ジュース・飲料の無添加表示 果汁100%と濃縮還元の違い

無添加トリビア

ジュース・飲料の無添加表示 果汁100%と濃縮還元の違い

果汁入り飲料と名乗るには、果実の搾汁を水で薄めた場合でも搾汁が重量で10%以上必要です。「(ストレート)」「(濃縮還元)」「(加糖)」といった括弧書きも、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の別表第3と別表第4で書き方が決まっています。以前は「果実飲料品質表示基準」という農林水産省の告示がこのルールを定めていましたが、食品表示基準の施行(平成27年4月)とともに廃止され、内容は食品表示基準に移りました。

この記事では、現行の食品表示基準にもとづいて果実飲料の名称の読み方を整理し、ジュース・飲料の「無添加」表示を見るときの注意点をまとめます。

果実飲料は4つの区分に分かれる

果実飲料の4区分と名称の括弧書きの図

食品表示基準の別表第3は、果実飲料を「果実ジュース、果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース及び果汁入り飲料」と定めています。主な区分は次のとおりです。

区分 中身 名称の例
果実ジュース 1種類の果実の搾汁または還元果汁。砂糖類・蜂蜜・糖アルコールや同じ果実の果粒を加えたものも含む ○○ジュース(○○は果実の最も一般的な名称)
果実ミックスジュース 2種類以上の果実の搾汁または還元果汁を混合したもの 果実ミックスジュース
果実・野菜ミックスジュース 果実と野菜を使ったもの(詳しい定義は別表第3) 果実・野菜ミックスジュース
果汁入り飲料 果実の搾汁を水で薄めたものでは、搾汁の重量割合が10%以上 ○○%△△果汁入り飲料

「ジュース=果汁100%で何も加えていない」と思われがちですが、果実ジュースには砂糖類や蜂蜜を加えたものも含まれます。その場合は名称に「(加糖)」が付くので、括弧書きを見れば区別できます。「果汁30%」のようなラベルの飲料は、果実ジュースではなく果汁入り飲料です。

名称の括弧書きで分かること

果実ジュースの名称には、製法や加えたものに応じた括弧書きが付きます。別表第4の書き方を表にまとめました。

中身 名称の書き方
果実の搾汁のみを使用したもの ○○ジュース(ストレート)
還元果汁を使用したもの ○○ジュース(濃縮還元)
砂糖類または蜂蜜を加えたもの ○○ジュース(加糖)。濃縮還元と両方なら「(濃縮還元・加糖)」と書くことができる
果粒を加えたもの (果粒入り)○○ジュース(○○ジュースの文字の前に括弧を付ける)
炭酸ガスを圧入したもの 名称の最後に「(炭酸ガス入り)」
薄めて飲む果汁入り飲料(原液タイプ) 名称の前に「□倍希釈時」と希釈倍数を表示

「濃縮還元」や「加糖」の用語は、商品名が表示されている箇所に近接して、14ポイント以上の文字で表示する決まりです。パッケージ正面の商品名の近くを見れば見つかります。

ストレートと濃縮還元の違い

ストレート 果実の搾汁のみを使用したもの。名称の後ろに「(ストレート)」と表示
濃縮還元 還元果汁を使用したもの。名称の後ろに「(濃縮還元)」と表示

還元果汁は、食品表示基準で「濃縮果汁を希釈したもの」で、糖用屈折計示度(ブリックス度)が果実ごとの基準(表3)以上、濃縮果汁の基準(表1)未満のものと数値で定義されています。濃縮果汁の基準の例はオレンジ20、りんご20、ぶどう30です。

果汁入り飲料の「○○%」も、還元果汁や搾汁を薄めたものでは、果実ごとのブリックス度の基準(表3)に対する割合で示します。表3の例はオレンジ11、りんご10、うんしゅうみかん9です。

