保健機能食品の3制度と無添加表示が別の軸であることを示した図

無添加トリビア

機能性表示食品・特定保健用食品と「無添加」は何が違うか

「機能性表示食品」「特定保健用食品(トクホ)」というマークやロゴを見かけることがあります。どちらも健康への働きを表示できる食品ですが、制度も審査の厳しさも別物です。この記事では、これら保健機能食品の制度の違いと、「無添加」表示との関係を整理します。

保健機能食品という括り、3つの制度がある

トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品の3制度と「無添加」表示の関係の図

健康への働きを表示できる食品は、消費者庁の制度上「保健機能食品」と呼ばれ、次の3種類に分かれます。

制度 審査・届出の方式 制度開始 特徴
特定保健用食品(トクホ) 国(消費者庁長官)の個別許可制 1991年 食品ごとに有効性・安全性の審査を受ける。許可マークがある
栄養機能食品 自己認証(届出・許可不要) 2001年 国が定めた規格基準を満たすビタミン・ミネラル等について表示できる
機能性表示食品 事業者による事前届出制 2015年 国の個別審査はなく、事業者が科学的根拠を届け出る

トクホは食品ごとに国の審査があるため、許可までに時間と費用がかかります。機能性表示食品は事業者の責任で科学的根拠(臨床試験または研究レビュー)を届け出るだけで表示でき、トクホに比べて商品化までのハードルが低いのが特徴です。栄養機能食品は、あらかじめ国が定めた栄養成分(ビタミンC、カルシウムなど)について、基準を満たせば審査も届出も不要で表示できます。

2024年の制度見直し(紅麹問題を受けて)

2024年3月、紅麹を原料とする機能性表示食品を摂取した人に腎疾患等の健康被害が発生し、原料への意図しない成分の混入が疑われる事案が明らかになりました。この事案では、届出者の内部で一定の結論を得てから報告が行われたため、消費者庁や自治体への情報提供までに約2か月を要したことが問題とされました。これを受けて、それまでガイドラインで運用されていた事項が内閣府令・告示に位置づけられ、制度が組み直されています。

見直し項目 施行 適用(経過措置の終了)
健康被害情報の収集体制/医師の診断による健康被害情報の保健所等への提供 令和6年9月1日(即日実施、経過措置なし) 令和6年9月1日
天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等のGMP(適正製造規範)基準の適用 令和6年9月1日(以降は経過措置期間) 令和8年9月1日
届出情報の表示方法の見直し 令和6年9月1日(以降は経過措置期間) 令和8年9月1日
新規成分に係る手続(60営業日・120営業日)を含む届出事項 令和7年4月1日(即日実施) 令和7年4月1日

健康被害情報の収集・提供は2024年9月1日から、GMP基準と届出情報の表示方法の見直しは経過措置期間を経て2026年(令和8年)9月1日から適用されています(消費者庁「機能性表示食品の今後について」の施行スケジュールによる)。天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等の機能性表示食品は、GMPにもとづく製造工程管理が求められる段階に入ったということです。

健康被害の情報提供はどこまで求められるのか

消費者庁の資料では、届出者が情報提供すべき健康被害の範囲が具体的に示されています。対象は医師が診断したものに限られ、その食品との因果関係が不明であっても、速やかに都道府県知事等および消費者庁長官へ提供することとされています。

  • 同一の製品による健康被害のうち、同じ所見の症例が短期間で複数発生した場合に情報提供する
  • 「短期間に複数発生」とは、概ね30日以内に同じ所見の症例が2以上発生した場合
  • 死亡事例、医師が重篤と判断した症例は、1例であっても情報提供する
  • 検査入院や経過観察による入院など、医師が重篤ではないと判断した症例は重篤事例として扱わなくてよい

この情報提供の義務は特定保健用食品にも及び、許可を受けた者は同様に健康被害と疑われる情報を収集し、提供することとされています。機能性表示食品は国の個別審査を経ない分、事業者側の安全管理体制の厳格化という形で制度が強化された、という経緯です。

「無添加」表示とは別の軸で判断されている

保健機能食品の制度は、「その成分にどんな機能があるか」を科学的根拠にもとづいて表示するための制度です。一方、「無添加」表示は「何を使っていないか」を示す表示で、消費者庁の食品添加物の不使用表示に関するガイドラインが対象にしています。この2つは審査の主体も判断基準も異なる、独立した制度です。不使用表示のガイドラインそのものは別記事で解説しています。

したがって、機能性表示食品やトクホであることと、その商品が無添加であることは無関係です。機能性関与成分を届け出ている商品でも、風味や保存性のために添加物が使われている場合がありますし、逆に無添加を掲げる商品でも保健機能食品の届出をしていなければ機能性の表示はできません。健康効果と添加物の有無は、それぞれ別の項目として原材料表示・機能性表示の欄を確認する必要があります。

選ぶときに確認したいポイント

マークだけで安全性・機能性の高さを判断しない トクホは国の個別審査、機能性表示食品は事業者の届出という違いがあり、審査の厳しさが異なります。届け出られている根拠(臨床試験か研究レビューか)は、消費者庁の届出データベースで公表されています。

機能性表示と無添加表示は別々に確認する 「〇〇の機能がある」という表示と「保存料不使用」等の表示は、それぞれ別の制度・別の根拠にもとづいています。両方を確認したい場合は、パッケージの機能性表示欄と原材料表示欄をそれぞれ見る必要があります。

健康被害の情報は事業者・消費者庁への報告対象になっている 2024年の制度改正で、健康被害が疑われる情報の報告が義務化されました。体調に異変を感じた場合は、自己判断で様子を見ず、事業者の相談窓口や医療機関に相談してください。

よくある質問

機能性表示食品はトクホより効果が弱いのですか

効果の強さを単純に比較できるものではありません。トクホは国が個別に審査する分、許可までのハードルが高く、機能性表示食品は事業者が科学的根拠(臨床試験または研究レビュー)を示して届け出る制度です。審査の方式が異なるだけで、届け出られた根拠の内容は商品ごとに確認する必要があります。

「無添加」の機能性表示食品はありますか

制度上、機能性表示食品であることと無添加であることは独立した基準なので、両方に該当する商品は存在します。ただし、それは商品ごとの原材料の選び方の結果であり、機能性表示食品だから無添加という決まりはありません。実際にヨーグルトのような発酵乳製品でも両方に当てはまる商品があります(ヨーグルト・乳製品の添加物)。

栄養機能食品にはどんな成分が対象になりますか

国があらかじめ規格基準を定めた栄養成分(ビタミン類、ミネラル類、脂肪酸など)が対象です。対象成分と基準値は消費者庁が定めており、この基準を満たせば事業者は届出や許可なしに機能を表示できます。

機能性表示食品で健康被害が疑われる場合はどうすればよいですか

自己判断で様子を見るのではなく、まず摂取を中止し、体調に異変があれば医療機関を受診してください。あわせて商品パッケージに記載の事業者の相談窓口に連絡することが勧められています。2024年の制度改正で、事業者は健康被害が疑われる情報を消費者庁長官等に報告することが義務化されています。

機能性表示食品の届出内容はどこで確認できますか

消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索データベースで、商品ごとの届出資料(科学的根拠、安全性の評価など)が公開されています。マークやキャッチコピーだけでなく、根拠まで確認したい場合はこのデータベースを参照する方法があります。

GMPの要件はもう適用されているのですか

適用されています。令和6年9月1日に施行され、経過措置期間を経て令和8年(2026年)9月1日から適用されました。対象は天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等の機能性表示食品で、GMP(適正製造規範)にもとづく製造工程管理が求められます。

健康被害が1件でも報告されるのですか

症例の程度によります。原則は「同じ所見の症例が概ね30日以内に2以上発生した場合」ですが、死亡事例や医師が重篤と判断した症例は1例でも情報提供することとされています。いずれも医師の診断を受けたものが対象で、その食品との因果関係が不明であっても提供されます。

まとめ

特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品は、審査の方式(国の個別許可、自己認証、事業者の届出)が異なる別々の制度です。2024年の紅麹問題を受けて、機能性表示食品は健康被害情報の報告義務化とGMPの要件化が進められました。いずれの制度も「無添加」表示とは別の基準で運用されており、機能性の表示があることと添加物の有無は無関係です。健康への働きと原材料の中身は、それぞれ別の欄で確認するのが確実です。

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出典 消費者庁「保健機能食品について」、消費者庁食品表示課「機能性表示食品の今後について」(令和6年8月)
/消費者庁・厚生労働省「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供の義務化について」(令和6年8月)/消費者庁「機能性表示食品制度に関する説明会」資料(2026年7月)/消費者庁食品表示課「機能性表示食品の今後について」(2024年9月版)の施行スケジュールで日付を再確認(2026年10月2日)

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