石鹸(薬用石鹸)は化粧品? 医薬部外品との違いと『無添加』表示

無添加トリビア

石鹸(薬用石鹸)は化粧品? 医薬部外品との違いと『無添加』表示

ボディソープや洗顔料と同じ売り場に並ぶ「石鹸」にも、「薬用」の有無で化粧品と医薬部外品の区分があります。これまでのシャンプー・制汗剤・日焼け止め・歯磨き粉と同じ構造ですが、石鹸には「全成分表示の自主基準が別の業界団体のものになっている」「固形の化粧石けんだけを対象にした公正競争規約が別にある」「台所用・洗濯用になると薬機法ではなく家庭用品品質表示法の話になる」という、このシリーズの中でも独自のポイントがいくつもあります。この記事では公開情報にもとづき整理します。

同じ「石けん」でも、用途によって適用される法律が違う

薬用石鹸・化粧品の石けん・化粧石けん・台所洗濯用石けんの法律上の区分と表示ルールの図

最初に押さえておきたいのは、石けんという言葉が指す範囲の広さです。体を洗う石けんは薬機法(医薬品医療機器等法)の世界の製品ですが、食器を洗う台所用石けんや衣類を洗う洗濯用石けんは薬機法の対象ではなく、家庭用品品質表示法にもとづく雑貨工業品として扱われます。売り場も表示ルールも別物です。

製品 法律上の区分 主な表示のルール
薬用石鹸・薬用ボディソープ・薬用洗顔料 医薬部外品(薬機法) 有効成分の名称・分量の表示義務。品目ごとに厚生労働大臣の承認が必要
浴用石けん・ボディソープ・洗顔料(「薬用」表示なし) 化粧品(薬機法) 全成分表示が義務
固形の化粧石けん(上記のうち固形のもの) 化粧品または医薬部外品(薬機法) 上記に加えて「化粧石けんの表示に関する公正競争規約」の必要表示事項
台所用石けん・洗濯用石けん 雑貨工業品(家庭用品品質表示法) 品名・成分・液性・用途・正味量など8項目の表示

「無添加石けん」をうたう製品でも、それが浴用なのか台所用なのかで、そもそも根拠となる法律が変わります。まずは自分が見ている製品がどこに属するのかを確かめるところからです。

石鹸は「化粧品」と「医薬部外品(薬用石鹸)」の2区分

パッケージに「薬用石鹸」「薬用せっけん」と書かれていれば医薬部外品、書かれていなければ化粧品です。液体タイプのボディソープ・洗顔フォームは化粧品に分類される製品が多く、固形石鹸には薬用タイプが比較的多く見られます。

区分 うたえる効能効果 成分表示の義務
医薬部外品(薬用石鹸) 承認を受けた有効成分にもとづき、定められた2つの文言の範囲内 有効成分の名称・分量のみ表示義務。全成分表示は法的義務ではなく、日本石鹸洗剤工業会の自主基準(2006年4月から)による
化粧品(ボディソープ・洗顔料・一般石鹸) 「皮膚を清浄にする」「皮膚を保護する」等、化粧品の効能56項目の範囲内 全成分表示が薬機法上の義務

薬用石鹸がうたえる効能は、2つの文言だけ

医薬部外品は「効能をうたえる」と説明されることが多いのですが、薬用石鹸の場合、うたえる内容はかなり厳密に決まっています。厚生労働省の「薬用石けんの承認審査に係る留意事項について」(平成30年3月29日付け薬生薬審発0329第13号)は、薬用石けん(洗顔料を含む)の効能または効果を、次の2つから設定するよう示しています。

  • 皮膚の清浄・殺菌・消毒。体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。
  • 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。

そして、どちらの文言を選べるかは配合した有効成分で決まります。同じ通知の別表では、使用できる有効成分と配合量が次のように定められています。

有効成分 配合量(%) 設定できる効能
イソプロピルメチルフェノール 0.1〜0.5 清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びにきびを防ぐ
サリチル酸 0.2 清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びにきびを防ぐ
濃ベンザルコニウム塩化物液50 0.47 清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びにきびを防ぐ
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05〜0.4 清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ
グリチルレチン酸ステアリル 0.05 清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ

同通知では、有効成分の配合は2種までとされ、組み合わせと配合量も別表で指定されています。また、イソプロピルメチルフェノール・サリチル酸・濃ベンザルコニウム塩化物液50を配合する場合は「皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ」を効能として設定できない、という制限も明記されています。剤形は固形剤・半固形剤・液状剤等とされており、固形か液体かは区分を決める要素ではありません。この留意事項の範囲外の成分・配合で承認を受けようとする場合は、承認前例を示す資料や有効性・安全性の資料の提出が求められます。

つまり、この5成分は「これ以外は承認されない」という限定リストではなく、承認前例が積み上がった範囲を示すものです。同じ日付の通知には「さらなる承認前例の蓄積に伴い、適宜見直しを図る」とあり、薬用石けんの項は、それまでの「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト」(平成20年12月25日付)から削除されて留意事項に移されました。留意事項に基づいて申請する場合は、申請書の備考欄に「薬用石けんの承認審査に係る留意事項による」と記載します。

2種までとされる有効成分の組み合わせは、同通知の別表で次の2通りだけが示されています。

組み合わせ 配合量(%) 設定できる効能(通知の規定にあてはめた場合)
イソプロピルメチルフェノール + グリチルリチン酸ジカリウム 0.1〜0.5 + 0.1〜0.2 清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びにきびを防ぐ
グリチルリチン酸ジカリウム + サリチル酸 0.05〜0.1 + 0.2 清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びにきびを防ぐ

添加剤にも条件があり、「医薬部外品添加物リスト」に載るもののうち、有効成分と本質が同じ成分や、効能に影響を与える成分は配合できないとされています。「無添加」をうたう薬用石けんでも、有効成分は必ず入っている点に変わりはありません。

パッケージの効能表示が上の2文言のどちらかに一致していれば、それは承認を受けた医薬部外品の表示です。逆にいえば、この2つを超える効果(たとえば特定の皮膚疾患を治す、といった表現)は薬用石鹸ではうたえません。

2016年、薬用石鹸の殺菌成分19成分が切り替えられた

薬用石鹸の成分を考えるうえで、避けて通れない出来事が2016年にありました。同年9月2日、米国食品医薬品局(FDA)がトリクロサン等19成分を含有する抗菌石けんの販売を米国において1年以内に停止する措置を発表します。これを受けて日本化粧品工業連合会と日本石鹸洗剤工業会が会員会社に切替えを要請し、厚生労働省も平成28年9月30日付けで「薬用石けんに関する取扱い等について」(薬生薬審発0930第4号・薬生安発0930第1号)を通知しました。

この通知で示された内容は、公開資料から次のように確認できます。

  • 対象製品は薬用石けん(薬用ハンドソープ・薬用ボディソープ・薬用洗顔料を含み、医薬部外品の承認を受けたもの)
  • 対象成分はトリクロサン、トリクロカルバン、ヘキサクロロフェン、フェノール、ヨウ素系成分など19成分
  • 有効成分として対象成分を含む既承認品は、平成29年9月30日までに代替新規申請または承認整理を行うこと
  • 添加剤として含む場合も、同日までに一部変更承認申請または承認整理を行うこと
  • 国内ではこれらの成分を含む薬用石けんが約800品目承認されていた(流通していない製品を含む)
  • これらの製品に関連した医薬品医療機器法上の健康被害は報告されていない
  • 薬用石けん以外の石けんについても、同様に対象成分を含まない製品への切替えを検討するよう求めている

健康被害が報告されたから禁止された、という経緯ではない点は押さえておきたいところです。FDAの措置は、長期連用したときに一般の石けんと手洗い水より優れているという有効性が示されなかったことを理由とするもので、厚生労働省の通知も「健康被害は報告されていません」と明記したうえで切替えを促す形をとっています。一方、2018年の承認審査の留意事項は、有効成分の種類や配合量を「承認前例をもとに」まとめたもので、5種類に絞られた理由は通知に書かれていません。2016年の切替えとの関係は、公開資料からは断定できません。

