だし・めんつゆの「化学調味料無添加」をどう読むか うま味は何から来ているのか

無添加トリビア

だし・めんつゆの「化学調味料無添加」をどう読むか うま味は何から来ているのか

「化学調味料」という言葉は、かつてJAS規格で使われていたものの平成元年に削除され、食品表示基準では一度も使われたことがありません。それでもだしパックやめんつゆの棚では「化学調味料無添加」という表示をよく見かけます。指している範囲は商品によって違い、うま味を何から出しているかは表側の言葉だけでは分かりません。

この記事は、消費者庁と農林水産省が公開している情報をもとに、表示のどこを見ればうま味の出どころが分かるのかを、消費者庁が示した実例を交えて整理したものです。

「化学調味料」は表示のうえでは存在しない言葉

食品表示基準に「化学調味料」という用語はありません。該当する添加物は、表示のうえでは「調味料(アミノ酸)」「調味料(アミノ酸等)」のように一括名で書かれます。消費者庁の資料では、調味料は味の付与や味質の調整など、味覚の向上や改善のために使われる添加物と定義されています。一括名の範囲には、L-グルタミン酸ナトリウムも含まれます。

かっこの中の書き方には決まりがあります。アミノ酸だけで構成される場合は「調味料(アミノ酸)」、主にアミノ酸で構成され、ほかの系統も含む場合は「調味料(アミノ酸等)」です。つまり「等」が付いていれば、核酸・有機酸・無機塩のいずれかが混じっていることを表します。

構成 表示
アミノ酸のみ 調味料(アミノ酸)
主にアミノ酸、ほかの系統も含む 調味料(アミノ酸等)
核酸のみ 調味料(核酸)
主に有機酸、ほかの系統も含む 調味料(有機酸等)
無機塩のみ 調味料(無機塩)

消費者庁のガイドラインでは、法令に規定されていない用語を使った不使用表示が、注意すべき類型のひとつとして挙げられています。意味の受け取り方が人によって変わるためです。「化学調味料無添加」と書かれていたら、それが何を使っていないという意味なのかを裏面で確かめます。なお、事業者が表示を見直す期間の目安は2024年3月末とされていました。

うま味はどこから来ているのか

添加物として加えられる調味料

グルタミン酸ナトリウムに代表される、うま味成分の添加物です。原材料表示では、原材料と区分された添加物の側に「調味料(アミノ酸等)」などと書かれます。区分の方法はスラッシュに限らず、記号、改行、別欄などがあります。

ただし、食品表示基準では加工助剤とキャリーオーバーは表示が不要とされています。ガイドラインも、原材料の一部に使いながら最終製品に不使用と書く例を注意すべき類型に入れています。添加物の欄に書かれていないことと、製造のどこでも使っていないことは同じではありません。

食品として扱われるエキス類

ここが分かりにくい部分です。食品表示基準では、酵母エキスやたんぱく加水分解物は風味原料という食品添加物ではなく食品(原材料)として扱われます。そのため原材料表示では添加物との区切りより前、素材と同じ並びに書かれます。うま味を補う働きはありますが、添加物ではないので「調味料(アミノ酸等)不使用」と書いてある商品にも入っていることがあります。

素材そのものから引くうま味

かつお節、昆布、煮干し、椎茸などの素材から抽出されるうま味です。原材料表示は素材名を中心とした並びになります。

比べるとどう違うか

原材料欄の区切りの前後で、素材・うま味原料・添加物がどこに書かれるかの図
うま味のもと 法令上の扱い 表示のされ方 「調味料(アミノ酸等)無添加」との関係
調味料(アミノ酸等) 食品添加物(一括名で表示) 添加物の欄(区切りより後ろ) これを使っていないという意味
酵母エキス 食品(原材料) 区切りより前、素材と同じ並び 不使用表示があっても入っていることがある
たんぱく加水分解物 食品(原材料) 区切りより前 同上
かつお節エキス・昆布エキスなど 食品(原材料) 区切りより前 同上
かつお節・昆布・煮干しなどの素材 食品(原材料) 原材料の前半に並ぶことが多い 素材から引いている目安

誤解のないように書いておくと、酵母エキスやたんぱく加水分解物が問題だという話ではありません。どちらも食品として広く使われているものです。ここで言いたいのは、「調味料(アミノ酸等)無添加」という表示だけでは、うま味を何から出しているかまでは分からないということです。また、無添加であることを体によい、安全といった話と結び付ける表示も、ガイドラインで注意すべき類型に入っています。

消費者庁が実例として挙げている表示

食品添加物の不使用表示に関するガイドラインでは、注意すべき10類型のひとつとして「同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示」が挙げられています。ガイドライン本文の例は、アミノ酸を含む抽出物を原材料に使いながら、添加物の調味料を使っていない旨を表示するケースです。

消費者庁が10類型を図で示した資料(イラスト版)では、この類型の例として白だしが描かれています。原材料にアミノ酸が主成分の酵母エキスを使いながら、調味料(アミノ酸等)を使っていない旨を表示している図です。ガイドラインは、同じ働きを持つ原材料について明示しないと、消費者がその原材料の働きだと分からず、別の原材料による働きだと読み取るおそれがあると説明しています。

これは表示を一律に禁じたものではなく、根拠を確認したうえで具体的に書くことを求めるものです。買う側としては、不使用表示を見たら原材料の並びも一緒に見る、という読み方を覚えておけば足ります。

顆粒タイプの「風味調味料」には日本農林規格(JAS)がある

ここまでは食品表示基準にもとづく原材料表示の読み方でした。顆粒状・粉末状のだしの素には、それとは別に「風味調味料の日本農林規格」(JAS 0310、昭和50年3月25日農林省告示第310号、直近の改正は令和6年11月15日)という品質の規格があります。JASマークは、こうした品質の規格(一般JAS)を満たす食品に付けられます。

JAS 0310は風味調味料を、調味料(アミノ酸等)と風味原料に砂糖類や食塩などを加えて乾燥し、粉末状やか粒状などにしたもので、調理の際に風味原料の香りと味を付与するもの、と定義しています。風味原料は、節類、煮干魚類、こんぶ、貝柱、乾しいたけなどの粉末または抽出濃縮物です。JASマークがついている商品は次の基準を満たしています。

項目 基準
風味原料として使えるもの かつおぶし・そうだかつおぶし・さばぶし・あじぶし・いわしぶしの粉末または抽出濃縮物、かつお・そうだかつお・さばの抽出濃縮物、煮干いわし・煮干とびうお・こんぶ・貝柱・乾しいたけの粉末または抽出濃縮物に限定
風味原料の配合率 8.3%以上(規定の計算式で算出)
全窒素分 かつお由来は2.7%以上、煮干いわし・とびうお由来は2.5%以上
糖分・食塩分 糖分40%以下、食塩分35%以下、合計65%以下
でん粉・デキストリンの配合量 原材料・添加物全体に対して2%以下
原材料として使えるたん白加水分解物・酵母エキス 使用できる(2024年改正の前後で変わらず)

風味原料として使えるものは、節類(かつおぶし等)・煮干魚類・こんぶ・貝柱・乾しいたけに限定されています。そのうえで、風味原料の配合率と全窒素分という数値の基準が設けられています。調味料(アミノ酸等)は風味調味料の定義に含まれる構成要素で、添加物としてはCODEX STAN 192への適合、使用量の記録と保管、消費者への情報伝達という条件が別に課されています。

原材料の一覧には、たん白加水分解物と酵母エキスも入っています。JASマークがついていても、うま味のもとが素材だけとは限りません。また、JASマークがついていない商品がこれらの基準を満たしていないと決まるわけではありません。格付けを受けていない商品も流通しています。

だしパック・めんつゆを選ぶときの手順

1 表側の「化学調味料無添加」ではなく、裏面の原材料表示を先に見る
2 原材料と添加物の区切り(スラッシュ、改行、別欄など)を見つけ、添加物の側に「調味料(アミノ酸等)」などがあるかを確認する
3 区切りより前に、酵母エキス・たんぱく加水分解物・各種エキスがあるかを見る
4 素材名(かつお節・昆布・煮干し・椎茸など)が前半に並んでいるかを見る
5 顆粒だしならJASマークの有無も見る。マークがあっても酵母エキス等は使える点に注意する
6 食塩相当量を確認する。だしパックは薄めて使うため、一食あたりに換算して考える

どれが正解ということはありません。毎日使うものなので、価格と手間と味の好みで折り合いをつけるほうが続きます。

よくある質問

Q. 「化学調味料無添加」と「調味料(アミノ酸等)不使用」は同じ意味ですか。

おおむね同じものを指して使われていますが、「化学調味料」は食品表示基準にない用語です。事業者ごとに指す範囲が違う可能性があるため、原材料表示で確認するのが確実です。

Q. 酵母エキスは添加物ですか。

いいえ、食品表示基準では風味原料という食品(原材料)の扱いです。そのため原材料表示では添加物との区切りより前、素材と同じ並びに書かれます。

Q. たんぱく加水分解物は何ですか。

食品表示基準では、酵母エキスと並ぶ風味原料の一つとして挙げられており、添加物ではなく食品の扱いです。具体的な原料は商品ごとの原材料表示やメーカーの説明で確認してください。

Q. 素材だけのだしパックは味が薄いのですか。

感じ方は商品と好みによります。煮出す時間や素材の量、塩やしょうゆでの味付けで調整する方法もあります。使い方はパッケージの説明に従ってください。

Q. だしパックの食塩相当量はどう見ますか。

パッケージの栄養成分表示が「100gあたり」なのか「1パックあたり」なのかを先に確認します。だしは薄めて使うので、出来上がりの一杯あたりに換算して考えると実態に近づきます。

Q. めんつゆの原材料が長いのは添加物が多いからですか。

必ずしもそうではありません。めんつゆは複数の調味料を配合して作るため、素材だけでも項目数が多くなることがあります。長さではなく、添加物の欄の内容を見てください。

Q. JASマークがついている顆粒だしは何が保証されていますか。

「風味調味料の日本農林規格」にもとづき、使える原材料の種類、風味原料の配合率(8.3%以上)、全窒素分(かつお由来2.7%以上、煮干いわし・とびうお由来2.5%以上)、糖分・食塩分の上限などの基準を満たしていることが、格付けによって確認されています。JASマークのない商品がこれらの基準を満たしていないとは限りません。

Q. 「調味料(アミノ酸)」と「調味料(アミノ酸等)」は何が違いますか。

食品表示基準では、アミノ酸だけで構成される場合が「調味料(アミノ酸)」、主にアミノ酸で構成され核酸などほかの系統も含む場合が「調味料(アミノ酸等)」です。

Q. 添加物の欄に「なし」と書いてある商品はありますか。

消費者庁の食品表示基準Q&Aでは、添加物の欄に「なし」と書く表示は認められないとされています。

Q. 添加物の欄に調味料がなければ、製造のどこでも使っていないのですか。

そうとは言い切れません。加工助剤とキャリーオーバーは表示が不要なためです。気になる場合はメーカーに問い合わせるのが確実です。

食品ジャンル別の選び方の記事
だしやめんつゆでは、「化学調味料無添加」が指す範囲も、うま味の出どころを確かめる表示欄も、ほかの食品とは違います。

まとめ

「化学調味料無添加」は食品表示のルールにない呼び方で、指しているのは多くの場合「調味料(アミノ酸等)」を使っていないことです。ただし、うま味を補う働きを持つ酵母エキスやたんぱく加水分解物は食品として扱われるため、不使用表示のある商品にも入っていることがあります。消費者庁の10類型のイラスト版でも、白だしを例にこの点が示されています。顆粒だしのJAS規格でも酵母エキス等は使えます。表側の言葉ではなく、原材料と添加物の区切りの前と後ろの両方を見ると、だしパックやめんつゆを選ぶ手がかりが増えます。

出典(確認日 2026年10月4日)

  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
  • 消費者庁「表示を作成する際に注意すべき10類型(イラスト版)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_220701_03.pdf
  • 内閣府「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号) e-Gov法令 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010
  • 消費者庁「食品表示基準について」別添 添加物関係 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_09.pdf
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A」第2章 加工食品 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_261001_12.pdf
  • 農林水産省「風味調味料 JAS 0310:2024」 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-378.pdf
  • 農林水産省「風味調味料の日本農林規格の一部を改正する件 新旧対照表」 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kokujikaisei-561.pdf
  • 農林水産省「日本農林規格 規格改正等情報」 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/kokujikaisei.html
  • 農林水産省「JAS制度」 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_system/

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