小さな白い器に入れたにんじんとかぼちゃのペーストと木のスプーンのイメージ

無添加宅食

無添加ベビーフードとは?市販品の選び方と手作りとの使い分け

日本ベビーフード協議会の「ベビーフード自主規格」は、乳児向けベビーフードのナトリウムを摂食時100gあたり200mg以下と定めています。塩分にすると約0.5%以下で、協議会はお味噌汁を半分に薄めたくらいの味を目安に挙げています。現行の規格は2024年9月発行の第Ⅵ版です。

「無添加」と書かれたベビーフードを選ぶときも、まずこうした業界の規格と、消費者庁の不使用表示のガイドラインを押さえておくと表示を読みやすくなります。この記事では、消費者庁・日本ベビーフード協議会・国民生活センターの公開情報にもとづいて、無添加表示の見方と選び方のポイントを整理します。

ベビーフードは、お子さんの月齢・発達段階やアレルギーの有無によって適したものが異なります。離乳食の進め方や、特定の食材を与える時期については、自己判断せず、かかりつけの小児科医・お住まいの保健センター・管理栄養士に相談してください。

ベビーフードの「無添加」表示とは

ベビーフードも加工食品として、消費者庁が2022年3月に策定した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の対象です。ガイドラインは注意が必要な不使用表示を10の類型に分け、単なる「無添加」を類型1としています。そのうえで各類型のなかから、食品表示基準の表示禁止事項に該当するおそれが高い表示の例を示しました。不使用表示を一律に禁止するものではありません。事業者には2024年3月末までの2年程度で表示の見直しが求められました(「無添加」の表示には決まりがある、という話)。

たとえば、日持ちをよくする目的で保存料以外の添加物を使っている食品に「保存料不使用」と書くと、優良誤認のおそれがある例として挙げられています。「無添加」の表示だけでは中身は分からないため、具体的にどの添加物を使っていないのかをパッケージや公式サイトで確認するのが基本です。

ベビーフード自主規格で決まっていること

自主規格は法律ではなく、日本ベビーフード協議会が会員企業に守るよう指導している業界の規格です。「ベビーフード」と表示して販売するすべての食品に適用するとされています。主な取り決めを表にまとめました。

項目 自主規格の内容
年齢区分 乳児は1歳未満、幼児は1歳から1歳6か月頃まで
ナトリウム(摂食時) 乳児向け100gあたり200mg以下(塩分約0.5%以下)、幼児向け300mg以下(塩分約0.7%以下)。果実類への食塩の添加は認めない
はちみつ 乳児が食べるベビーフードには使わない
食品添加物 必要不可欠な場合に限り最小限。使えるのは「ベビーフード添加物リスト」に載っているものだけ
形態の定義 ウエットタイプはレトルトパウチや瓶などに密封して殺菌したもの。ドライタイプは噴霧乾燥や真空凍結乾燥などで乾燥したもの(第Ⅵ版で加熱調理を前提とするものも定義に加わった)

ナトリウムの値は、お湯で溶かしたり調理したりした後の「食べる状態」での数字です。粉末やフリーズドライのパッケージにある栄養成分表示と比べるときは、その違いに気をつけてください。

「乳児用規格適用食品」の表示は放射性物質の規格

食品衛生法に基づく放射性物質の基準は、一般食品が100Bq/kg、乳児用食品が50Bq/kgです。乳児用食品の基準が適用される食品には、食品表示基準で「乳児用規格適用食品」である旨の表示が義務付けられています。ただし育児用ミルクのほか、月齢を表記したベビーフード、ベビー飲料、ベビーおやつは、乳児用食品であることが容易に分かるため、この表示の省略が認められています。月齢の表記がないベビーフードまで一律に省略できるわけではありません。

国民生活センターの調査では、この表示を固さや大きさ、アレルギー、栄養面の基準と受け取っている消費者が多いことが分かりました。協議会も、この用語は放射性物質の規格を説明するもので、味や物性の規格を表すものではないとしています。

