COSMOSの公式サイトによると、2026年1月時点でCOSMOS ORGANICまたはCOSMOS NATURALの表示がついた製品は80カ国で31,100件を超え、原料を合わせると54,400件を超えています。一方で日本には、化粧品の「オーガニック」表示を定める法律上の制度がありません。
「無添加」の表示と、COSMOSやエコサートなどの認証マークは、どちらも似た印象を与えますが指している基準が違います。この記事では、国内の化粧品「無添加」表示の考え方、COSMOSに代表される海外のオーガニック化粧品認証、国内団体のマークの位置づけを、公開されている情報にもとづいて整理します。
この記事は「無添加」表示とオーガニック認証についての解説であり、化粧品の効能効果を保証するものではありません。肌に合う・合わないには個人差があります。使用中に赤み・かゆみなどの異常を感じた場合は直ちに使用を中止し、皮膚科医に相談してください。
化粧品の「無添加」表示にもルールがある

化粧品の「無添加」表示については、化粧品の表示に関する公正競争規約と、日本化粧品工業連合会の「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版」が実務上の目安になっています。規約の改正履歴などの細部は、最新の情報は公式サイトでご確認ください(2026年10月5日確認)。
適正広告ガイドラインは、何を添加していないのか不明な表示を問題とし、添加していない成分を明示し、保証的や他社誹謗にならない範囲で表示するよう求めています。「100%無添加」「100%ピュア」のような必要以上の強調も避け、「無香料・無着色」といった表示にとどめる考え方です。
| 表現の種類 | 具体例 | 扱いの目安 |
|---|---|---|
| 対象を明示した無添加表示 | 「パラベン無添加」「着色料不使用」「無香料」 | 添加していない成分を明示しており、ガイドラインの趣旨に沿う |
| 安全性を連想させる表現 | 「無添加だから安心」「敏感肌でも安心」「赤ちゃんにも使える」 | 保証的な表現にあたるおそれがある |
| 他社を貶める表現 | 「〇〇(特定成分)は肌トラブルの原因になります」 | 他社誹謗にあたるおそれがある |
| 必要以上の強調 | 「100%無添加」「100%ピュア」 | ガイドラインが戒める強調表現 |
表の具体例は、ガイドラインの趣旨に照らして当サイトが整理したものです。個別の表現が認められるかどうかの判断は、ガイドライン本文で確認してください。「無添加」は特定の成分が入っていないという事実表示であり、それ自体が安全性を保証するものではありません。全成分表示の読み方は化粧品の全成分表示の記事で解説しています。
「オーガニック」表示は化粧品にはまた別の話
食品の世界では、農林水産省の有機JAS制度が「有機」「オーガニック」と表示できる範囲を法律で定めています(詳しくはオーガニックと無添加の違いの記事を参照してください)。有機JASマークがつくのは農産物、加工食品、飼料、畜産物、藻類で、マークなしに「有機」「オーガニック」と表示することを法律で禁じているのも農産物、畜産物、加工食品です。化粧品は制度の対象外です。
JONAの認証基準も「日本では、コスメのオーガニックの表示法制度はなく」と明記しています。この空白を埋める形で使われているのが、海外発の国際認証や、国内の民間団体による任意の基準です。
なお日本化粧品工業連合会は2018年4月4日に、ISO 16128にもとづく化粧品の自然・オーガニック指数表示に関する業界ガイドラインを制定しています。これは認証マークではなく、自然由来やオーガニックの度合いを指数で示すときの表示の決まりです。
海外にはオーガニック化粧品の国際認証がある(COSMOS基準)
代表的なのがCOSMOS(コスモス)基準です。BDIH(ドイツ)、Cosmebio(フランス)、Ecocert(フランス)、ICEA(イタリア)、Soil Association(イギリス)の5団体が設立メンバーで、運営はブリュッセルに拠点を置く非営利の国際協会COSMOS-standard AISBLが行っています。認証を受けるには、COSMOSが承認した認証機関の審査が必要です。認証機関は欧州、オーストラリア、アジアに12機関あります。
規格(Version 3.1)では、遺伝子組み換えの植物や微生物の使用、動物実験、ナノ材料の使用を認めていません。
COSMOS ORGANICとCOSMOS NATURALの違い
最終製品向けのCOSMOS認証には2つの区分があります。
| 区分 | 有機原料の基準(規格Version 3.1) |
|---|---|
| COSMOS ORGANIC | 物理的に加工された農産原料の95%以上が有機。製品全体の20%以上が有機(洗い流す製品、乳化していない水性製品、鉱物原料が80%以上の製品は10%以上) |
| COSMOS NATURAL | 有機原料の最低割合は定められていない。有機原料をラベルで示す場合は別の表示ルールがある |
どちらの区分も、表示するときはCOSMOSの表記に認証機関のシールを併記します。パッケージでは「COSMOS ORGANIC」「COSMOS NATURAL」の文字と、認証機関のマークをセットで探すと見分けやすくなります。
COSMOS認証でも使える防腐剤がある
COSMOS認証は「何も添加していない」ことを示すものではありません。規格では、石油由来の防腐剤の一部が暫定的に許可されています。
- 安息香酸とその塩
- ベンジルアルコール
- サリチル酸とその塩
- ソルビン酸とその塩
- デヒドロ酢酸とその塩
これらは有機原料として数えることはできません。エコサートも、原料は天然由来が原則で、防腐剤を含む限られた許可リストの成分だけが少量認められると説明しています。COSMOS認証と「無添加」は別の軸で見る必要があります。
エコサートとCOSMOSの関係
エコサート(Ecocert)はCOSMOSの設立メンバー5団体のひとつです。COSMOSの認証機関一覧では、ECOCERT GREENLIFEの所在地はフランスのリル・ジュルダン(L'Isle Jourdain)となっています。エコサートの公式サイトは、オーガニック・ナチュラル化粧品の認証としてCOSMOS認証を案内しています。
各団体の独自基準からCOSMOSへ切り替わった時期や、独自基準の認証がどこまで残っているかは、公式ページには書かれていませんでした。パッケージに「ECOCERT」とだけあるときは、COSMOSの表記が併記されているかを見て、詳細は認証機関の公式サイトで確かめてください。
エコサートの認証が商品ごとに異なる範囲に付く例として、NICOLA organicsの記事では、公式ページで認証の対象が美容オイルと書かれ、化粧水の認証は確認できなかった点を整理しています。
日本国内の団体は「認証」と「推奨」で呼び方が違う
法律にもとづく制度ではありませんが、日本にも化粧品のオーガニック性について独自の基準を設けている団体があります。二つの団体は用語の使い方が異なります。
| 項目 | JONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会) | JOCA(日本オーガニックコスメ協会) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 「JONAオーガニックコスメ認証」。法律で求められるものではない任意の認証 | 「認証」ではなく「推奨」とし、「JOCA推奨品マーク」を独自基準で運用 |
| 区分・基準 | オーガニック(水と加工助剤を除く配合時重量の95%以上が有機原料)とメイドウィズオーガニック(70%以上95%未満など)の2段階 | 天然成分100%の考え方。欧州の認証基準が石油系合成成分を一部使用可としている点と対比している |
| 使えない原料の例 | 石油由来原料、合成着色料、合成香料 | 独自基準による(詳細は公式で確認) |
| 取得状況 | 公式で確認 | 公式ページでは国内オーガニックコスメメーカー49社が取得と案内 |
いずれも任意の仕組みであり、マークを取得していないメーカーが基準を満たしていないという意味ではありません。
パッケージで認証マークを見分けるときのポイント
- マークの近くに認証機関名(COSMOS、ECOCERT、JONA、JOCA等)が併記されていることが多いので、まずそこを確認する
- COSMOSの場合は「ORGANIC」か「NATURAL」かで有機原料の基準が大きく違う
- 認証マークとロット番号・製造番号のバーコードは別物なので混同しない
- 認証機関の公式サイトには認証を受けた製品・ブランドの検索ページが用意されていることが多く、疑わしい場合はそちらで確認できる
- 「オーガニック処方」「オーガニック由来成分配合」のような表記は、必ずしも第三者の審査を受けたことを意味しない場合がある
「無添加」表示と認証マーク、どう使い分けて見ればよいか
「無添加」表示と認証マークは、見ている軸が違います。無添加表示は「特定の成分を配合していない」という事実を示すもので、メーカー自身の申告です。COSMOSやJONAの認証、JOCAの推奨品マークは、原料や製造工程が各団体の基準に合っているかを示すものです。
無添加表示は「何が入っていないか」、認証マークは「原料や作り方がどう管理されているか」という別々の情報です。どちらも効能や安全性を保証するものではありません。認証の取得には審査が必要なため、無添加処方にこだわるメーカーが認証を取っていないこともあります。
よくある質問
COSMOS認証があれば「無添加」と同じ意味?
同じではありません。COSMOSは原料の由来や製造工程を審査する認証で、安息香酸やソルビン酸などの一部の防腐剤は許可リストの範囲で使えます。特定の成分が入っていないかどうかは、全成分表示で個別に確認してください。
エコサートとCOSMOS、どちらが厳しい基準?
エコサートはCOSMOSの設立メンバーで、現在はオーガニック・ナチュラル化粧品の認証としてCOSMOS認証を案内しています。そのため優劣で比べるものではありません。差が出るのはむしろ区分で、COSMOS ORGANICとCOSMOS NATURALでは有機原料の基準が大きく異なります。
COSMOS ORGANICの製品は何%がオーガニック?
規格Version 3.1では、物理的に加工された農産原料の95%以上が有機で、製品全体では20%以上が有機であることを求めています。洗い流す製品や乳化していない水性製品、鉱物原料が80%以上の製品は10%以上です。水や鉱物は有機にできないため、製品全体の割合は低めに設定されています。
日本にも法律にもとづくオーガニックコスメ認証はある?
法律にもとづく制度はありません。有機JASは化粧品を対象としていないため、国内ではJONAの任意の認証やJOCAの推奨品マークなど、民間団体の基準が使われています。
JOCAのマークとJONAの認証は同じもの?
別の団体の別の基準です。JONAは「JONAオーガニックコスメ認証」として2段階の区分を設けています。JOCAは自らの仕組みを「認証」ではなく「推奨」と位置づけ、「JOCA推奨品マーク」として運用しています。
認証マークがない無添加コスメは信頼できない?
そうとは限りません。認証の取得には審査や継続的な対応が必要なため、取得していないメーカーやブランドもあります。認証の有無だけで判断せず、全成分表示や公式サイトの情報もあわせて確認してください。
「オーガニック」「無添加」のどちらの表示がある化粧品を選べば安心?
どちらの表示も、それ単体で肌に合うことや安全性を保証するものではありません。表示は選ぶときの手がかりのひとつにとどめ、初めて使う化粧品は少量から試すなど、自分の肌で確かめてください。
まとめ
化粧品の「無添加」表示は、業界の適正広告ガイドラインなどにより、添加していない成分を明示し保証的な表現にしない形が求められています。「オーガニック」については、食品の有機JASのような法的な制度が化粧品にはありません。COSMOS(2026年1月時点で製品31,100件超)のような国際認証や、JONAの認証、JOCAの推奨品マークがその役割を担っています。COSMOSでも一部の防腐剤は使えるため、無添加表示と認証マークは別々の情報として両方を確かめると判断しやすくなります。
無添加コスメを他の選択肢とまとめて見比べたい方は無添加コスメを比較する、成分表示の読み方は化粧品の全成分表示の記事もあわせてどうぞ。
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出典(いずれも2026年10月4日確認)
- COSMOS-standard AISBL About the COSMOS-standard https://www.cosmos-standard.org/about-the-cosmos-standard
- COSMOS-standard AISBL 50,000+ products and ingredients now carry the COSMOS signature https://www.cosmos-standard.org/en/news/50000-products-and-ingredients-now-carry-the-cosmos-signature/
- COSMOS-standard AISBL COSMOS-standard Cosmetics Organic and Natural Standard Version 3.1(2020年6月1日) https://media.cosmos-standard.org/filer_public/30/ea/30ea5944-cf28-44ab-bec6-f4f7ca6c74f1/cosmos-standard_v31.pdf
- COSMOS-standard AISBL Certification Bodies https://www.cosmos-standard.org/en/certification/certification-bodies/
- Ecocert COSMOS certification (organic or natural cosmetics) https://www.ecocert.com/en/certification-detail/natural-and-organic-cosmetics-cosmos
- 日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA) JONAオーガニックコスメ認証(2017.6月版) https://www.jona-japan.org/download/up_img/1359356682-902839.pdf
- 日本オーガニックコスメ協会 JOCA推奨品マークの取得について https://joca.jp/?page_id=315
- 日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版 https://www.jcia.org/user/common/download/business/guideline/appropriateadvertising/20200615_AppropriateAdvertising_Guideline-1.pdf
- 日本化粧品工業会 化粧品の自然・オーガニック指数表示に関する業界ガイドラインを制定 https://www.jcia.org/user/approach/news_release/news4
- 農林水産省 有機食品の検査認証制度 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html