2026年4月1日、食物アレルギー表示の義務対象(特定原材料)にカシューナッツが加わり、義務は9品目になりました。原材料表示は、こうした食品表示基準の決まりに沿って書かれています。並び方のルールを知っておくと、裏面の細かい文字もどこから読めばよいかが見えてきます。
ここでは消費者庁の資料と食品表示基準の公開情報にもとづいて、一括表示欄の構成、原材料と添加物の区切り方、アレルギー表示や原料原産地表示の読み方を整理します。
まず「一括表示欄」の全体像をつかむ
加工食品の裏面にある枠で囲まれた部分を一括表示欄といいます。消費者庁の「早わかり食品表示ガイド」では、加工食品の表示事項として次のような項目が挙げられています。
| 項目 | 何が分かるか |
|---|---|
| 名称 | その食品が一般的に何と呼ばれるものか |
| 原材料名 | 使われている原材料。重量の割合の高い順に並ぶ |
| 添加物 | 使われている添加物。原材料とは区別して書く。別欄を設ける商品もある |
| 原料原産地名 | 重量割合が最も高い原材料の産地や製造地(例 国内製造(小麦粉)) |
| 内容量 | 重量や個数 |
| 消費期限または賞味期限 | 安全性を欠くおそれがない期限か、品質の保持が十分に可能な期限か |
| 保存方法 | 常温、要冷蔵、要冷凍などの条件 |
| 製造者・販売者など | 表示に責任を持つ事業者の名称と住所、製造所の所在地。問い合わせ先になる |
| 栄養成分表示 | 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示) |
表側のキャッチコピーは商品の売り込みですが、この枠の中はルールに沿って書かれた情報です。無添加かどうかを確かめたいときは、まずここを見ます。
原材料名は「多い順」に並んでいる
原材料は、使用した原材料に占める重量の割合の高いものから順に、最も一般的な名称で書きます。最初に書かれているものがその食品の主役で、後ろにいくほど量は少なくなります。前半を見るだけでも、その商品が何でできているかの見当がつきます。
原材料と添加物は分けて書かれる
原材料と添加物は、区別できる形で表示する決まりです。区切りを入れずに続けて書くことはできません。消費者庁のガイドでは、分け方として次の三つの方法が示されています。
- 記号で区分する(例 いちご、砂糖/ゲル化剤…のようにスラッシュを使う。記号はスラッシュに限られない)
- 改行して、原材料の後に添加物を書く
- 「添加物」という別の欄を設けて書く
添加物も、添加物の中で重量の割合の高い順に並びます。区切りより後ろに並ぶ名前の数は、添加物を見比べる手がかりの一つになります。ただし後述の一括名やキャリーオーバー、加工助剤の仕組みがあるため、名前の数だけで使われた物質の数を比べることはできません。
かっこの中は「複合原材料」の中身
「しょうゆ(大豆・小麦を含む)」「ソース(トマト、たまねぎ、その他)」のように、かっこ書きが出てくることがあります。これは二種類以上の原材料からなる原材料、いわゆる複合原材料の中身です。複合原材料名の後ろにかっこを付け、中の原材料を重量の割合の高い順に書きます。
省略のルールは二つあり、条件が別々です。
| 省略のしかた | 条件 |
|---|---|
| 一部を「その他」とまとめる | 複合原材料の中の原材料が三種類以上あり、割合の順位が3位以下で、かつ5%未満の原材料 |
| 中身の表示そのものを省く | 複合原材料が製品の原材料に占める割合が5%未満の場合、または名称から原材料が明らかな場合 |
添加物の書き方は一種類ではない
添加物の表示には、物質名をそのまま書くもの、用途名を併記するもの、一括名でまとめるものがあります。
用途名を併記する八用途(食品表示基準 別表第6)
甘味料、着色料、保存料、増粘剤(安定剤・ゲル化剤・糊料)、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤(防ばい剤)
一括名で書けるもの(別表第7の例)
香料、酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、豆腐用凝固剤、かんすい、酵素など
添加物名に「色」の字が入っている場合は「着色料」、「増粘」の字が入っている場合は「増粘剤」や「糊料」の用途名を省くことができます。また「調味料(アミノ酸等)」は、主としてアミノ酸から構成される調味料を一括名で書いたものです。一つの一括名に複数の物質が含まれることがあるため、表示される名前の数と実際の物質の数は一致しないことがあります。
次の二つは、添加物の表示から除かれます。
- 加工助剤 食品の完成前に除去されるもの、原材料にもともと含まれる成分と同じ成分に変わりその量を明らかに増やさないもの、含まれる量が少なく食品に影響を及ぼさないもの
- キャリーオーバー 原材料の製造や加工の過程で使われ、その食品自体の製造や加工では使われないもので、食品中に効果を発揮できる量より少ない量しか含まれないもの
消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)は、加工助剤やキャリーオーバーとして添加物が使われている、または使われていないことが確認できない食品への「無添加」「不使用」表示を、注意すべき類型9として挙げています。表示に名前が出ないことと、まったく使われていないことは同じではありません。なおこのガイドラインは、不使用表示を一律に禁止するものではありません。
アレルギー表示の見方
発症数や重篤度から表示が義務づけられている原材料を特定原材料といいます。食品表示基準の別表第14に載っている9品目です。
- えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生
くるみは令和5年(2023年)3月に「特定原材料に準ずるもの」から特定原材料へ移り、カシューナッツは2026年4月1日に追加されました。カシューナッツには2年間の経過措置期間があり、消費者庁はできるだけ早く表示するよう求めています。このほかに、通知で表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」が20品目あります。こちらは義務ではないため、書かれていない商品もあります。
アレルギーのある方が確認するときは、推奨表示は任意である点に注意してください。カシューナッツのように経過措置期間中の品目もあります。表示がないことは、その原材料が使われていないことの証明にはなりません。判断に迷う場合は、パッケージ記載の問い合わせ先に確認するのが確実です。
書き方は、原材料ごとにかっこ書きで示す個別表示が原則です。例外として、最後にまとめて「(一部に小麦・卵・乳成分を含む)」と示す一括表示も認められています。個別表示と一括表示を組み合わせることはできません。個別表示では、同じ特定原材料を含む原材料が複数あるとき、どれか一つに書けば残りは省略できます。乳は「(乳を含む)」ではなく「(乳成分を含む)」と書き、添加物の場合は「(乳由来)」と書きます。
原料原産地表示と期限表示
輸入品を除くすべての加工食品には、重量割合が最も高い原材料について原産地を表示する決まりがあります。平成29年(2017年)9月1日に始まり、令和4年(2022年)4月以降に製造・販売される製品には必ず表示されるようになりました。対象の原材料が生鮮食品なら「国産」や原産国名、加工食品なら「国内製造」のように書きます。「小麦粉(国内製造)」は小麦粉を国内で製造したという意味で、原料の小麦が国産であるという意味ではありません。おにぎりなど一部の品目には個別のルールがあります。
期限表示は二種類あります。消費期限は、定められた方法で保存した場合に、品質の劣化によって安全性を欠くおそれがないと認められる期限です。賞味期限は、品質の保持が十分に可能と認められる期限で、過ぎても品質が保たれていることがあるとされています。どちらも表示された保存方法を守った場合の期限です。開封後の扱いは、商品の表示や製造者の案内を確かめてください。
買い物のときに使える確認の順番
- 名称を見て、その食品が何にあたるかを確かめる
- 原材料名の前半を見て、主な材料を確認する
- 記号や改行より後ろ、または「添加物」欄を見て、添加物の内容を確認する
- 表側の「無添加」表示と、添加物欄の中身が食い違っていないか見比べる
- アレルギーがある場合は、個別表示のかっこ書きか、末尾の一括表示を必ず読む
- 保存方法と期限を見て、食べきれる量かどうかを考える
すべての名前を覚える必要はありません。気になった名前が出てきたときだけ、それがどんな役割の添加物なのかを後で調べておく、という付き合い方で十分です。
よくある質問
Q. 原材料名が長い商品は、添加物が多いということですか。
必ずしもそうとは限りません。複合原材料の中身まで書いている商品は表示が長くなりますし、一括名でまとめられる添加物は名前が短くなります。長さではなく、記号や改行で区切られた後ろの内容、または添加物欄を見るほうが実態に近づきます。
Q. スラッシュがない商品はどう見ればよいですか。
スラッシュ以外の記号で区切る方法、改行して書く方法、「添加物」という別欄を設ける方法も認められています。原材料と添加物が区別できる形になっているはずなので、欄の作りを確かめてください。
Q. 「その他」と書かれているのは何ですか。
複合原材料の中の原材料が三種類以上あるとき、割合の順位が3位以下で、かつ5%未満の原材料をまとめた表記です。これとは別に、複合原材料が製品の5%未満の場合や名称から中身が明らかな場合は、かっこ書き自体を省くことができます。
Q. アレルギー表示に書かれていなければ、その原材料は入っていないと考えてよいですか。
そうとは言えません。表示が推奨されているだけの20品目は書かれていない場合がありますし、カシューナッツは2026年4月1日から2年間の経過措置期間中です。心配なときは製造者に問い合わせるのが確実です。
Q. 「国内製造」と「国産」は同じ意味ですか。
違います。「国内製造」は対象の原材料が加工食品で、それが国内で製造されたことを示すもので、原料の生鮮食品が国産であるという意味ではありません。生鮮食品の産地を示す場合は「国産」や原産国名で表示されます。
Q. 栄養成分表示は何を見ればよいですか。
熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)の五項目は表示が義務づけられています。100g、100ml、一食分、一包装など、どの単位あたりの数字なのかで意味が変わるので、単位を先に確認してください。基準値未満の場合は0と表示できます。
Q. 一括表示欄に名前がない添加物は、使われていないということですか。
そうとは限りません。加工助剤やキャリーオーバーにあたるものは、添加物の表示から除かれます。「無添加」と書かれた商品で気になる場合は、製造者に問い合わせると確実です。
Q. 「着色料」と書かれていない色素名があるのはなぜですか。
添加物名に「色」の字が入っている場合は、用途名の「着色料」を省くことができるためです。名前に「色」が含まれていれば、着色の目的で使われていると読み取れます。
ジャンル別に表示を読む
制度・基礎知識の記事
一括表示欄、原材料と添加物の区切り、アレルギー表示は、どの食品でも同じ考え方で書かれています。読む順番を覚えておくと、パッケージの裏面を見るときの迷いが減ります。
まとめ
原材料名は重量の割合の高い順に並び、添加物は記号や改行、別欄で原材料と分けて書かれます。この二つを知っているだけで、パッケージの読み方は変わります。複合原材料の二つの省略ルール、用途名と一括名の書き分け、加工助剤とキャリーオーバーの扱い、義務9品目と推奨20品目のアレルギー表示、「国内製造」の意味まで押さえておくと、表側の「無添加」という言葉に頼らずに中身を確かめられます。まずは今日買った食品の裏面を一つ、この順番で読んでみてください。
期限表示そのものの読み方は賞味期限と消費期限は何が違うかもあわせてどうぞ。
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「かんすい」など一括名表示の実例はインスタント麺・カップ麺の添加物 かんすい・酸化防止剤の役割もあわせてどうぞ。
果汁の表示ルールはジュース・飲料の無添加表示 果汁100%と濃縮還元の違いもあわせてどうぞ。
ヨーグルト・乳製品の分類と添加物はヨーグルト・乳製品の添加物 増粘多糖類と安定剤もあわせてどうぞ。
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ふりかけの添加物と塩分表示はふりかけ・ごはんのお供の添加物と選び方もあわせてどうぞ。
出典(いずれも2026年10月4日確認)
- 消費者庁 早わかり食品表示ガイド(令和7年4月版) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms201_250512_02.pdf
- e-Gov法令検索 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010
- 消費者庁 アレルギー表示(食品表示) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 消費者庁 アレルギー表示について(令和8年4月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_260401_01.pdf
- 消費者庁 加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和8年4月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_260401_02.pdf
- 消費者庁 アレルゲンを含む食品に関する表示について(令和8年4月1日事務連絡) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_260401_03.pdf
- 消費者庁 食物アレルギー表示に関する改正について(令和7年12月 食品表示課資料3) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_251219_04.pdf
- 消費者庁 新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/
- 消費者庁 全ての加工食品に原料原産地が必ず表示されます(令和4年3月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/assets/food_labeling_cms202_220330_01.pdf
- 消費者庁 食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(令和4年3月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf