トランス脂肪酸の表示は義務ですか

日本では義務ではありません。食品表示基準で義務なのは、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)です。トランス脂肪酸は、消費者庁の指針にもとづいて事業者が自主的に表示します。表示する場合は、飽和脂肪酸とコレステロールも併せて表示することが求められています。

「トランス脂肪酸0g」なら本当にゼロですか

厳密なゼロとは限りません。指針では、100gあたり(清涼飲料水などは100mlあたり)0.3g未満なら0gと表示してもよいとされています。「ゼロ」「ノン」などの強調表示は、これに加えて飽和脂肪酸の量にも条件があります。

日本ではトランス脂肪酸は規制されていないのですか

今回確認できた資料の範囲では、含有量に法的な上限を設ける規制は見つかりませんでした。食品安全委員会は、日本人の平均摂取量がWHOの目標を下回ることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられるとしています。ただし、脂質に偏った食事の人は留意が必要とも述べています。

バターや牛乳にもトランス脂肪酸は入っていますか

牛などの反すう動物に由来するトランス脂肪酸が、乳製品や肉に含まれるとされています。日本の指針は、天然由来と工業由来を正確に区別して分析できないため、区別せずに扱っています。WHOは、どちらも同様に有害だと説明しています。

マーガリンは全部トランス脂肪酸が多いのですか

一概には言えません。2006年度の調査でも市販のマーガリン・ファットスプレッドは0.9〜12.3g/100gと幅があり、2010年度の検査では減少傾向が認められたとされています。銘柄ごとの栄養成分表示やメーカーの公開情報で確認するのが確実です。

子どもは特に気をつけるべきですか

食品安全委員会の推定では、1〜6歳は平均値も95パーセンタイル値も他の年齢層より高く、多い側の幼児では1%前後になります。ただし、これは統計上の推定で、個々のお子さんの状況を示すものではありません。離乳食や幼児食は、小児科医や管理栄養士にご相談ください。ベビーフードの選び方は無添加ベビーフードとは?にまとめています。

トランス脂肪酸を減らした食品なら脂質の心配はいりませんか

そうとは限りません。食品安全委員会は、食品中のトランス脂肪酸を減らすと飽和脂肪酸が増える傾向があると指摘しています。指針が「ゼロ」などの強調表示に飽和脂肪酸の条件を設けているのもこのためです。飽和脂肪酸の量も並べて確認すると判断しやすくなります。

揚げ物でもトランス脂肪酸はできますか

WHOのファクトシートは、油を高温で揚げると、トランス脂肪酸がわずかに増えると説明しています。量は油の種類や使い方で変わり、この記事で確認した資料に具体的な数値はありません。

輸入食品の「0」表示も日本と同じ基準ですか

国によって違います。消費者庁の指針に載っている例では、台湾は100gあたり0.3g未満、香港は100gあたり0.3g以下、アルゼンチンや韓国は1食あたり0.2g未満です。日本向けに表示し直された商品は日本のルールに沿いますが、海外の表示をそのまま見るときは基準の単位に気をつけてください。

まとめ

トランス脂肪酸は添加物ではなく脂質の成分で、工業的な油脂加工に由来するものと、乳製品・肉に含まれる天然由来のものがあります。日本では含有量の表示は法律上の義務ではなく、消費者庁の2011年の指針にもとづく事業者の自主的な情報開示で、「0g」は100gあたり0.3g未満を含みます。食品安全委員会は、日本人の平均摂取量(約0.3%、1日0.67g)はWHOの1%未満を下回り、通常の食生活では影響は小さいと考えられるとしつつ、脂質に偏った食事の人は留意が必要としています。WHOは53か国(2024年1月時点)で最良政策が施行されたと発表し、アメリカは部分水素添加油脂をGRASから外しました。パッケージでは、栄養成分表示の有無、100gあたりか1食分あたりか、「0g」の意味、この3点を押さえておくと読み違えにくくなります。関連して、原材料欄の加工でん粉を整理した加工でん粉とはも、併せて読むと表示の見方が広がります。

出典(いずれも2026年10月4日確認)

  • 消費者庁「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について」(平成23年2月21日)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/trans_fatty_acid/pdf/syokuhin505.pdf
  • 消費者庁「栄養成分表示」https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/
  • 食品安全委員会「『食品に含まれるトランス脂肪酸』評価書に関するQ&A」https://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/iinkai422_trans-sibosan_qa.pdf
  • 食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価について」(平成27年6月19日更新)https://www.fsc.go.jp/osirase/trans_fat.html
  • 食品安全委員会「Q&A詳細 トランス脂肪酸の表示について②」(2011年3月29日公表)https://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07017000070
  • WHO「Trans fat」ファクトシート https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/trans-fat
  • WHO「Five billion people unprotected from trans fat leading to heart disease」(2023年1月23日)https://www.who.int/news/item/23-01-2023-five-billion-people-unprotected-from-trans-fat-leading-to-heart-disease
  • WHO「WHO awards countries for progress in eliminating industrially produced trans fats for first time」(2024年1月29日)https://www.who.int/news/item/29-01-2024-who-awards-countries-for-progress-in-eliminating-industrially-produced-trans-fats-for-first-time
  • 米国FDA(Federal Register)「Final Determination Regarding Partially Hydrogenated Oils」(2018年5月21日)https://www.federalregister.gov/documents/2018/05/21/2018-10714/final-determination-regarding-partially-hydrogenated-oils

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