ヨーグルト・乳製品の添加物 増粘多糖類と安定剤

無添加トリビア

ヨーグルト・乳製品の添加物 増粘多糖類と安定剤

ヨーグルト(発酵乳)を名乗るには、無脂乳固形分が8.0%以上、乳酸菌数または酵母数が1mlあたり1,000万以上という成分規格を満たす必要があります。この基準を定めているのが「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」(乳等命令)です。長く「乳等省令」の名で知られてきた法令で、2024年4月1日に題名が省令から命令に改められました。現在は消費者庁の食品衛生基準審査課のページに掲載されています。古い資料では今も乳等省令と書かれていることが多いので、同じものを指していると考えて構いません。

一方、パッケージの「種類別」などの表示は、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)が定めています。この記事では、乳等命令による分類と食品表示基準による表示の読み方、ヨーグルトなど発酵乳製品に使われることがある添加物を整理します。

発酵乳と乳酸菌飲料の違い

発酵乳と乳酸菌飲料の無脂乳固形分と菌数の基準の図

乳等命令は、無脂乳固形分(乳から脂肪分を除いた、たんぱく質・乳糖・ミネラルなどの成分)の割合と、乳酸菌または酵母の数を基準に、次のように分類しています。

分類(乳等命令) 無脂乳固形分 乳酸菌数・酵母数(1mlあたり) 加熱殺菌したものの扱い
発酵乳 8.0%以上 1,000万以上 発酵後に75℃以上で15分間加熱(または同等以上)したものは菌数基準の対象外
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上のもの) 3.0%以上 1,000万以上 殺菌したものを菌数基準の対象外とする規定あり
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満のもの) 3.0%未満 100万以上 同様の除外規定は命令の本文に見当たらない

大腸菌群はいずれの分類でも陰性であることが求められます。無脂乳固形分3.0%以上の乳酸菌飲料は命令上「乳製品」に含まれ、包装では「種類別 乳酸菌飲料(乳製品)」の形で表示されます。売り場で見かける「乳製品乳酸菌飲料」という呼び方は、命令や食品表示基準の本文には出てこない言葉です。

無脂乳固形分の割合が高いほど乳由来の成分が多く、低いほど水や糖分で薄めた飲料に近づくという理解でおおむね合っています。

一部の乳製品は防腐剤の使用が禁じられている

乳等命令は、乳飲料、糊状または凍結した発酵乳、殺菌した乳酸菌飲料について、防腐剤を使用しないよう定めています。これらの商品では保存料を使わないことが前提なので、「保存料不使用」と書かれていても、ほかの商品との違いを示すものにはなりません。

また、発酵乳の原料(乳酸菌・酵母・発酵乳・乳酸菌飲料を除く)は、63℃で30分間の加熱殺菌か、これと同等以上の殺菌をすることが定められています。

ヨーグルトに使われることがある添加物

プレーンヨーグルトは、生乳(または乳)と乳酸菌を主な原料とし、添加物を使わずに作ることができる食品です。一方、フレーバー付きヨーグルトやドリンクタイプは、食感や風味を保つために添加物が使われることがあります。

なお、寒天は食品として使う場合は添加物表示が不要です。添加物としての目的で使う場合にだけ添加物として表示されます。下の表は添加物として使う場合の整理です。

添加物・表示名(添加物として使う場合) 使われる目的
増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料(増粘多糖類など) なめらかさや粘り気を与え、分離を防ぎ、安定性を高める
乳化剤 水と油を均一に混ぜ合わせる
香料 フルーツ風味などをつける
酸味料 酸味を調整する
甘味料 砂糖を使わずに甘みをつける
着色料 フレーバーに合わせた色味を補う

原則として、食品に使用した添加物はすべて表示しなければなりません。食品表示基準では、甘味料・着色料・保存料・増粘剤などの用途で使う添加物は、物質名と用途名を併記します。増粘多糖類であれば、主に増粘の目的なら「増粘剤」または「糊料」、主に安定の目的なら「安定剤」または「糊料」と書き、例えば「増粘剤(増粘多糖類)」のようになります。乳化剤・香料・酸味料は一括名で表示できます。

