入浴剤の医薬部外品・化粧品・雑貨の区分を示した図

無添加トリビア

無添加入浴剤とは 医薬部外品・化粧品・雑貨で変わる成分表示のルール

日本浴用剤工業会の説明では、入浴剤は薬機法上「化粧品」と「医薬部外品」の2つに分類されます。化粧品がうたえる効能は行政通知で示された56項目の範囲にとどまり、医薬部外品は製造販売承認を受けて「あせも」「冷え症」などの効能を表示します。店頭にはこのどちらにも当たらない、いわゆる雑貨の入浴剤も並んでいます。

区分が違えば、うたえる効能も成分表示のルールも変わります。この記事では、入浴剤が法律上どう分類されているかと「無添加」表示の読み方を、公開されている情報をもとに整理します。

入浴剤は薬機法上の2区分と、その外の雑貨に分かれる

医薬品医療機器等法(薬機法)にもとづく区分は化粧品と医薬部外品の2つです。売り場ではこれに雑貨を加えた3つが並んでいるので、表では雑貨を薬機法の外の区分として並べています。

区分 うたえる効能効果 販売までの手続き 成分表示の根拠
医薬部外品(浴用剤) 承認を受けた範囲(あせも・肩のこり・冷え症など) 厚生労働大臣または都道府県知事(承認基準の範囲の品目のみ)の製造販売承認 指定成分の表示は法律上の義務(第59条)。全成分表示は業界の自主基準(平成18年4月から)
化粧品(浴用化粧品) 「皮膚を清浄にする」等、化粧品の効能56項目の範囲内 化粧品の基準と表示のルールに従う 全成分表示(厚生省告示・通知にもとづく義務。条文の第61条は指定成分などを規定)
雑貨 身体への効能効果はうたえない 薬機法上の手続きなし 薬機法上の成分表示ルールの外。表示はメーカーの任意

どの区分にあたるかは製品ごとに決まっています。パッケージや公式サイトの「医薬部外品」「浴用化粧品」といった文言で確認できます。

医薬部外品は効能をうたえる代わりに承認が必要

医薬部外品(いわゆる薬用入浴剤)は、製造販売承認を受けることで化粧品より広い効能効果を表示できます。承認を出すのは厚生労働大臣で、承認基準の範囲に収まる品目は都道府県知事が承認します。日本浴用剤工業会が公開している情報では、承認の範囲として次の効能が挙げられています。

あせも・荒れ性・うちみ・肩のこり・くじき・神経痛・しっしん・しもやけ・痔・冷え症・腰痛・リウマチ・疲労回復・ひび・あかぎれ・産前産後の冷え症・にきび

このほか、いんきん・たむし・水虫・ひぜん・かいせんの効能も、配合成分によっては認められるとされています。

医薬部外品の容器には、薬機法第59条にもとづいて次の7項目を表示します。

  • 製造販売業者の氏名または名称と住所
  • 「医薬部外品」の文字
  • 名称
  • 製造番号
  • 内容量
  • 厚生労働大臣の指定する成分の名称(指定成分。現在140成分で、色素名・香料などが該当)
  • 使用期限

配合しているすべての成分の表示は、法律上の義務ではありません。平成18年4月から日本浴用剤工業会の自主基準(日本化粧品工業会の自主基準と同一)にもとづいて全成分を表示しています。この自主基準は日本石鹸洗剤工業会など医薬部外品関係の5団体も同じ方針で運用しており、薬用石けんも全成分表示の対象です。表示する成分名は、承認書に記載された名称が原則です。

承認をとるための配合基準は無機塩類が中心

医薬部外品として上記の効能をうたうには、厚生労働省の「浴用剤製造販売承認基準」(平成27年3月25日付通知)の要件を満たすのが基本です。平成10年3月24日付の旧基準を見直したもので、旧基準は廃止されました。対象は無機塩類を有効成分とする浴用剤で、次のような配合・規格の基準が定められています。

項目 基準の内容
有効成分の配合量 別表のⅠ欄に掲げる有効成分を合計70%以上配合し、そのうち1成分は25%以上配合すること(Ⅱ欄の成分は配合範囲が別に定められている)
成分の規格 日本薬局方・医薬部外品原料規格・食品添加物公定書のいずれかに適合すること
用法用量 浴槽の湯100Lあたり10.0〜50.0g(またはmL)
見直しの頻度 原則5年ごとに見直し

この基準に適合しない浴用剤は、承認前例を示す資料や、有効性・安全性の資料を出して個別に審査を受けます。

浴用剤の効果は、有効成分が湯に溶けて温浴効果・清浄効果を高め、その結果として諸症状の緩解が得られるという整理です。浴用剤の表示・広告の自主基準でも、効能効果が有効成分の直接作用であるとする表現は行わないこととされています。

パッケージに「医薬部外品」の文字と承認を受けた効能(あせも・肩のこりなど)が書かれていれば、承認を受けた製品です。化粧品や雑貨の区分で「あせもに効く」「肩こりが和らぐ」のように医薬部外品の承認効能と同じ表現を使っている場合は、薬機法上、未承認の医薬品・医薬部外品の効能の広告に当たるおそれがあります。

化粧品(浴用化粧品)は全成分表示が義務

化粧品に分類される入浴剤は、「(よごれをおとすことにより)皮膚を清浄にする」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」など、56の効能効果の範囲内で表示します。「肩こりに効く」「冷え症が改善する」といった医薬部外品の承認効能は、化粧品ではうたえません。

成分表示については、化粧品は配合しているすべての成分を表示する義務があります。医薬部外品の全成分表示が業界の自主基準であるのに対し、化粧品の全成分表示は国の告示にもとづく制度です。化粧品の表示名称は届出制で、INCI名をもとに日本化粧品工業会が作成しています。無添加ノートでは浴用化粧品の例としてEPSOPIA(エプソピア)を紹介しています。成分の内容は個別記事をご覧ください。

法律が直接定めているのは「指定成分」の表示

薬機法の条文を見ると、医薬部外品の直接の容器等への記載事項を定めた第59条(第8号)と、化粧品の第61条(第4号)に「厚生労働大臣の指定する成分を含有する場合は、その成分の名称」を表示する規定があります。これがいわゆる「表示指定成分」の制度で、使用期限とあわせて昭和55年(1980年)に表示規定が導入されました。

化粧品の全成分表示は、この条文から自然に広がったものではありません。厚生省(当時)は「化粧品規制の在り方に関する検討会」の最終とりまとめ(平成10年7月23日)を受けて全成分を表示する方針を定め、平成12年9月29日に告示を公布しました。制度の導入は平成13年(2001年)です。同年3月6日付の厚生労働省通知(医薬審発第163号・医薬監麻発第220号)は、成分の表示名称のリストに関するものです。

一方の医薬部外品は、全成分表示が告示で義務づけられたわけではなく、平成18年4月から業界の自主基準で実施されています。店頭ではどちらも全成分が並んでいるので違いは見えにくいですが、化粧品は国の制度、医薬部外品は業界の自主基準という成り立ちの差があります。

原料に付随して入る微量の成分は、キャリーオーバー成分と呼ばれます。日本化粧品工業会の適正広告ガイドラインは、その成分をキャリーオーバー成分として含むときは「無添加」と表現できないとしています。

雑貨の入浴剤は効能をうたえない

化粧品にも医薬部外品にも当たらない入浴剤は、一般に「雑貨」として売られています。薬機法には「雑貨」という区分の定義はなく、日本浴用剤工業会や日本化粧品工業会の資料にも雑貨についての記載はありません。化粧品の効能(うるおいを与えるなど)も医薬部外品の効能(冷え症など)もうたえないので、表現は色や香りを楽しむといった内容にとどまります。

厚生省の通知で示された浴用剤(医薬部外品)の表示・広告の自主基準には、避けるべき表現の例が挙がっています。温浴効果による緩解の範囲をこえて治療・予防できるとする表現、「柚子は風邪封じの湯」のような表現、「酵素入りなのでお風呂掃除が楽になります」のような表現、温泉の湯を再現できるかのような表現などです。これらは医薬部外品の浴用剤についての例ですが、化粧品や雑貨の入浴剤の表示を読むときの目安にもなります。この自主基準は昭和63年7月に浴用剤工業会がまとめ、平成25年4月に改正されています。

雑貨には薬機法にもとづく成分表示のルールがかからないため、「無添加」表示の根拠はメーカーの自主的な情報開示によります。何が添加されていないのかは、公式サイトの原材料の記載で確かめてください。

「無添加」という言葉の使い方は業界の基準と景品表示法で決まる

ここまでの区分は、効能のうたい方と成分表示を決める薬機法の枠組みです。「無添加」という言葉の使い方には、別のルールもかかわります。化粧品公正取引協議会の「化粧品の表示に関する公正競争規約」は、景品表示法第36条にもとづく協定・規約の制度によるもので、浴用化粧品も対象です。規約の個別の条文は今回確認できていないため、ここでは日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年6月15日)の考え方を紹介します。

・特定成分について単に「無添加」とだけ表現するのは、何を添加していないのか不明で不正確
・添加していない成分を明示し、保証的な表現や他社を誹謗する表現にならない範囲であれば使える
・その成分をキャリーオーバー成分として含むときは「無添加」と表現できない
・「100%無添加」のような強調表現は避け、「無香料・無着色」程度の表現にとどめる

「無添加」と書くのに届出や許可はいりません。ただし何を添加していないかを明示し、安全を保証するような表現にしないことが前提です。「無添加=安全」と短絡しない理由は、このガイドラインの線引きにも表れています。

「無添加」入浴剤を選ぶときに確認したいポイント

  • パッケージや公式サイトに「医薬部外品」「浴用化粧品」のどちらが書かれているか、どちらも書かれていないかを確認する
  • 医薬部外品・化粧品であれば全成分表示があるので、そこで無添加の対象成分を照合する
  • 雑貨の製品は成分表示がメーカーの任意対応なので、原材料の記載が具体的かどうかを見る
  • 「無添加」と書かれていても、何を添加していないか(着色料・香料・防腐剤など)が明記されているかを確認する
  • 肩こり・冷え症などの効能をうたう製品は医薬部外品のはずなので、「医薬部外品」の文字があるかを見る

よくある質問

医薬部外品と化粧品、どちらが「効き目」が強い?

医薬部外品は承認を受けた範囲で肩こり・冷え症などの効能をうたえますが、これは化粧品より広い表示が認められているという意味です。効き目の強さそのものを法律が保証しているわけではありません。効果の感じ方には個人差があります。

バスソルトは必ず化粧品になる?

そうとは限りません。バスソルトという名称は法律上の区分ではなく、成分や承認の有無によって医薬部外品・化粧品・雑貨のいずれにもなり得ます。個々の製品の区分は、パッケージや公式サイトの表記で確認してください。

雑貨の入浴剤は全成分表示がされていないと違法?

雑貨の入浴剤には、化粧品や医薬部外品のような薬機法上の成分表示のルールがかかりません。表示の有無や詳しさはメーカーごとの対応の差です。

「無添加」表示と医薬部外品の承認は関係がある?

直接の関係はありません。医薬部外品の承認は効能効果の表示にかかわる制度で、「無添加」表示は配合していない成分についての表示です。医薬部外品でも無添加をうたわない製品はありますし、雑貨でも無添加をうたう製品はあります。

持病がある場合、入浴剤を使う前に注意することは?

皮膚に持病がある場合や肌が敏感な時期は、使用前に少量を試すか、かかりつけの医師・薬剤師に相談してください。この記事は表示制度の解説で、医学的な助言ではありません。

「表示指定成分」と「全成分表示」はどう違う?

表示指定成分は、厚生労働大臣が指定した成分の名称を表示する制度で、薬機法第59条(医薬部外品)・第61条(化粧品)に定められています。昭和55年(1980年)に表示規定が導入され、医薬部外品の指定成分は現在140成分です。全成分表示は配合するすべての成分を書くもので、化粧品は平成12年9月29日公布の告示にもとづき平成13年に導入、医薬部外品は平成18年4月から業界の自主基準で実施されています。

「無添加」と表示するのに届出や許可は必要?

個別の届出や許可は不要です。日本化粧品工業会の適正広告ガイドラインは、何を添加していないかを明示すること、保証的な表現や他社を誹謗する表現にしないこと、キャリーオーバー成分として含む場合は「無添加」としないことを求めています。表示の内容によっては景品表示法上の問題にもなり得ます。

医薬部外品の入浴剤で水虫などの効能をうたえる?

日本浴用剤工業会によると、いんきん・たむし・水虫・ひぜん・かいせんの効能は、配合成分によっては認められます。すべての浴用剤でうたえるわけではないので、承認を受けた効能は個々の製品の表示で確認してください。

医薬部外品の入浴剤で「温泉の湯を再現」とうたえる?

浴用剤(医薬部外品)の表示・広告の自主基準では、温泉の湯が再現できるかのような表現は行わないこととされています。温泉らしい色や香りを楽しむ製品であっても、温泉そのものと同じ効果があるかのような表現はできません。

まとめ

入浴剤は薬機法上、化粧品と医薬部外品の2区分に分かれ、どちらにも当たらないものが雑貨として売られています。医薬部外品は承認を受けて効能をうたい、成分表示は指定成分が法律上の義務、全成分は平成18年4月からの業界の自主基準です。化粧品は効能が56項目に限られ、全成分表示は平成13年に告示で導入された国の制度です。雑貨は効能をうたえず、成分表示はメーカー次第です。「無添加」という言葉の使い方には、日本化粧品工業会のガイドラインや景品表示法にもとづく公正競争規約といった別のルールが重なっています。まず区分を確かめ、そのうえで全成分表示と「無添加」の対象成分を照らし合わせると読み違えが減ります。

浴用化粧品の実例はEPSOPIA(エプソピア)の記事、化粧品の全成分表示の読み方はこちらの記事もあわせてどうぞ。他カテゴリの「無添加」表示の法的根拠はこちらの早見表で整理しています。

あわせて読みたい

出典(いずれも2026年10月4日確認)

  • 日本浴用剤工業会「法規・表示について」https://www.jbia.org/safety7.html
  • 厚生労働省「浴用剤製造販売承認基準について」(平成27年3月25日 薬食発0325第39号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0826&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省「浴用剤(医薬部外品)の表示・広告の自主基準の実施について」(昭和63年8月3日 薬監第50号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7116&dataType=1&pageNo=1
  • e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)https://elaws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/335AC0000000145
  • 日本化粧品工業会「化粧品の成分表示の趣旨説明」https://www.jcia.org/user/business/ingredients/cmtexplain
  • 日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示の趣旨説明」https://www.jcia.org/user/business/ingredients/drugexplain
  • 日本化粧品工業会「全成分表示名称作成業務 よくある質問」https://www.jcia.org/user/business/ingredients/qa
  • 日本化粧品工業会「化粧品関連法規について」https://www.jcia.org/user/public/law
  • 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年6月15日)https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide.pdf
  • e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和37年法律第134号)https://elaws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/337AC0000000134

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