食品衛生法にもとづく規格基準は、冷凍食品を「−15°以下で保存しなければならない」と定めています。業界団体の日本冷凍食品協会はさらに低い品温−18℃以下での購入・保存を目安にしていて、「冷凍食品には、保存料が使用されていません」と説明しています。パッケージの「保存料不使用」は、特別な工夫というより冷凍という保存方法そのものから来ているわけです。
この記事では、冷凍がなぜ保存料なしで日持ちするのか、それでも冷凍食品に使われる添加物は何か、選ぶときに確認したい表示は何かを、公開情報にもとづいて整理します。
冷凍でなぜ保存料がいらないのか
食品が傷む主な原因は、細菌やカビなどの微生物が増えることです。日本冷凍食品協会は、−18℃以下の低温で保存すると腐敗や食中毒の原因となる細菌が活動できないため、保存料を使用する必要がないと説明しています。保存料は食品中で微生物の増殖を化学的に抑える添加物ですが、冷凍食品は同じ目的を低温という物理的な手段で果たしているということです。
ここで言えるのは「凍っている間は細菌が活動できない」というところまでです。冷凍すれば菌がなくなるわけではないので、解凍後は通常の食品と同じように扱い、加熱が必要な商品は表示どおりに加熱します。
−15℃と−18℃、3つの数字の違い

冷凍食品の温度はいくつかの数字が出てきますが、それぞれ主語が違います。
| 温度 | 誰が定めているか | 中身 |
|---|---|---|
| −15°以下 | 食品衛生法の規格基準(法定の保存基準) | 冷凍食品はこの温度以下で保存しなければならない |
| 品温−18℃以下 | 日本冷凍食品協会の目安 | 購入時・保存時の品温の目安。この温度で細菌が活動できないと説明 |
| 通常−18℃程度 | 協会による家庭用冷凍室の説明 | 家庭用の冷凍室は通常この程度で、購入した冷凍食品の保存に適する |
規格基準の保存基準にはもう一つ、清潔で衛生的な合成樹脂、アルミニウム箔または耐水性の加工紙で包装して保存することも含まれています。
食品衛生法が定める冷凍食品の規格基準
冷凍食品は、食品衛生法にもとづく「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)で、加熱の有無によって区分され、それぞれ細菌数などの基準が定められています。ここでいう冷凍食品は容器包装に入れられたものに限られます。食品衛生に関する規格基準の策定は、令和6年度(2024年4月)から厚生労働省より消費者庁に移管されました。
| 区分 | 細菌数(生菌数)の基準(1gあたり) | 大腸菌群・E.coli |
|---|---|---|
| 無加熱摂取冷凍食品(そのまま食べられるもの) | 100,000以下 | 大腸菌群 陰性 |
| 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前に加熱済み) | 100,000以下 | 大腸菌群 陰性 |
| 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前は未加熱) | 3,000,000以下 | E.coli 陰性(冷凍パン生地様食品は例外あり) |
| 生食用冷凍鮮魚介類 | 100,000以下 | 大腸菌群 陰性(腸炎ビブリオ最確数100以下) |
規格基準も菌がゼロであることではなく、一定数以下であることを求めています。基準の数字は改正で変わることがあるため、最新の告示を確認してください。同じ告示にある容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルト・缶詰)の基準はレトルト・缶詰はなぜ保存料なしで日持ちするのかで扱っています。冷凍とレトルト・缶詰は、どちらも保存料に頼らない設計ですが、根拠にしている仕組みは別物です。
それでも冷凍食品に使われる添加物
保存料は使われていなくても、食品衛生法で使用が認められた食品添加物が使われている場合はあります。日本冷凍食品協会がよくある質問で挙げている例は次のとおりです。
| 商品の例(協会の説明) | 使われる場合がある添加物 |
|---|---|
| コロッケ | 調味料・膨張剤・着色料 |
| ハンバーグ | 調味料 |
このほか、商品によっては加工でん粉や増粘剤などが原材料表示に並ぶこともあります。何がどの目的で使われているかは商品ごとに違うため、「保存料不使用」と書かれていても原材料表示で個別に確認するのが確実です。原材料表示の基本的な読み方は原材料表示、どこから読めばいいのか迷ったときの見方で扱っています。
