「ゼロ」「ノンシュガー」「糖質オフ」の表示ルールと人工甘味料 基準値を整理

無添加トリビア

「ゼロ」「ノンシュガー」「糖質オフ」の表示ルールと人工甘味料 基準値を整理

「カロリーゼロ」は、食品表示基準の別表第十三で、食品100g当たり(飲用の液状食品は100ml当たり)5kcalに「満たない」場合に使える表示です。つまり4kcal台でも「ゼロ」と書けます。「ノンシュガー」も同じ仕組みで、糖類が0.5g未満であれば表示できます。

この記事では、「ゼロ」「オフ」といった表示が何を基準に使えるのかと、人工甘味料がどう規制され評価されているのかを、公表されている制度と資料にもとづいて整理します。健康上の判断や治療の助言ではなく、表示の読み方を確認するための記事です。

「ゼロ」「ノン」「オフ」は、栄養強調表示というルールで決まっている

栄養強調表示の「含まない旨」と「低い旨」の基準値の図

食品の栄養成分について「含まない」「低い」などを強調して表示することは、食品表示基準の栄養強調表示として決まりがあります。消費者庁のガイドラインでは、「無○○」「○○ゼロ」「ノン○○」などが含まない旨の表示、「低○○」「○○ひかえめ」「○○ライト」「○○少」などが低い旨の表示の例として挙げられています。「減塩」「ノンシュガー」のように、塩・シュガー・脂肪・糖といった言い方にもこの規定が適用されます。

対象になる栄養成分は、熱量(カロリー)・脂質・飽和脂肪酸・コレステロール・糖類・ナトリウムの6つです。含まない旨は基準値「未満」、低い旨は基準値「以下」で表示できます。基準値は食品100g当たりで、括弧書きの100ml当たりの値は「一般に飲用に供する液状の食品」にだけ使われます。

栄養成分 含まない旨(ゼロ・ノンなど) 低い旨(低・ひかえめなど)
熱量 5kcal未満 固形40kcal以下/飲料20kcal以下
脂質 0.5g未満 固形3g以下/飲料1.5g以下
飽和脂肪酸 0.1g未満 固形1.5g以下/飲料0.75g以下(熱量のうち飽和脂肪酸由来が10%以下のものに限る)
コレステロール 5mg未満(飽和脂肪酸の量にも条件あり) 固形20mg以下/飲料10mg以下(同左)
糖類 0.5g未満 固形5g以下/飲料2.5g以下
ナトリウム 5mg未満 120mg以下
「ゼロ」は完全なゼロとは限らない 「カロリーゼロ」の飲料は、100ml当たり5kcal未満であれば表示できます。基準値に満たない量までは含まれていてよいというルールなので、たくさん飲めばその分の熱量や糖類は摂ることになります。

「糖類ゼロ」と「糖質ゼロ」は別のものとして扱われる

売り場で特に混同しやすいのがこの2つです。食品表示基準上の「糖類」は単糖類と二糖類に限られ、糖アルコールは含みません。「糖質」は食品の質量からたんぱく質・脂質・食物繊維・灰分・水分を差し引いて算定するもので、炭水化物から食物繊維を除いた部分にあたります。でんぷんや糖アルコールも入る、より広い範囲です。

表示 対象 制度上の扱い
糖類ゼロ・ノンシュガー・シュガーレス 単糖類・二糖類(糖アルコールは含まない) 栄養強調表示の基準あり。100g(飲料は100ml)当たり0.5g未満
糖質ゼロ・糖質オフ 炭水化物から食物繊維を除いたもの 栄養強調表示の基準値表に糖質の行はなく、食品表示基準に数値基準がない
砂糖不使用・糖類無添加 添加した糖類 別の規定(無添加強調表示)。4つの条件がある

「糖類ゼロ」の商品でも、でんぷんや糖アルコールを含んでいて糖質はゼロではないことがあり得ます。栄養成分表示で糖質か食物繊維のどちらかを書く場合は、炭水化物の内訳として両方を書くことになっています。糖質を控えたいときは「ゼロ」の文字より、炭水化物の内訳欄を見る方が確実です。

「砂糖不使用」「無添加」は、含まない旨の表示とは別の扱い 糖類の無添加を表示するには、いかなる糖類も添加していないこと、糖類に代わる原材料や添加物を使っていないこと、酵素分解などで糖類含有量が原材料と添加物に含まれていた量を超えていないこと、糖類の含有量を表示していることが条件です。原材料そのものに含まれる糖類は、砂糖不使用でも入っていることがあります。

人工甘味料とは、制度上どういう位置づけか

「人工甘味料」は一般に合成で作られた甘味料を指す通称で、制度上は食品添加物の「甘味料」にあたります。甘味料は食品に甘みを与える添加物で、アスパルテームやキシリトールが例に挙げられています。食品添加物ごとに、健康への悪影響がないとされる一日摂取許容量(ADI)が設定されます。

名称 ADI(体重1kg当たり1日) ADIの設定 推定摂取量のADI比(令和元年度調査)
アスパルテーム 40mgまで JECFA 0.00%
アセスルファムカリウム 15mgまで JECFA 0.20%
スクラロース 15mgまで JECFA 0.09%

この3品目のADIは、厚生労働省の資料ではJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)が設定したものとされています。同じ資料で、アドバンテーム・サッカリン・ネオテームのADIは内閣府食品安全委員会が設定したものです。

厚生労働省の令和元年度の調査では、ADIが設定されている甘味料の推定摂取量はいずれもADIを大きく下回っていました。ただしこの値は20歳以上の喫食量から調製した試料をもとに算出した参考データです。

原材料表示では、どう書かれるのか

甘味料は、原材料名の欄で物質名に用途名を併記するルールがあります。食品添加物は物質名で書くのが原則で、一般に広く使われている簡略名で書かれることもあります。アスパルテームを含む食品には、食品表示基準で「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示が求められています。

「砂糖不使用」と書いてあっても甘味料が使われている場合があるので、原材料名の欄で確認することになります。表記が分かりにくいときは、パッケージの表示責任者に問い合わせる方法もあります。原材料表示の読み方は原材料表示、どこから読めばいいのかでも触れています。

2023年に出た2つの発表を分けて読む

人工甘味料は、2023年に国際機関の発表が相次ぎました。内容は別々です。

  • WHOのガイドライン(2023年5月15日) 体重管理や非感染性疾患のリスク低減を目的に、砂糖以外の甘味料を使うことは勧めないという内容です。大人にも子どもにも長期的な体脂肪減少の利益が確認できないことが理由で、すでに糖尿病のある人は対象から外れています
  • IARCとJECFAの発表(2023年7月14日) IARC(国際がん研究機関)はアスパルテームを「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」グループ2Bに分類しました。同じ日にJECFAは、ADIを体重1kg当たり40mgとする評価を維持しています

IARCの分類は発がん性の証拠の強さを整理するもので、ADIは摂取量の目安を示すものです。WHOのガイドラインは、減量の手段として甘味料に頼ることに慎重な立場です。摂るかどうかは個人の状況によって違うので、体質や持病がある場合は医師や管理栄養士に相談してください。

「人工甘味料不使用」表示とのつながり

「人工甘味料不使用」「甘味料不使用」といった表示は、食品添加物の不使用表示にあたります。消費者庁は2022年3月30日に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表し、食品表示基準第9条の表示禁止事項に該当するおそれが高い表示を10類型に整理しました。ガイドラインは不使用表示を一律に禁止するものではありません。見直しの経過措置は2024年3月末まででした。

消費者庁の啓発資料では、「甘味料不使用」は甘味料と似た働きを持つ原材料や添加物(カンゾウ抽出物など)も使っていない場合に表示できる、という例が示されています。詳しくは「無添加」の表示には決まりがある、という話や、法的根拠の一覧で整理しています。

ジュースの「果汁100%」「濃縮還元」の違いはジュース・飲料の無添加表示、保存料や着色料の役割は保存料・着色料・化学調味料、それぞれ何のために使われているのかで扱っています。

選ぶときに確認したいポイント

  1. 「ゼロ」がどの成分についてなのかを見る(熱量か、糖類か、糖質か)
  2. 栄養成分表示の数値を見る。「ゼロ」でも基準値未満の量は入っている
  3. 糖質を見たいときは、炭水化物の内訳欄を確認する
  4. 原材料名の欄で、甘味料の有無と用途名の併記を確認する
  5. 「糖質オフ」「糖質ゼロ」には食品表示基準の数値基準がないことを知っておく
  6. 持病がある場合は、L-フェニルアラニン化合物の表示など自分に関わる表示を特に確認する

