妊娠中・授乳中の食事のイメージ(ハーブティーと果物、全粒パン)

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妊娠中・授乳中に気をつけたい食品表示の見方

この記事について この記事は、妊娠中・授乳中の食品表示の読み方だけを扱うものです。何を食べるべきか・食べるべきでないかの判断や、体調・栄養状態の管理は、必ず主治医や助産師、自治体の母子保健窓口の指示に従ってください。この記事の内容だけで食事内容を自己判断で決めないようにお願いします。

妊娠中・授乳中は、食品の表示を今まで以上に気にするようになる時期です。この記事では、厚生労働省の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」などの公的資料をもとに、食品表示の観点から知っておきたい点を整理します。栄養指導そのものではなく、パッケージの表示をどう読むかという範囲にとどめています。

最初に知っておきたいこと 特定の食品を避ければアレルギーを予防できる、という根拠はない

厚生労働省の指針は次のように明記しています。

「子どもの湿疹や食物アレルギー、ぜんそく等のアレルギー疾患の予防のために、妊娠及び授乳中の母親が特定の食品やサプリメントを過剰に摂取したり、避けたりすることに関する効果は示されていません。」

「妊娠中に〇〇を食べると子どもがアレルギーになる(ならない)」といった情報が広く流れていますが、公的な指針はこれを支持していません。バランスのよい食事を基本とし、極端な除去や過剰摂取をしないことが重要だとされています。特定の食品を怖がって除去する前に、この公式見解を知っておくことには意味があります。食物アレルギーの特定原材料表示そのものの読み方は別記事で扱っています。

アルコールを含む食品の表示に注意する

妊娠中の飲酒について、指針は「妊娠中は禁酒が原則」としており、「胎児性アルコール・スペクトラム障害には、飲酒量や飲酒時期、摂取する酒の種類による安全域はないと考えられています」と述べています。アルコールは母乳にも移行するため、授乳中も影響が及ぶとされています。

ここで表示の観点から注意したいのは、飲料以外の食品にもアルコールが含まれている場合があることです。

  • みりん・料理酒(酒税法上は酒類に分類され、調味料として使われる)
  • 洋菓子(ラム酒・ブランデー等を使ったケーキ、チョコレート)
  • 奈良漬けなどの酒粕を使った漬物
  • ノンアルコール飲料の一部(「1%未満」等、微量のアルコールを含む表示があるもの)

アルコール含有量の表示は、酒類には義務がありますが、みりんや料理酒を使った加工食品、菓子類のアルコール含有量そのものが常に明記されているわけではありません。原材料表示に「みりん」「洋酒」「ブランデー」等の記載があるかを確認するのが実務的な方法です。「ノンアルコール」と表示された飲料でも、微量のアルコールを含む場合があるため、気になる場合は表示の但し書きを確認してください。原材料表示そのものの読み方は別記事で詳しく扱っています。

ヨウ素の摂りすぎに注意(表示義務のない成分)

指針は「摂りすぎに注意したい栄養素」としてヨウ素を挙げています。日本人は海藻を食べる習慣から他国よりヨウ素摂取量が多く、授乳中は母乳への移行分を考慮してヨウ素摂取量が妊娠前より多く必要になる一方、過剰に摂ると母乳中のヨウ素濃度が極端に高くなり、乳児の甲状腺機能に影響を与える可能性があるとされています。

ヨウ素は、食品表示基準で表示が義務づけられている栄養成分ではないため、栄養成分表示を見てもヨウ素の量は分かりません。昆布・とろろ昆布・昆布だしを使った加工食品(だしの素、めんつゆ、佃煮など)に多く含まれる傾向があることを踏まえ、特定の食品だけを毎日大量に摂り続けるような偏った摂取を避ける、という考え方が実務的です。特定の食品を完全に避ける必要はなく、指針も「からだによいからと言って特定の食品ばかりを食べ続けたり、逆に、からだに悪いからといって避け続けたりすると、必要な栄養素を適切に摂取することが難しくなります」としています。

カフェインの含有量表示にも義務がない

コーヒー・紅茶・緑茶などのカフェインを含む一般食品には、カフェイン含有量の表示義務がありません。エナジードリンクなど一部の商品では、事業者が任意でカフェイン含有量を表示している場合がありますが、これも義務ではなく自主的な取り組みです。カフェインの摂取量を気にする場合は、表示がある商品を選ぶか、事業者の公式サイトの情報を確認する必要があります。