市販ベビーフードに使われる添加物

協議会の会員企業の商品で使える添加物は「ベビーフード添加物リスト」(2024年9月2日現在)で決められています。リストに載っている主な用途と例は次のとおりです。

用途 リストにある例
増粘剤 加工デンプン(アセチル化アジピン酸架橋デンプンなど)。製品に残る量は合計で5%を超えてはならない
安定剤 カロブビーンガム、キサンタンガム、グアガムなど
乳化剤 ショ糖脂肪酸エステル
酸化防止剤 L-アスコルビン酸など
酸味料 クエン酸
調味料 クエン酸三ナトリウムのみ

香料・着色料

風味を補ったり見た目を整えたりする目的で一般の食品に使われることがある添加物です。ベビーフード添加物リストには、香料や着色料の名前は出てきません。協議会の会員企業以外の商品もあるため、気になる場合は原材料表示を確認してください。

増粘剤

とろみをつけて飲み込みやすくする目的で使われることがあります。月齢の低い赤ちゃんにとって、とろみは食べやすさの工夫として意味を持ちます。リストでは加工デンプンの残存量に上限があり、原材料表示でどの成分が使われているかを確認できます。

調味料(アミノ酸等)

うま味を補う目的で一般の食品に使われることがある成分です。ベビーフード添加物リストの調味料の欄はクエン酸三ナトリウムだけで、アミノ酸系の調味料は載っていません。なお、加工助剤とキャリーオーバーに当たるものは、自主規格の添加物の制限の対象外とされています。

保存料について、協議会のQ&Aは、瓶詰やレトルト食品は密封してから高温高圧で加熱殺菌しているので常温で長期保存ができ、保存料や殺菌料は使用していないと説明しています。

ベビーフードの種類

市販のベビーフードには、主に次のようなタイプがあります。

レトルトタイプ

常温で長期保存でき、開封してそのまま、または温めてすぐに使えるタイプです。外出先や旅行時にも扱いやすく、常備しておきやすいタイプです。

冷凍タイプ

食材を調理して冷凍した商品で、使う分だけ解凍できるものがあります。自主規格のウエットタイプ・ドライタイプの定義には含まれていないため、表示や保存条件は商品ごとに確認が必要です。

フリーズドライタイプ

お湯で溶かすだけで使え、軽量でかさばらないため持ち運びに向いています。自主規格では真空凍結乾燥などで乾燥した「ドライタイプ」にあたります。

形態ごとの違いを比べる

形態 自主規格上の区分 持ち運び 保存
瓶詰 ウエットタイプ 重くかさばる 常温、開封後は使い切り
レトルトパウチ ウエットタイプ 軽く外出向き 常温、開封後は使い切り
カップ・トレー入り 密封・殺菌したものはウエットタイプ 容器のまま食べられる 常温
粉末・フリーズドライ ドライタイプ 最も軽い 常温、開封後は早めに
冷凍宅配 どちらの類型にも含まれない 持ち歩けない 要冷凍、扱いは商品の表示に従う

「ベビーフード」と表示していない宅配の幼児食は、自主規格の適用範囲から外れることもあります。対象月齢や価格は商品ごとに違うので、パッケージの表示で確認してください。協議会のQ&Aでは、開封後の冷蔵・冷凍保管は風味や食感が変わるためすすめておらず、使い切りが基本とされています。持ち運びやすさと保存のしやすさは両立しにくいので、外出用と自宅用で形態を分けておくと使い分けやすくなります。

月齢による進み方の違い

市販のベビーフードの対象月齢は、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に沿って設定されていると協議会は説明しています。離乳食の段階は、一般にゴックン期・モグモグ期・カミカミ期・パクパク期のように呼ばれることがあり、なめらかにすりつぶした状態から、次第に粒や形を残した状態へと進みます。各段階の月齢は、支援ガイドの原文やパッケージの表示で確認してください。

成長のペースには個人差があるため、月齢表示は目安として捉え、子どもの咀嚼や飲み込みの様子を見ながら商品を選びます。協議会のQ&Aでは、対象月齢より大きい子が食べるのは差し支えない一方、対象月齢より小さい子にはあげないよう案内しています。