よくある質問

カロリーゼロなら、本当にカロリーは0kcalですか

いいえ。100g(飲料は100ml)当たり5kcal未満であれば「ゼロ」と表示できます。栄養成分表示の熱量欄で実際の数値を確認できます。

糖類ゼロと糖質ゼロは、どちらが厳しい表示ですか

対象範囲は糖質の方が広く、糖類は単糖類・二糖類だけです。ただし糖類ゼロには食品表示基準の数値基準があり、糖質ゼロにはありません。制度上の縛りがあるのは糖類の方です。

ノンシュガーとシュガーレスは、砂糖が入っていないという意味ですか

糖類に係る「含まない旨」の基準が適用されるので、糖類が100g(100ml)当たり0.5g未満という意味です。砂糖だけでなく、ブドウ糖や果糖なども含めた糖類の量についての基準です。

人工甘味料は法律で禁止されていますか

禁止されていません。食品添加物の甘味料として、基準にしたがって使われています。アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースにはJECFAが設定したADIがあります。

アスパルテームの表示にフェニルアラニンと書かれているのはなぜですか

食品表示基準で、アスパルテームを含む食品には「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」を表示するよう定められているためです。自分に関係があるか気になる場合は、医師や管理栄養士に確認してください。

「砂糖不使用」の食品は、糖類を含みませんか

含まないとは限りません。条件は糖類を添加していないことなどで、原材料にもともと含まれる糖類は入っていることがあります。糖類無添加の表示には糖類の含有量の表示が条件になっているので、その数値で確認できます。

「減塩」も栄養強調表示のルールの対象ですか

はい。消費者庁のガイドラインでは、「減塩」や「ノンシュガー」のように塩・シュガー・脂肪・糖といった表現にも栄養強調表示の規定が適用されるとしています。

「甘味料不使用」と書かれていれば、甘味のある添加物は何も使われていませんか

消費者庁の啓発資料では、甘味料と似た働きを持つ原材料や添加物(カンゾウ抽出物など)も使っていない場合に「甘味料不使用」と表示できる例が示されています。実際の中身は原材料名の欄で確認できます。

「摂取量はADIを大きく下回る」という調査は、子どもにも当てはまりますか

厚生労働省の令和元年度の調査は、20歳以上の喫食量から調製した試料をもとにした参考データです。年齢層別の値もこの成人の喫食量がもとになっている点に注意が必要です。

まとめ

「ゼロ」「ノン」は、熱量・脂質・糖類などについて100g(飲料は100ml)当たりの基準値未満であることを示す表示で、完全な0を意味しません。「糖類」には数値基準があり、「糖質」には食品表示基準の数値基準がありません。人工甘味料は食品添加物の甘味料として基準のもとで使われ、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースにはJECFAが設定したADIがあります。2023年のWHOの発表とIARC・JECFAの発表は内容が別々です。表示の言葉を見たあとは、栄養成分表示と原材料名の欄で中身を確かめるのが確実です。

出典(確認日はいずれも2026年10月4日)

  • 消費者庁「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/business/assets/food_labeling_cms206_261001_01.pdf
  • e-Gov法令検索「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010
  • 厚生労働省「食品添加物 消費者向けQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/qa_shohisya.html
  • 厚生労働省「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会報告(令和2年10月14日、甘味料の一日摂取量調査)」(PDF) https://www.mhlw.go.jp/content/000920072.pdf
  • WHO「WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control」(2023年5月15日) https://www.who.int/news/item/15-05-2023-who-advises-not-to-use-non-sugar-sweeteners-for-weight-control-in-newly-released-guideline
  • IARC「Aspartame hazard and risk assessment results released」(2023年7月14日) https://www.iarc.who.int/news-events/aspartame-hazard-and-risk-assessment-results-released/
  • 消費者庁「表示を作成する際に注意すべき10類型」(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_220701_03.pdf
  • 消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_260401_04.pdf
  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」啓発資料(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_221122_01.pdf
  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日、PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf

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