ビタミンAを含む栄養機能食品・サプリメントの表示

指針は、レバーなどビタミンAを豊富に含む食品の過剰摂取に触れており、妊娠を計画している人や妊娠初期の人は大量摂取を避けるよう案内されています。栄養機能食品として販売されているビタミンA含有のサプリメント等には、栄養成分表示に含有量が明記されており、上限値も食品表示基準で定められています。複数のサプリメントを併用する場合、それぞれの栄養成分表示を確認し、合計の摂取量を把握することが実務的な確認方法です。

食品表示基準では、栄養機能食品のビタミンAについて「妊娠三か月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください」という注意喚起の表示が定められています(消費者庁「栄養機能食品について」)。この文言はパッケージの機能表示欄の近くに書かれるため、妊娠を考えている時期から、ビタミンA入りのサプリメントを選ぶ際の目印になります。一般の食品(レバーなど)には同じ注意喚起の表示義務がないため、食べる頻度は自分で把握しておく必要があります。

非加熱食品の表示を確認する

ナチュラルチーズや生ハムなど、加熱せずに食べることを前提にした食品は、製造工程でリステリア菌等が増殖している可能性が一般的に指摘されています。パッケージに「加熱してお召し上がりください」といった表示や、加熱の有無に関する記載がある場合は、それに従うことが実務的な確認方法です。表示だけで判断が難しい場合は、購入前に店舗や製造者に確認する方法もあります。

気をつけたい点ごとの表示義務の有無

ここまでの内容を、表示義務があるかどうかという軸で整理すると次のとおりです。義務表示がない項目ほど、パッケージの任意記載や原材料表示から間接的に読み取る必要があります。

気をつけたい点 含有量表示の義務 確認できる手がかり
アルコール(みりん・料理酒等) 酒類は義務、加工食品への使用は義務なし 原材料表示の「みりん」「洋酒」「ブランデー」等の記載
ヨウ素 義務なし(栄養成分表示の対象外) 昆布・海藻を使った食品の摂取頻度
カフェイン 義務なし(一般食品) 「カフェインレス」「デカフェ」の任意表示
ビタミンA 栄養機能食品は義務あり(上限値も規定) 栄養成分表示の含有量欄と、機能表示欄の注意喚起文(妊娠三か月以内等)
非加熱食品のリスク 義務なし(注意喚起は任意) 「加熱してお召し上がりください」等の記載

よくある質問

妊娠中に特定の食品を完全に避けるべきですか

厚生労働省の指針は、アレルギー予防のために特定の食品を極端に避けたり過剰に摂取したりすることの効果は示されていないとしています。何を避けるべきかの個別の判断は、主治医や助産師に確認してください。

「ノンアルコール」と表示された食品にはアルコールが全く入っていませんか

商品によって基準が異なり、微量のアルコールを含むものもあります。妊娠中・授乳中に気になる場合は、パッケージの表記(アルコール分の数値や「1%未満」等の記載)を確認してください。

ヨウ素の摂取量はどこを見れば分かりますか

ヨウ素は栄養成分表示の義務対象になっていないため、パッケージからは分かりません。昆布・海藻を使った食品の摂取頻度を自分で把握しておく、というのが実務的な対応になります。

カフェインの少ない飲料を選びたいのですが、表示を見れば分かりますか

一般の飲料にはカフェイン含有量の表示義務がないため、表示が全くない商品も多くあります。カフェインを気にする場合は、カフェインレス・デカフェと明記された商品を選ぶか、事業者の公式サイトで確認する方法があります。

体調に不安がある場合はどうすればよいですか

この記事は表示の読み方の範囲にとどめています。食事内容や体調について不安がある場合は、自己判断せず、主治医・助産師・自治体の母子保健窓口に相談してください。

サプリメントに書かれた「妊娠三か月以内…注意」の一文は何を意味しますか

栄養機能食品のビタミンAに、食品表示基準で付けることが定められている注意喚起です。「禁止」ではなく過剰摂取への注意を促す表示なので、複数のサプリメントを併用していないか、合計の摂取量を確認する目安にしてください。具体的な摂取量は主治医や助産師に相談してください。

まとめ

妊娠中・授乳中の食品表示を読むときに知っておきたいのは、アレルギー予防のための食物除去に医学的な効果は示されていないという公式見解、アルコールに安全域はないとされていることを踏まえた加工食品の原材料確認、ヨウ素・カフェインのように表示義務のない成分があること、栄養機能食品の上限値の確認方法です。個別の食事内容や栄養状態の判断は、この記事の範囲を超えるため、必ず主治医・助産師・自治体の窓口に相談してください。

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出典 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 解説要領」(令和3年3月)、消費者庁 食品表示基準、消費者庁「栄養機能食品について」(ビタミンAの注意喚起表示。2026年10月2日確認)

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