即席中華めん1食分100gに使われるかんすいは、およそ0.1〜0.2gです。日本即席食品工業協会はこの量を適量としていて、ノンフライめんでは0.3〜0.6g程度としています。表示のルールも最近変わりました。令和7年3月28日の食品表示基準の改正で、即席めんだけに定められていた個別の表示ルールは廃止され、現在は経過措置の期間に入っています。
この記事では、協会の公開情報と食品衛生法の規格基準、食品表示基準の改正内容をもとに、即席めんに使われる添加物の役割、油で揚げためんの品質基準、表示の読み方を公開情報にもとづいて整理します。
かんすいとは何か
協会の説明では、かんすいはカリウム、ナトリウムの炭酸塩とリン酸塩を原料とし、その1種類か2種類以上の混合物を指します。めんに使うかんすいはpH7〜8の微アルカリ性です。中華めんならではの風味とコシはかんすいから生まれ、ラーメンが黄色みがかっているのは、小麦粉に含まれる天然の色素にかんすいが作用して発色するためとされています。
| 項目 | 協会の説明 |
|---|---|
| 原料 | カリウム、ナトリウムの炭酸塩とリン酸塩(1種類または2種類以上の混合物) |
| 性質 | めんに使うかんすいはpH7〜8の微アルカリ性 |
| 使用量の目安 | 即席中華めん1食分100gで約0.1〜0.2g、ノンフライめんは約0.3〜0.6g |
| 主な効用 | 中華めん特有の風味とコシ、スープとの調和、ゆで具合や伸び具合の調和 |
| 法的な扱い | 成分や純度が食品衛生法で規格化された食品添加物 |
食品表示基準では、かんすいは一括名で表示できる添加物です。原材料表示に「かんすい」とだけ書かれていても、どの塩を使っているかは表示だけでは分かりません。原材料表示、どこから読めばいいのか迷ったときの見方で扱った一括名表示の考え方が、かんすいにもそのまま当てはまります。
即席めんに使われる主な添加物
日本即席食品工業協会が公開している情報によると、即席めんに使われる添加物には次のような役割があります。
| 添加物・表示名 | 役割 |
|---|---|
| かんすい(めん質改良材) | めんの食感や特有のコシと風味を出す |
| 増粘安定剤 | めんのコシを出す。ねばりを高め、なめらかさを増す多糖類(アルギン酸やペクチンなど。海そう、豆、リンゴ、ミカンなどから抽出) |
| 乳化剤 | 使用する油脂を均一に分散させ品質を安定させる(多くは植物レシチン) |
| 酸化防止剤(ビタミンE) | めんに含まれる油脂の酸化を防止する。大豆油などを精製するときに得られる。協会は保存料ではないと明記 |
| 着色料 | めんの色を一定に保つ(カラメル、クチナシ色素、ニンジンなどから抽出したカロテンなど) |
| 強化剤 | ビタミンB1・B2、カルシウムなど栄養強化のために加える |
協会は、使用できる添加物は食品衛生法およびJAS規格で認められたものだけで、JASマークの付いた製品ではその基準がより厳しくなると説明しています。たとえばJASマーク付きの即席めんのめんに使える着色料は、100種類以上ある着色料のうち13種類だけです。また協会は、日頃不足しがちなカルシウム等の強化剤をできるだけ添加することを推奨しています。
表示の面では、かんすいと乳化剤は一括名、酸化防止剤と着色料は用途名を併記して表示します。
油で揚げためんに固有の成分規格
即席めんの多くは、めんを油で揚げて乾燥させる製法(フライめん)で作られています。油を使う以上、油脂の劣化が品質に関わるため、食品衛生法にもとづく規格基準は、めんを油脂で処理した即席めん類について次の成分規格を定めています。
過酸化物価 30を超えるものであってはならない
どちらも油脂の劣化の度合いを見る数値で、基準を超えるものは販売できない規格です。酸化防止剤(ビタミンE)は、めんに含まれる油脂の酸化を防ぐ目的で使われています。規格基準ではもう一つ、即席めん類は直射日光を避けて保存しなければならないという保存基準も定められています。食品衛生に関する規格基準の策定は、令和6年度から厚生労働省より消費者庁に移管されました。
熱風などで乾燥させるノンフライめんは、揚げる工程がない製法です。かんすいの使用量の目安がフライめんと違うように、製法によって原材料の使い方も変わります。どちらが優れているというより、製法の違いとして捉え、添加物は商品ごとの原材料表示で確認するのが実用的です。
成分規格以外の主なルール
即席めんは、JAS法(日本農林規格等に関する法律)による即席めん類の日本農林規格、食品衛生法による規格基準、食品表示法にもとづく食品表示基準など、複数の法律・規格が重なって品質を支えています。即席めん類のJAS規格は1965年に制定されました。協会は、JASマークの付いたインスタントラーメンはこの法律を厳格に遵守している食品だと説明しています。
保存の方法について、食品表示基準は、食品衛生法で保存の基準が定められた食品では表示を省略できないとしています。即席めん類はこれに当たるため、直射日光を避けて保存する旨がパッケージに書かれています。
即席めんの個別表示ルールは令和7年3月に廃止された