ストレートと濃縮還元は製法の違いを示す表示で、どちらが優れているかを示すものではありません。

「生」「天然」などの言葉について

旧「果実飲料品質表示基準」には、「生」「フレッシュ」「天然」「純正」などの用語の使用を制限する規定がありました。現行の食品表示基準の果実飲料の項(別表第3・別表第4など)を確認した範囲では、同じ趣旨の規定は見つかりませんでした。こうした言葉の扱いは、消費者庁の公式サイトで最新の情報をご確認ください(2026年10月5日確認)。

添加物については、消費者庁が不使用表示の資料で「食品衛生法において、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれており、いずれも使用が認められている」と説明しています。「天然」という言葉だけで添加物の有無は判断できません。

ジュース・飲料の「無添加」表示との関係

果実飲料の名称のルールは果汁の割合や製法を示すもので、添加物の使用を制限するものではありません。「無添加」表示は、消費者庁の食品添加物の不使用表示に関するガイドラインの対象です。同庁の資料は、対象を示さずに単に「無添加」と書くと何を添加していないのかが不明確になると指摘しています。ジュース・飲料で使われることがある添加物には次のようなものがあります。

添加物・表示名 使われる目的
酸化防止剤(ビタミンC、エリソルビン酸など) 果汁の褐変(色が茶色くなる変化)を防ぐ
香料 風味を補う(一括名で表示できる)
酸味料 酸味を調整する
甘味料 糖類を使わずに甘みをつける
着色料 色味を補う・整える

甘味料・着色料・保存料・酸化防止剤などは、食品表示基準で用途名を併記するか一括名で表示されます。

保存料については、清涼飲料水は規格基準で殺菌方法が定められています(pH4.0未満のものは中心部を65℃で10分間加熱する方法またはこれと同等以上の方法など)。保存料に頼らない設計が多いため、「保存料不使用」と書かれていても、ほかの食品ジャンルほど大きな違いにならない場合があります。この点はレトルト・缶詰はなぜ保存料なしで日持ちするのかで扱った加圧加熱殺菌の考え方と似ています。添加物を確認するときは、保存料の有無だけでなく、酸化防止剤・香料・着色料まで含めて原材料表示を見ると全体が分かります。

果汁が少ない・入っていない飲料は「無果汁」表示のルールがある

果汁がごく少ない、または入っていない飲料には、景品表示法第5条第3号にもとづく告示「無果汁の清涼飲料水等についての表示」(昭和48年公正取引委員会告示第4号)が適用されます。対象は清涼飲料水・乳飲料・はつ酵乳・乳酸菌飲料・粉末飲料・アイスクリーム類・氷菓のうち、容器に入っているものまたは包装されているものです。

果汁の使い方 表示のルール
果汁・果肉を使っていない 使っていない旨を明瞭に記載しないと、果実名を冠した商品名、果実の絵・写真・図案、果汁と同じか似た色・香り・味付けは不当表示になる
僅少な量の果汁・果肉を使っている 使用割合を明瞭に記載しないと不当表示になる
果汁入り飲料(搾汁を薄めたものは10%以上) 「○○%△△果汁入り飲料」と割合を明記した名称で表示する

告示は「僅少な量」とだけ書き、具体的な割合の区切りは示していません。業界の「果実飲料等の表示に関する公正競争規約」に細かな区分があります。具体的な数値は、最新の情報は公式サイトでご確認ください(2026年10月5日確認)。

「無果汁」と書かれているのに原材料表示に「果汁」がある場合、矛盾しているわけではありません。告示は果汁の使用割合を分かるように示すことを求めるルールで、原材料表示は食品表示基準にもとづき使用した原材料を重量の割合の高い順に書くルールです。別々の規制なので、僅かな果汁でも原材料欄には載ります。

選ぶときに確認したいポイント

名称の括弧書きを見る 「(ストレート)」「(濃縮還元)」「(加糖)」「○○%△△果汁入り飲料」は、味や価格の好みで選ぶ際の手がかりになります。優劣ではなく、製法・加えたもの・果汁割合の違いです。

「無添加」と「果汁100%」は別の軸で確認する 果汁の割合と、香料・酸化防止剤・着色料を使っているかどうかは、それぞれ別の表示で分かります。両方を確認したい場合は、名称と原材料表示の両方を見ます。