「無添加」を掲げるヨーグルトは、増粘剤や香料・着色料を使っていないことを指している場合が多くあります。何を使っていないのかは商品ごとに違うため、原材料表示で確かめるのが確実です。

「無糖」「プレーン」の違い

「プレーン」は、果肉やフレーバーを加えていない基本タイプを指す一般的な呼び方で、法令上の定義があるわけではありません。プレーンヨーグルトにも砂糖が加えられている商品と、無糖の商品があります。「無糖」を確認したい場合は、栄養成分表示の炭水化物・糖類の欄を見るか、原材料表示に砂糖類が含まれていないかを見ます。

売り場で最初に見るのは「種類別」の欄

ここまでの分類は、商品のパッケージで確認できます。食品表示基準は乳製品に「種類別」の表示を義務づけ、乳等命令第2条の定義に従った区分を書くよう定めています。「種類別 発酵乳」「種類別 乳酸菌飲料(乳製品)」のように、その商品がどの区分にあたるかが分かります。発酵乳と乳酸菌飲料では、見出しが「種類別名称」と書かれていることもあります。

「○○チーズ」「○○バター」のような商品名は、種類別の表示とは認められません。名前の印象ではなく、種類別の欄そのものを見ると区分を取り違えずに済みます。

乳等命令の定義では、発酵乳とは「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したもの」です。凍結したものが含まれているため、フローズンヨーグルトも条件を満たせば発酵乳にあたります。「殺菌」の表示がある発酵乳で生きた乳酸菌が菌数基準の対象にならないのは、先に触れた75℃15分の加熱殺菌の規定によるものです。

チーズは「ナチュラル」か「プロセス」かで製法が変わる

同じ乳製品でも、チーズは乳等命令で二つに分けられます。ナチュラルチーズは、乳などのたんぱく質を酵素その他の凝固剤で凝固させた凝乳から乳清の一部を除いたもの、またはこれを熟成したものです。プロセスチーズは「ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したもの」と定義されています。

種類別 作り方(乳等命令の定義) 添加物との関係
ナチュラルチーズ 乳などのたんぱく質を凝固させた凝乳から乳清の一部を除く。熟成したものも含む 原材料表示で個別に確認
プロセスチーズ ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融して乳化する 製法が乳化の工程を前提にしている

添加物の使用を義務づける規定はどちらにもありません。添加物の少ないチーズを探す場合も、まず種類別の欄でナチュラルチーズかプロセスチーズかを見て、そのうえで原材料表示を確認するという順番が分かりやすい方法です。

選ぶときに確認したいポイント

「種類別」の欄を見る 「発酵乳」「乳酸菌飲料(乳製品)」「乳酸菌飲料」のどれにあたるかが書かれています。無脂乳固形分の多さのおおまかな目安になります。

生菌か殺菌かを確認する 乳酸菌を生きた状態で摂りたい場合は「殺菌」の表示がないか確認します。殺菌製品でも、殺菌前に発酵させた成分自体は残っています。

プレーンとフレーバー付きで添加物の傾向が変わる シンプルな原材料で選びたい場合は、プレーンタイプのほうが添加物が少ない傾向にあります。ただし商品ごとに異なるため、原材料表示は個別に確認してください。

機能性表示の有無と無添加は別の軸 「特定の乳酸菌株」を機能性関与成分として届け出ている機能性表示食品のヨーグルトもあります。機能性の表示は科学的根拠の届出にもとづくもので、添加物の使用有無とは別の制度です。両方を確認したい場合は、機能性表示の欄と原材料表示をそれぞれ見る必要があります。機能性表示食品とトクホの制度の違いは別記事で整理しています。

賞味期限と保存方法を確認する 包装に表示された保存方法を守り、賞味期限内に消費するのが基本です。

よくある質問

ヨーグルトと乳酸菌飲料はどちらが乳酸菌が多いですか

乳等命令の成分規格では、発酵乳(ヨーグルト)と無脂乳固形分3.0%以上の乳酸菌飲料は1mlあたり1,000万以上、3.0%未満の乳酸菌飲料は100万以上とされています。これは最低基準で、実際の菌数は商品によって異なります。また、加熱殺菌した発酵乳などは菌数基準の対象外です。