即席めんには長く、加工食品に共通する表示ルールに加えて、食品表示基準の別表で品目固有のルールが定められていました。消費者庁は令和6年から個別品目ごとの表示ルールの見直しを検討し、業界団体からは現状維持の意見も出ていました。結論として、令和7年3月28日の改正で、即席めんを含む7品目(調理冷凍食品、チルドハンバーグステーキ、チルドミートボール、チルドぎょうざ類、炭酸飲料、即席めん、うにあえもの)の個別ルールは完全に廃止されました。即席めんについては、定義や名称・原材料名などを定めた別表の規定がすべて廃止の扱いです。
経過措置により、令和12年3月31日までに製造・加工・輸入されるものは旧ルールの表示のまま販売できます。しばらくは旧ルールで表示された商品も店頭に並ぶため、参考として旧ルールの主な内容を残しておきます。
| 表示事項 | 旧ルール(令和7年3月28日改正で廃止) | 改正後 |
|---|---|---|
| 原材料名 | 「めん」(油処理により乾燥したものは「油揚げめん」)と書き、括弧内に小麦粉などを表示する | 即席めん固有の書き方の規定はなくなった |
| 添加物 | 栄養強化の目的で使用される添加物の表示省略規定を適用しない(即席めんの特例) | 一般の加工食品でも栄養強化目的の添加物の省略規定が削除されたため、特例ではなくなった |
| 内容量・調理方法・使用上の注意 | 即席めん固有の表示事項として規定 | 固有の規定は廃止 |
| 表示禁止事項 | かやくの強調、「そば」「生タイプ」の用語に制限(下記) | 固有の規定は廃止 |
「無添加」の観点で知っておきたいのが添加物の欄です。以前は、一般の加工食品なら栄養強化の目的で使われる添加物(ビタミン類やカルシウムなど)は表示を省略できる場合がありましたが、即席めんではこの省略規定が適用されませんでした。令和7年3月28日の改正では、一般用加工食品の表示ルールからこの省略規定そのものが削除されています(経過措置は令和12年3月31日まで)。いまは即席めんに限らず、栄養強化目的の添加物も表示される方向に統一されたということです。原材料表示に並ぶ添加物の数が多く見えても、それがそのまま使用量の多さを示すわけではありません。
旧ルールの表示禁止事項 「そば」「生タイプ」
旧ルールでは、即席めんに使ってはいけない表示として次の3つが定められていました。
- かやくのうち特定のものを特に強調する用語。ただし、調理後のそのかやくの重量が調理後のめんの重量の2パーセント以上である場合は使ってよい
- そば粉の配合割合が30パーセント未満のものについて「そば」の用語
- 生タイプ即席めん以外のものについて「生タイプ」の用語
これらは令和7年3月28日の改正で廃止された規定です。経過措置の期間中は旧ルールにもとづく表示の商品も流通しますが、現在もこの基準が義務として残っているわけではありません。パッケージの言葉を手がかりにするときは、この点を踏まえて読む必要があります。
選ぶときに確認したいポイント
「無添加」は対象を確認する 消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」は、単に「無添加」とだけ書く表示は何を添加していないのかが不明確だと整理しています。かんすい不使用、着色料不使用など、具体的に何が入っていないかを見ます。
保存方法の表示に従う 即席めん類は直射日光を避けて保存することが規格基準で定められています。パッケージの保存方法の表示に従って保管します。
スープと麺で添加物の傾向が違う めん自体の添加物(かんすい、増粘安定剤、酸化防止剤など)と、スープの添加物(調味料、香料など)は役割が異なります。原材料表示は麺とスープ(かやく含む)が別々に記載されていることが多いため、分けて見ると読みやすくなります。
よくある質問
かんすいは体に悪い添加物ですか
かんすいは成分や純度が食品衛生法で規格化され、食品添加物として認められているものです。協会によると、即席中華めん1食分100gに使われる量はおよそ0.1〜0.2gが適量とされています。気になる場合は原材料表示を確認し、かんすい不使用を明記した商品を選ぶという選択肢もあります。
ノンフライ麺は添加物が少ないのですか
添加物の種類や量は製法だけで一律に決まるものではありません。協会の説明では、かんすいの使用量の目安はノンフライめんのほうがむしろ多め(1食分100gで0.3〜0.6g程度)です。商品ごとの原材料表示で確認してください。
「無添加」を掲げる即席めんは何が違うのですか
商品によって、かんすい不使用、化学調味料(調味料アミノ酸等)不使用、着色料不使用など、掲げている範囲が異なります。「無添加」は任意の表示なので、原材料表示で具体的に何が入っていないかを確認するのが確実です。
酸価・過酸化物価はパッケージのどこに表示されていますか
酸価3以下・過酸化物価30以下は、油脂で処理しためんが満たすべき食品衛生法上の成分規格です。製造する側が守る基準で、購入する側が確認できる手がかりは賞味期限と保存方法の表示になります。
酸化防止剤が入っていれば保存料の代わりになるのですか
協会は、即席めんの酸化防止剤(ビタミンE)はめんに含まれる油脂の酸化を防ぐためのもので、保存料ではないと明記しています。役割の違う添加物として読むのが正確です。