この経緯は「昔の薬用石鹸は危険だった」という話ではありません。逆に「今の薬用石鹸は殺菌成分が入っているから強い」と決めつける根拠にもなりません。無添加かどうかを考えるときは、成分名そのものよりも、どの区分の製品で、どこまでの情報が表示されているかを見るほうが確実です。

薬用石鹸の全成分表示は、別の業界団体の自主基準で行われている

これまでのシャンプー・制汗剤・日焼け止めの記事で触れたとおり、日本化粧品工業会は2006年4月から、医薬部外品のうち薬用化粧品(薬用石鹸を除く)・育毛剤・腋臭防止剤・除毛剤・てんか粉類・忌避剤の6種類について、業界の自主基準として全成分表示を行っています。この対象品目のかっこ書きにあるとおり、薬用石鹸は日本化粧品工業会の対象に含まれません。ただし、薬用石鹸には別の団体の自主基準があります。日本石鹸洗剤工業会は「医薬部外品の成分表示に係る日本石鹸洗剤工業会の基本方針」(平成18年3月24日)を定め、薬用石けんの成分表示を平成18年4月1日から(猶予期間2年間)自主基準として実施するとしています。表示に使う成分名称は、日本化粧品工業会と共通の「医薬部外品の成分表示名称リスト」です。

この基本方針の主な内容は、次のとおりです。

  • 表示する成分は、原則として医薬部外品の承認書に記載された全成分
  • 「有効成分」と「その他の成分」の2グループに分けて表示する(有効成分は承認書の記載順、その他の成分の順序は企業の判断)
  • 企業秘密成分は、企業の判断で成分名を表示しないことができる。その場合は表示しない成分の数を「他n成分」と示す
  • pH調整剤・粘度調整剤は、表示指定成分以外であれば「pH調整剤」「粘度調整剤」と用途名でまとめて表示してよい
  • 外から全成分が確認できるように表示するのが原則。表示面積が足りないときは、表示しきれない成分があることを示したうえで、成分を記載した文書を製品に添付する

化粧石けんの公正競争規約の施行規則にも、医薬部外品の全成分表示について、この基本方針にもとづいて表示することが「できる」という規定があります。いずれも自主的な取り組みであって、表示しなければならないという法律上の義務ではない点が、化粧品の全成分表示との決定的な違いです。

「無添加」の薬用石鹸を選ぶときは、パッケージか公式サイトで全成分が確認できるかを見てください。日本石鹸洗剤工業会の基本方針では、企業秘密成分を「他n成分」とまとめて表示できるため、一覧に出ていない成分が残っている場合があります。法律上の義務ではなく業界の自主基準なので、「無添加」の根拠を成分表で確かめる確実さは化粧品区分に及びません。

化粧品のボディソープ・洗顔料は全成分表示が義務

「薬用」と書かれていない一般的なボディソープ・洗顔料は化粧品にあたり、うたえる効能は「皮膚を清浄にする」「皮膚を保護する」といった化粧品の効能56項目の範囲に限られます。一方で、配合しているすべての成分を表示する全成分表示は薬機法にもとづく法的義務です。「無添加」の中身(界面活性剤の種類、香料、着色料等)を具体的に確認したい場合は、化粧品区分のほうが表示の裏付けが強いといえます。

石けんの全成分表示では、原料となる脂肪酸塩が「石ケン素地」「カリ石ケン素地」といった表示名称で記載されます。固形石けんに使われる脂肪酸ナトリウム塩が石ケン素地、液体石けんに使われる脂肪酸カリウム塩がカリ石ケン素地にあたるのが一般的です。成分表がこれらと水、少数の油脂由来成分だけで終わっている製品もあれば、合成界面活性剤や保湿成分、キレート剤などが続く製品もあり、そこが「無添加」の中身を読み解く手がかりになります。

固形の化粧石けんには、もう一つ別の表示ルールがある

石けん特有の事情として、薬機法とは別に、景品表示法にもとづく「化粧石けんの表示に関する公正競争規約」があります。この規約でいう化粧石けんとは、薬機法上の化粧品(医薬部外品を含む)のうち、成分が脂肪酸ナトリウム塩またはこれに類する成分を含有し、主として人体の洗浄を目的とする、家庭用の固形の石けん類です。液体のボディソープはこの規約の対象外になります。

規約第3条は、化粧石けん(医薬部外品を除く)の容器または包装に、次の事項を邦文で見やすく表示するよう定めています。

  • 製造販売業者の氏名または名称および住所
  • 販売名
  • 石けんである旨(販売名に「石けん」が含まれる場合は省略可)
  • 薬機法第61条第4号で厚生労働大臣の指定する成分
  • 製造番号または製造記号
  • 指定化粧石けんにあっては使用の期限
  • 製造方法が枠練りによるものにあっては、その旨
  • 1個の標準重量
  • 輸入品にあっては原産国名

医薬部外品の化粧石けんの場合は、薬機法第61条第4号の指定成分の項目を除いた上記の事項に加えて、脂肪酸ナトリウム塩以外の洗浄を目的とする成分があればその成分名、薬機法第59条第8号で指定する成分、香料を含有する場合はその旨、医薬部外品である旨の表示が求められます。「1個の標準重量」は、通常の販売において製造後約5か月の時点で到達するであろう重量と定義され、購入時の誤差は原則±5%(枠練り石けんは±10%)の範囲内とされています。石けんが乾燥で軽くなることを前提にした、石けんならではの規定です。標準重量について消費者から苦情があった場合は、公正取引協議会が10か所以上の異なる店舗などから試料を集めて試験し、その平均値で判定すると施行規則に書かれています。

施行規則には、表示の細部も決められています。

  • 指定成分は配合量の多い順に表示する(配合量が1%以下の成分は末尾にまとめて順不同でもよい)
  • 販売名・石けんである旨・標準重量・原産国名は、日本産業規格Z8305の7ポイント以上の文字で表示する(表示面積の都合など合理的な理由がある場合は4.5ポイント以上)
  • 原産国名は、原料の製造国ではなく、混練または枠練りの工程を行った事業所のある国を指す。ラベル貼りや外装、詰め合わせ、成型だけの工程は「製造」に含まれない
  • 使っていない物質の名称を販売名に使えないのが原則だが、その物質の香料を配合し、香料である旨を販売名に併記する場合は使える

なお、この規約に拘束されるのは、化粧石けん公正取引協議会に参加する事業者です。違反があった場合、協議会は警告を行い、従わなければ30万円以下の違約金を課すか、消費者庁長官に必要な措置を求めることができるとされています。

販売名についての規定も、無添加や自然志向をうたう製品を見るときに役立ちます。規約第5条は、使用されていない物質の名称を販売名に用いることを禁じたうえで、施行規則で特定の物質の基準使用量を定めています。

販売名に使える物質 基準使用量
黒砂糖 全重量の5%以上
牛乳、ミルク 乳製品またはその加工品の合計量が全重量の5%以上
はちみつ はちみつまたは還元はちみつの合計量が全重量の3%以上

このほか、規約第7条は、品質・効能・安全性についての最大級を意味する表示(施行規則第4条は「最高」「最高級」「最上級」「完全」「絶対」などを例示)や、一般消費者に誤認されるおそれのある表示を禁じています。同条第5号には、2023年10月1日から景品表示法の不当表示として規制されているステルスマーケティングの禁止も入っています。一方で「無添加」という言葉そのものについての基準は、この規約には置かれていません。何を添加していないのかは、結局のところ各社の表示と成分表示を突き合わせて読むしかない、という点は食品の無添加表示と同じ構造です。

台所用・洗濯用の石けんは、家庭用品品質表示法の世界

同じ「無添加石けん」という言葉でも、食器用・洗濯用となると根拠法が変わります。消費者庁の家庭用品品質表示法(雑貨工業品品質表示規程)では、洗濯用または台所用の石けんについて、界面活性剤または界面活性剤と洗浄補助剤等からなり、主たる洗浄作用が純石けん分の界面活性作用によるものと定義しています。純石けん分とは脂肪酸塩であって、その含有率がJIS K3304(石けん試験方法)により求められるものとされ、洗濯用は界面活性剤の総含有重量の70%以上、台所用は60%以上が「石けん」を名乗る条件です。この割合を満たさず他の界面活性剤も使うものは「複合石けん」と表示されます。

表示すべき事項は、品名(洗濯用石けん・洗濯用複合石けん・台所用石けん・台所用複合石けんのいずれか)、成分、液性、用途、正味量、使用量の目安、使用上の注意、表示者名等の8項目です。固形のものは液性以下の項目を省略できます。液性は、pHが11.0を超えるものを「アルカリ性」、11.0以下で8.0を超えるものを「弱アルカリ性」と表示するよう定められています。成分は、純石けん分以外の界面活性剤を含まない場合には「純石けん分」と表示し、かっこ書きで含有率と脂肪酸塩の種類の名称を付記することになっています。純石けん分以外の界面活性剤を含む場合は、その部分にアンダーラインを引くことも求められます。「無添加」をうたう石けんを選ぶ際に見逃せないのは、蛍光剤・酵素・漂白剤を配合している場合に、含有率にかかわらず「蛍光増白剤」「酵素」「漂白剤」の用語での表示が必要とされている点です。

つまり、台所用・洗濯用の石けんでは「純石けん分99%」のような数値表示に法律上の定義があるのに対して、体を洗う化粧石けんの側には、そうした純度の表示基準がありません。同じ「純石けん」という言葉でも、どちらの製品について言っているのかで裏付けの強さが違います。

「無添加」の石鹸を見るときに確認したい視点

  • 用途を確認する。体を洗う石けんは薬機法、台所用・洗濯用は家庭用品品質表示法で、表示のルールが別
  • 「薬用」と書かれているかどうかで、医薬部外品か化粧品かを判別する
  • 体臭・にきびなど特定の悩みへの効能を求めるなら医薬部外品、成分を具体的に確認したいなら化粧品、と目的で使い分ける
  • 薬用石鹸の全成分表示は法的義務ではなく日本石鹸洗剤工業会の自主基準による。「他n成分」と伏せられた成分がないか、成分表の末尾まで見る
  • 効能の表示が承認された2つの文言のどちらかに収まっているかを見る。それを超える表現があれば、区分に照らして正確か確認する
  • 固形の化粧石けんなら、公正競争規約にもとづく製造販売業者名・標準重量・枠練り表示などが入っているかを確認する
  • 「無添加」が何を指しているかは、製品ごとに自社で決めた定義。香料なのか着色料なのか防腐剤なのか、必ず具体的な記載を探す

よくある質問

薬用石鹸は日本化粧品工業会の全成分表示の対象外?

日本化粧品工業会が公表している対象品目の一覧では、薬用化粧品から薬用石鹸が除かれています。除外の詳しい経緯は公開情報からは確認できませんでした。一方、薬用石けんについては日本石鹸洗剤工業会が別に自主基準を設けており、平成18年4月1日から全成分を表示する方針が公表されています。

薬用石鹸の全成分は確認できる?

法律上の表示義務は有効成分の名称・分量のみですが、日本石鹸洗剤工業会の自主基準にもとづき、承認書に記載された全成分を表示する運用があります。ただし企業秘密成分は「他n成分」と表示できます。化粧石けんの公正競争規約施行規則にも、この基本方針にもとづいて医薬部外品の全成分表示を行うことが「できる」という規定があります。確認したい場合は、パッケージの表示に加えて、公式サイトの製品情報ページも見るとよいでしょう。

液体ボディソープに薬用タイプはある?

あります。液体タイプでも「薬用」と表示された医薬部外品のボディソープは販売されています。承認審査の留意事項でも、薬用石けんの剤形は固形剤・半固形剤・液状剤等とされており、区分は製品の形状ではなく、承認された有効成分を配合しているかどうかで決まります。

「無添加石鹸」と「純石鹸」は同じ意味?

同じではありません。「純石鹸」は界面活性剤の種類が脂肪酸ナトリウム(石けん素地)のみであることを指すことが多く、「無添加」は香料・着色料等、別の成分を配合していないことを指す表示です。なお、純石けん分の含有率に法律上の定義があるのは台所用・洗濯用の石けん(洗濯用70%以上、台所用60%以上)であり、体を洗う化粧石けんの側には同様の数値基準はありません。

薬用石鹸は肌に刺激が強い?

殺菌成分を配合している分、人によっては刺激を感じる場合があるとされています。肌が敏感な場合は、成分表示を確認し、気になる場合は少量から試す、または皮膚科に相談することが案内されています。区分や成分だけで刺激の強さが決まるわけではない点にも注意が必要です。

トリクロサン入りの薬用石鹸はもう売っていない?

厚生労働省の平成28年9月30日付け通知は、有効成分としてトリクロサン等19成分を含む既承認の薬用石けんについて、平成29年9月30日までに代替製品への切替え(代替新規申請)または承認整理を行うよう求めました。現在国内で流通している薬用石けんは、この切替えを経たものと考えるのが自然です。ただし通知は切替えを促すもので、個別の製品がいつどう対応したかは各社の公開情報で確認することになります。

「牛乳石けん」「はちみつ石けん」のような商品名に基準はある?

固形の化粧石けんについては、化粧石けんの表示に関する公正競争規約の施行規則が基準使用量を定めています。黒砂糖は全重量の5%以上、牛乳・ミルクは乳製品またはその加工品の合計量が5%以上、はちみつは還元はちみつを含む合計量が3%以上です。これを満たさない場合、その物質名を販売名に用いることはできません。

「枠練り」と書いてあるのはどういう意味?

石けんの製造方法の一つで、公正競争規約では製造方法が枠練りによるものはその旨を表示することとされています。標準重量の許容誤差も、一般の化粧石けんが原則±5%であるのに対し、枠練り石けんは±10%と別に定められています。製法の違いが表示のルールにも反映されている例です。

台所用の「無添加石けん」は食器に残らない?

家庭用品品質表示法では、台所用石けんの表示事項に使用量の目安と使用上の注意が含まれており、野菜・果物を5分間以上漬けたままにしない旨、流水ですすぐ場合は野菜・果物は30秒間以上、食器・調理用具は5秒間以上すすぐ旨などを、製品の品質に応じて表示することとされています(固形石けんは省略可)。無添加かどうかに関わらず、まずは製品ごとの表示に従うのが前提になります。

まとめ

石鹸も「薬用」表示の有無で化粧品と医薬部外品に分かれ、薬用石鹸は体臭・にきび等の効能をうたえる代わりに、全成分表示の自主基準が日本化粧品工業会ではなく日本石鹸洗剤工業会のものになっているという、このシリーズの他の品目と違う位置づけです。さらに固形の化粧石けんには公正競争規約という別系統のルールがあり、台所用・洗濯用になると家庭用品品質表示法の話になります。「無添加」の成分を具体的に確認したい場合は化粧品区分のほうが表示の裏付けが強く、商品名や純石けん分の数値に基準があるかどうかも製品の区分で変わる、という点を踏まえて選ぶとよいでしょう。

出典(原文の確認日 2026年10月3日) 医薬品医療機器等法(薬機法)/厚生労働省「薬用石けんの承認審査に係る留意事項について」(平成30年3月29日付け薬生薬審発0329第13号、PMDA掲載の通知)/厚生労働省「薬用石けんに関する取扱い等について」(平成28年9月30日付け薬生薬審発0930第4号・薬生安発0930第1号)および同日の報道発表資料(PMDA掲載)/化粧石けん公正取引協議会「化粧石けんの表示に関する公正競争規約」および同施行規則(全国公正取引協議会連合会掲載、2025年8月版PDF)/消費者庁「家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規程(洗濯用又は台所用の石けん)」(製品別品質表示の手引き)/日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示の趣旨説明」/日本石鹸洗剤工業会「医薬部外品(薬用石けん)の成分表示」および「医薬部外品の成分表示に係る日本石鹸洗剤工業会の基本方針」(平成18年3月24日)

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