「天然」などの言葉より原材料表示を見る 添加物には天然物も化学的合成品も含まれます。言葉の印象ではなく、原材料表示に何が並んでいるかを確かめるのが確実です。

よくある質問

果汁100%なら添加物は入っていないのですか

果汁の割合と添加物の有無は別の表示です。果汁100%のジュースにも、酸化防止剤や香料が使われている場合があります。原材料表示を別途確認してください。

濃縮還元はストレートより品質が劣りますか

どちらも果実ジュースの区分に入り、括弧書きは還元果汁を使ったか搾汁のみかという製法の違いを示すものです。優劣を示す表示ではないので、好みや用途で選んでかまいません。

「果汁入り飲料」は果実ジュースより悪いものですか

果汁の割合が異なるだけで、優劣を示す表示ではありません。果汁入り飲料は「○○%△△果汁入り飲料」と割合を明記した名称で表示することが食品表示基準で定められています。

ジュースに「(加糖)」と書いてあるのはどういう意味ですか

砂糖類または蜂蜜を加えた果実ジュースであることを示します。果実ジュースの区分には加糖したものも含まれ、その場合は名称に「(加糖)」を付けます。濃縮還元で加糖したものは「(濃縮還元・加糖)」と書くことができます。

果汁入り飲料の「○○%」は何の割合ですか

還元果汁や搾汁を薄めたものでは、果実ごとに決められたブリックス度の基準(オレンジ11、りんご10など)に対する割合で示します。原液タイプのように薄めて飲むものは「□倍希釈時」と希釈倍数もあわせて表示されます。

「天然」と書いてあれば無添加と考えてよいですか

そうとは言えません。消費者庁は、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれ、いずれも使用が認められていると説明しています。「天然」という言葉ではなく、原材料表示で添加物の有無を確認するのが確実です。

手作りジュースにも同じ表示ルールは適用されますか

食品表示基準は、容器包装に入れられた加工食品の表示を定めた基準です。その場で搾って容器包装に入れずに出す飲料などの扱いは、消費者庁の公式サイトで最新の情報をご確認ください(2026年10月5日確認)。

「無果汁」と書いてあるのに原材料表示に「果汁」があるのはなぜですか

矛盾ではありません。無果汁の告示は、果汁を使っていないことや僅少な量の使用割合を分かるように示すためのルールです。原材料表示は食品表示基準にもとづき使用した原材料を重量順にすべて書くため、量が少なくても「果汁」が載ります。

「ゼロ」「オフ」の表示基準や人工甘味料の扱いは「ゼロ」「ノンシュガー」「糖質オフ」の表示ルールと人工甘味料で整理しています。

コーラなど褐色の飲料に使われるカラメル色素については、カラメル色素とは カラメルI〜IVの違いと4-MEIをめぐる評価、表示の読み方をご覧ください。

まとめ

果実飲料の表示は、旧「果実飲料品質表示基準」から食品表示基準(別表第3・別表第4)に移っています。果実ジュースには加糖したものも含まれ、「(ストレート)」「(濃縮還元)」「(加糖)」「(果粒入り)」といった括弧書きで中身が分かります。果汁入り飲料は割合を明記し、果汁が僅少またはゼロの飲料には無果汁の告示があります。どれも果汁や製法を示すルールで、添加物の有無は原材料表示で別に確認します。この記事は公開されている法令・公式資料にもとづく整理です。

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出典

  • 内閣府(消費者庁)「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」e-Gov法令データ(別表第3・別表第4・別表第19・別表第20・附則第2条) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010 (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「無果汁の清涼飲料水等についての表示」(昭和48年公正取引委員会告示第4号) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/pdf/100121premiums_15.pdf (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「表示を作成する際に注意すべき10類型」(食品添加物の不使用表示に関するガイドライン関連資料) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/assets/food_labeling_cms204_220701_03.pdf (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「不当景品類及び不当表示防止法」 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/337AC0000000134 (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「食品別の規格基準 清涼飲料水」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/category/assets/standards_cms105_260206_01.pdf (確認日 2026年10月4日)

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