「殺菌」と書かれたヨーグルト飲料は効果がないのですか

殺菌製品は乳酸菌が加熱により死んでいますが、発酵の過程で作られた成分(乳酸など)自体はなくなりません。生きた乳酸菌を目的にする場合は、殺菌表示のない生菌製品を選ぶ必要があります。

プレーンヨーグルトなら無添加と考えてよいですか

プレーンヨーグルトは添加物なしで作ることができる食品ですが、商品によっては安定剤や香料が使われている場合もあります。「無添加」の表示だけでなく、原材料表示を確認するのが確実です。

無脂乳固形分の割合が高いほど体に良いのですか

無脂乳固形分は乳由来の成分の多さを示す指標で、栄養価の優劣を直接示すものではありません。たんぱく質を多く摂りたい、水分補給に近い感覚で飲みたいなど、目的に応じて分類の違いを目安に選んでください。

増粘多糖類は体に悪いのですか

増粘多糖類は、食品のなめらかさや粘り気を保ち分離を防ぐ目的で使われる添加物で、使用した場合は「増粘剤(増粘多糖類)」のように用途名とともに表示されます。気になる場合は原材料表示を見て、使われていない商品を選ぶこともできます。添加物の役割ごとの分類はこちらの記事で整理しています。

パッケージの「種類別」は何を見ればよいですか

食品表示基準にもとづき、乳製品には「種類別 発酵乳」のようにその商品の区分が表示されています。発酵乳か乳酸菌飲料か、ナチュラルチーズかプロセスチーズかは、この欄を見れば分かります。「○○チーズ」のような商品名は種類別の表示とは認められないので、欄そのものを見てください。

無添加のチーズを探すにはどうすればよいですか

まず種類別の欄でナチュラルチーズかプロセスチーズかを確認します。プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱溶融して乳化する製法です。どちらの種類でも添加物の有無は商品ごとに違うため、原材料表示の確認が必要です。

「乳製品乳酸菌飲料」と「乳酸菌飲料」は何が違いますか

乳等命令では、どちらも乳酸菌飲料で、無脂乳固形分が3.0%以上か未満かで分かれます。3.0%以上のものは乳製品に含まれ、包装では「種類別 乳酸菌飲料(乳製品)」と表示されます。菌数の基準も3.0%以上は1mlあたり1,000万以上、3.0%未満は100万以上と異なります。

「保存料不使用」のヨーグルトは珍しいのですか

乳等命令は、糊状または凍結した発酵乳、乳飲料、殺菌した乳酸菌飲料に防腐剤を使わないよう定めています。これらの商品では保存料を使わないことが前提です。

関連記事 加工でん粉(加工デンプン)とは 11品目の種類と表示の読み方、国際的な評価の整理

まとめ

ヨーグルト・乳酸菌飲料は、乳等命令の無脂乳固形分と乳酸菌数の基準によって「発酵乳」「乳酸菌飲料(3.0%以上、乳製品)」「乳酸菌飲料(3.0%未満)」に分かれ、パッケージの種類別の欄は食品表示基準にもとづいて書かれています。糊状の発酵乳や殺菌した乳酸菌飲料などはもともと防腐剤を使えません。フレーバー付きや低糖タイプでは増粘剤・香料などが使われることがあるため、「無添加」を確認したい場合は種類別の欄と原材料表示をあわせて見てください。この記事は公開されている法令・公式資料にもとづく整理です。

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出典

  • e-Gov法令「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」(昭和26年厚生省令第52号) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/326M50000100052 (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」改正履歴 https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_revisions/326M50000100052 (確認日 2026年10月4日)
  • 内閣府(消費者庁)「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」e-Gov法令データ(別表第6・別表第7・別表第19・附則第2条) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010 (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A(加工食品編)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_261001_12.pdf (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「その他の食品の規格基準」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/ (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「食品添加物 その他(消費者向け情報)Q&A」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/qa_consumers (確認日 2026年10月4日)
  • 日本食品添加物協会「食品添加物の種類と用途例」 https://www.jafaa.or.jp/tenkabutsu01/siryou (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「食品衛生法」(昭和22年法律第233号) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000233 (確認日 2026年10月4日)

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