消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」は、単に「無添加」とだけ書く表示は何を添加していないのかが不明確だと整理しています。また、保存料以外の添加物で日持ちを良くしている食品に「保存料不使用」と書く例や、体に良いことの理由として無添加や不使用を表示する例を、注意が必要な表示として挙げています。冷凍食品の「保存料不使用」は冷凍ゆえの仕様でもあるので、それだけで他の商品より優れていると受け取らないようにします。
日本冷凍食品協会の認定制度
一般社団法人日本冷凍食品協会は、工場の品質・衛生管理を審査する冷凍食品認定制度を運営しています。第三者を含む認定委員会が審査を行い、認定には2〜4年の有効期間があり、更新審査を受けます。認定工場の製品には認定マークを表示でき、令和7年度(2025年度)からはマークがHACCP表記付きになりました。
認定マークは認定基準に適合した冷凍食品の目印で、個々の商品が無添加であることを示すものではありません。無添加かどうかは、マークの有無ではなく原材料表示で確認します。
2026年4月、「衣の率・皮の率」表示ルールが変わった
えびフライなどの冷凍フライ類や、ぎょうざ・しゅうまい・春巻などの調理冷凍食品には、平成12年(2000年)の「調理冷凍食品品質表示基準」以来、「衣の率」「皮の率」という個別の表示ルールがありました。たとえば冷凍えびフライは食用油脂で揚げたもので衣の率が65%を超える場合、冷凍ぎょうざは皮の率が45%を超える場合に、その割合を表示する対象でした。
食品表示基準の改正により、調理冷凍食品(冷凍フライ類、しゅうまい、ぎょうざ、春巻、ハンバーグステーキ、ミートボール、フィッシュハンバーグ、フィッシュボール、米飯類、めん類)の個別ルールは、令和8年(2026年)4月1日の施行で廃止されました。消費者庁の資料は、調理冷凍食品を含む7品目の個別ルールを「完全に廃止した」としています。経過措置として、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入された商品は旧表示のままでよいため、しばらくは衣の率・皮の率が書かれた商品も店頭に並びます。
この改正は「衣の率・皮の率」という個別の表示義務についての話で、無添加かどうかや添加物の使用状況とは別の論点です。添加物表示では、令和7年3月28日の改正で栄養強化の目的で使われる添加物の表示省略規定が削除されました(経過措置は令和12年3月31日まで)。詳しくは保存料・着色料・化学調味料、それぞれ何のために使われているのかで扱っています。
パッケージで確認できる表示
日本冷凍食品協会によると、冷凍食品には名称、原材料名、原料原産地名、内容量、賞味期限、保存方法、凍結前加熱の有無、加熱調理の必要性、製造者名などを表示することになっています。無添加の視点で見るのは原材料名ですが、「凍結前加熱の有無」と「加熱調理の必要性」は食べ方に直結するので、あわせて確認します。
アレルギー表示では、令和8年4月1日からカシューナッツも特定原材料(表示義務)に加わりました。令和10年3月31日までに製造されたものには経過措置があります。
選ぶとき・使うときに確認したいこと
家庭の冷凍庫の温度を意識する 協会は家庭用の冷凍室を通常−18℃程度と説明しています。開け閉めが多い、詰め込みすぎているといった使い方では温度が上がりやすくなります。
解凍方法は表示に従う 自然解凍や水中解凍ができる商品にはその旨の記載があります。記載のない商品はパッケージの表記どおり加熱調理します。
「無添加」の範囲を確認する 保存料不使用であることと、調味料や着色料などを使っていないことは別の話です。何を使っていないと書かれているかを具体的に確認します。
賞味期限は未開封が前提 冷凍食品の賞味期限も、一般ルールと同じく未開封の状態を前提にしています。詳しくは賞味期限と消費期限は何が違うかで扱っています。
よくある質問
冷凍食品は保存料が入っていないと考えてよいですか
日本冷凍食品協会は「冷凍食品には、保存料が使用されていません」と説明しています。−18℃以下では細菌が活動できないため、保存料を使う必要がないという理由です。ただし調味料や着色料など保存料以外の添加物は使われる場合があるので、原材料表示は商品ごとに確認してください。
冷凍食品の菌はゼロになっているのですか
規格基準は菌がゼロであることではなく、1gあたりの細菌数が一定以下であることを求めています。協会の説明は「低温では細菌が活動できない」というものです。加熱調理が必要な商品は、表示された加熱方法に従ってください。
冷凍食品の保存温度は−15℃と−18℃のどちらですか
法律上の保存基準は−15°以下です。日本冷凍食品協会は品温−18℃以下を購入・保存の目安としていて、家庭用の冷凍室は通常−18℃程度だと説明しています。法定の最低ラインと業界の目安という違いです。
「加工でん粉」「増粘剤」は無添加とは言えませんか
加工でん粉や増粘剤は食品添加物に分類されるため、これらを使っていれば添加物を使っていない商品とは言えません。「無添加」は任意の表示で、何を指して無添加としているかは商品ごとに異なります。原材料表示で確認するのが確実です。
自然解凍できる商品とできない商品の違いは何ですか
日本冷凍食品協会によると、自然解凍や水中解凍ができる商品にはその旨の記載があります。記載のない商品は、パッケージの表記どおりに加熱調理してください。
冷凍野菜はなぜ下ゆでしてあるのですか
凍結前の加熱はブランチングと呼ばれます。協会の説明では、加熱で野菜の酵素を不活性化させ、貯蔵中の変質や変色を防ぐのが目的です。添加物を使わずに品質を保つための工程の一つです。
冷凍食品の認定マークがあれば添加物が少ないということですか
認定マークは、工場と製品の品質・衛生管理が協会の認定基準に適合している目印で、添加物の少なさを示すものではありません。添加物の使用状況は原材料表示で確認します。
家庭で作った料理を冷凍する場合も同じ基準を意識すべきですか
家庭で調理・冷凍したものは規格基準の対象ではありませんが、考え方は参考になります。協会はホームフリージングしたものを2〜3週間以内に使い切るよう勧めています。冷ましてから冷凍し、保存期間の目安を決めておくと管理しやすくなります。
関連記事 加工でん粉(加工デンプン)とは 11品目の種類と表示の読み方、国際的な評価の整理
まとめ
冷凍食品の保存温度は、法律の保存基準が−15°以下、日本冷凍食品協会の目安が−18℃以下です。協会はこの低温で細菌が活動できないことを理由に「冷凍食品には、保存料が使用されていません」と説明しています。一方で調味料や着色料など保存料以外の添加物が使われる場合はあり、「保存料不使用」がすべての添加物の不使用を意味するわけではありません。認定マークは品質・衛生管理の目印で無添加の証明ではない点も踏まえ、最終的には原材料表示で個別に確認するのが確実です。
一人暮らしでの買い方・保存の工夫は一人暮らしで無添加を続けるための買い方と保存もあわせてどうぞ。
- 消費者庁「食品別の規格基準について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/category
- 消費者庁「食品、添加物等の規格基準」冷凍食品の項(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/category/assets/0000126767.pdf
- 消費者庁「厚生労働省から消費者庁への食品衛生基準行政の移管について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/assets/consumer_policy_cms203_230906_01.pdf
- 一般社団法人日本冷凍食品協会「よくあるご質問」 https://www.reishokukyo.or.jp/faq-list/
- 一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品認定制度について」 https://www.reishokukyo.or.jp/certification/
- 一般社団法人日本冷凍食品協会「認定マークについて」 https://www.reishokukyo.or.jp/certification/certificate/
- e-Gov法令検索「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号、令和8年4月1日施行版) https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/427M60000002010
- 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_261001_04.pdf
- 消費者庁「調理冷凍食品に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について」(令和6年5月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_240528_05.pdf
- 内閣府消費者委員会 食品表示部会「食品表示基準の一部改正について」(令和8年1月) https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/260206_shiryou2.pdf
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
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