BLW(赤ちゃん主導の離乳)との関係

すりつぶした食事を親が与えるのではなく、赤ちゃんが手づかみで食べ物を持ち、自分のペースで食べ進める「BLW(Baby Led Weaning)」という考え方もあります。BLWでは食材そのものの形を活かした調理が中心になるため、手作りの割合が高くなりやすい方法です。取り入れるかどうかにかかわらず、月齢に応じた大きさ・硬さになっているかを確認する視点は共通しています。進め方はかかりつけ医や保健センターに相談してください。

手作りと市販品、どう使い分けるか

手作りの離乳食は、使う食材や味付けを自分で把握できる一方、毎回の下ごしらえや裏ごしなどに時間がかかります。市販のベビーフードは、忙しい時間帯や外出時、体調が優れない日の負担を減らす手段になります。平日は市販品、時間のある休日は手作りというように、家庭の状況に合わせて組み合わせても構いません。

市販品を使うことを「手抜き」と感じる必要はありません。協議会の会員企業の商品であれば、塩分や使える添加物について自主規格の範囲で作られています。ただし協議会は、ベビーフード1袋が1食分として設計されていないものもあり、商品によっては1回の食事に十分ではないとも説明しています。量が足りるかどうかは表示と子どもの様子を見て判断してください。

選び方のポイント

ベビーフードを選ぶ際に確認しておきたいポイントを整理します。

  • 対象月齢の表示が、子どもの発達段階に合っているか
  • アレルギー表示(卵・乳・小麦など特定原材料)が、家庭で確認している内容と一致しているか
  • 「無添加」の対象が具体的に何を指しているか(香料・着色料・保存料など)
  • とろみの強さや粒の大きさが、子どもの咀嚼・嚥下の発達に合っているか
  • ナトリウム量が、自主規格の目安(摂食時100gあたり乳児向け200mg以下・幼児向け300mg以下)と比べてどうか
  • 1袋で1回の食事に足りる量か

月齢表示とアレルギー表示は安全に関わる部分なので、パッケージの記載を毎回確認する習慣をつけておくと安心です。

どこで手に入るか

無添加のベビーフードは、スーパーやドラッグストアのベビー用品コーナーでも扱われていますが、品揃えは店舗によって差があります。無添加・オーガニックを掲げるブランドは、公式のオンラインストアや通販サイトで扱われていることが多く、初回お試しセットを用意しているブランドもあります。まとめ買いや定期便は買い忘れを防ぎやすい一方、子どもの好みや進み具合によっては使い切れないこともあるため、最初は少量から試すのが無難です。

保存方法の注意点

瓶詰やレトルトは、密封後の加熱殺菌によって常温で保存できる仕組みです。開封した後はこの前提が崩れるため、協議会は使い切りを基本としています。冷凍タイプは解凍後の扱いを商品の表示どおりに守ってください。パッケージに記載されている保存方法や賞味期限の表示は必ず確認します。

よくある質問

無添加のベビーフードは味が薄い?

大人の味覚からすると薄味に感じることがあります。自主規格では乳児向けの塩分を約0.5%以下としており、協議会はこれをお味噌汁を半分に薄めたくらいの味と説明しています。ベビーフード添加物リストの調味料はクエン酸三ナトリウムだけなので、うま味調味料で味を補う作り方にはなっていません。

市販品だけに頼っても栄養は足りる?

協議会は、ベビーフード1袋が1食分として設計されていないものもあり、商品によっては1回の食事に十分ではないと説明しています。離乳食全体としては、市販品と手作り、母乳・ミルクを組み合わせて考えます。食べる量や体重の増え方で気になることがあれば、乳幼児健診のほか、小児科医や自治体の栄養相談の窓口に相談してみてください。

アレルギーが心配な場合はどうすればいい?

新しい食材を含む商品を試す時期や量、試し方は、事前にかかりつけ医に相談しておくと安心です。万が一体調に変化があった場合にすぐ受診できる状況で試すようにしてください。パッケージのアレルギー表示も毎回確認します。

日本ベビーフード協議会の自主規格とは?

協議会が定めている業界の規格で、現行は2024年9月発行の第Ⅵ版です。ナトリウムの上限、はちみつを使わないこと、使える添加物を「ベビーフード添加物リスト」に限ることなどを定めています。法律そのものではなく、協議会が会員企業に守るよう指導している規格です。

「乳児用規格適用食品」と書いてあれば、赤ちゃん向けの作りになっている?

この表示は、放射性物質(放射性セシウム)の基準値50Bq/kgが適用される食品であることを示すものです。固さや大きさ、アレルギー、栄養についての基準ではありません。国民生活センターも、意味を正しく理解するよう呼びかけています。

対象月齢より大きい子に食べさせてもいい?

協議会のQ&Aでは、年齢の上限は特に設けていないので食べられるとしています。反対に、対象月齢よりも小さい子にはあげないよう案内されています。

市販のベビーフードは電子レンジで温めてよいですか?

商品によって前提が違います。容器のままでは加熱できないものもあるため、加熱方法と時間の目安は商品ごとの表示を確認し、そのとおりに行ってください。温めたあとは全体をかき混ぜ、熱い部分が残っていないかを確かめてから食べさせます。

食べ残しは取っておけますか?

協議会のQ&Aは、食べ残しや作りおきはあげないよう案内しています。開封後は使い切りが基本で、冷蔵・冷凍での保管も風味や食感が変わるためすすめていません。一度に食べきれない量のときは、別の器に取り分けてから食べさせると、器やスプーンが触れていない分を分けておけます。その扱いも商品の表示に従ってください。

保存料を使わずに日持ちする仕組みそのものはレトルト・缶詰はなぜ保存料なしで日持ちするのかにまとめています。

子ども向けの食の記事
ベビーフードは、レトルト・冷凍・フリーズドライといった形態ごとに、対象月齢や保存のしかたが変わります。月齢ごとの目安とアレルギー表示の確認方法は、幼児食など子ども向けの他の食品とも共通する論点です。

アレルギー表示の読み方は食物アレルギーの表示をどう読むかにまとめています。義務の9品目と推奨の品目では、表示の意味が違います。

まとめ

ベビーフードの「無添加」表示も一般食品と同じく、消費者庁のガイドラインに沿って読み、具体的に何を使っていないのかをパッケージで確かめるのが基本です。協議会の会員企業の商品には、ナトリウムの上限や使える添加物のリストを定めた自主規格があり、「乳児用規格適用食品」は放射性物質の基準を示す表示です。レトルト・フリーズドライ・冷凍は持ち運びや保存の条件が違うので、外出用と自宅用で使い分けると扱いやすくなります。手作りと市販品のどちらかに決める必要はなく、家庭の状況に合わせて組み合わせてください。

市販のベビーフードと手作りの使い分けに加えて、宅配サービスも検討する場合は無添加の食卓宅配の比較ガイドを参照してください。

離乳食のあとの幼児食まで含めて選択肢を見比べたい方は子ども向け宅食・幼児食サービスを比較するもあわせてどうぞ。

おしりふきやベビーソープなど、フード以外のベビー用品の「無添加」表示についてはこちらの記事で解説しています。

出典(取得日はいずれも2026年10月4日)

  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
  • 日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」(2024年9月)https://www.baby-food.jp/standard/pdf/foodkaku6.pdf
  • 日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格(抜粋)」https://www.baby-food.jp/standard/standard.html
  • 日本ベビーフード協議会「自主規格 7.食品添加物(抜粋)」https://www.baby-food.jp/standard/pdf/food3new.pdf
  • 日本ベビーフード協議会「ベビーフード添加物リスト」(2024年9月2日現在)https://www.baby-food.jp/standard/pdf/ten.pdf
  • 日本ベビーフード協議会「Q&A」https://www.baby-food.jp/standard/safety.html
  • 国民生活センター「乳児用規格適用食品の表示に係るアンケート調査」(2021年10月19日公表)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20211019_2.html

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