スープの添加物とめんの添加物は同じように考えてよいですか
役割が異なります。めんの添加物は主に食感・コシ・油脂の酸化防止が目的で、スープの添加物は主にうま味や風味付けが目的です。原材料表示ではめん・スープ・かやくが別々に記載されていることが多いため、それぞれ分けて確認すると分かりやすくなります。
即席めんは添加物の表示が多い気がしますが、使いすぎなのですか
表示のルールが影響しています。ビタミンB1・B2やカルシウムのような栄養強化目的の添加物も表示されるため、その分だけ表示が長くなります。以前は即席めんだけの特例でしたが、令和7年3月28日の改正で一般の加工食品でも栄養強化目的の添加物の表示省略規定が削除されました。数の多さがそのまま使用量の多さを示すわけではありません。
「そば」と書かれた即席めんはそば粉がどれくらい入っていますか
旧ルールでは、そば粉の配合割合が30パーセント未満のものに「そば」の用語を使うことが禁止されていました。この規定は令和7年3月28日の改正で廃止され、令和12年3月31日までの経過措置の間は旧ルールの表示の商品も流通します。配合割合が気になる場合は原材料表示で確認してください。そばは特定原材料なので、アレルギーの有無は原材料表示とアレルギー表示で確認します。
まとめ
即席めんの添加物は、中華めんらしさを出すかんすい、食感を保つ増粘安定剤・乳化剤、油脂の酸化を防ぐ酸化防止剤など、それぞれ役割を持って使われています。油で揚げためんは、酸価3・過酸化物価30という食品衛生法の成分規格で品質が管理されています。表示の面では、即席めんだけの個別ルールが令和7年3月28日の改正で廃止され、令和12年3月31日までは旧ルールの表示と新しい表示が混在します。「無添加」表示を確認するときは、かんすい・着色料・調味料など、何を指して無添加としているかを原材料表示で個別に確認するのが確実です。
あわせて読みたい
- 保存料・着色料・化学調味料、それぞれ何のために使われているのか (酸化防止剤・かんすいなどの用途名を先に整理したいとき)
- 「無添加」の表示には決まりがある、という話 (「無添加」を掲げるカップ麺をどう読むか)
- 外食・中食で添加物を減らす工夫 (外食や中食でも添加物の情報を確かめる方法)
- 一人暮らしで無添加を続けるための買い方と保存 (一人暮らしで即席めんをよく使う場合の買い方と保存)
- 一般社団法人日本即席食品工業協会「添加物について」 https://www.instantramen.or.jp/health/additive/
- 一般社団法人日本即席食品工業協会「品質を守る法律・規約」 https://www.instantramen.or.jp/health/quality/rules/
- 一般社団法人日本即席食品工業協会「かんすいの働き」(インスタントラーメンのできるまで) https://www.instantramen.or.jp/know/process/kansui/
- 消費者庁「食品、添加物等の規格基準」即席めん類の項(PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/category/assets/21.pdf
- e-Gov法令検索「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号、令和8年4月1日施行版) https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/427M60000002010
- 消費者庁「これまでの食品表示基準の改正概要について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_261001_04.pdf
- 内閣府消費者委員会 食品表示部会「食品表示基準の一部改正について」(令和8年1月、消費者庁食品表示課) https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/260206_shiryou2.pdf
- 日本即席食品工業協会「即席めん」(消費者庁 令和6年度食品表示懇談会 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会 第4回資料、令和6年8月) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms201_240828_03.pdf
- 消費者庁「食品表示基準について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
- e-Gov法令検索「日本農林規格等に関する法律」(昭和25年法律第175号) https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/325AC0000000175
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf