漬物・梅干しの着色料と保存料 昔ながらの製法との違い

無添加トリビア

漬物・梅干しの着色料と保存料 昔ながらの製法との違い

食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)では、塩漬けの梅を干しただけのものは「梅干」、それを砂糖類や食酢などに漬けたものは「調味梅干」と、名称を分けて表示します。パッケージの名称欄を見れば、塩だけで仕上げた梅干しか、調味したものかが分かるということです。

漬物や梅干しはもともと塩や酢を使った保存食ですが、市販品の原材料表示には着色料や保存料が並んでいることもあります。この記事では、名称と原材料表示の読み方、漬物に使われることがある添加物、2021年に始まった漬物製造業の営業許可制度を整理します。

梅干しは名称で3つに分かれる

梅漬け・梅干し・調味梅干しの名称の違いの図

漬物の表示は、以前は農林水産省の「農産物漬物品質表示基準」が定めていましたが、食品表示基準の施行に伴い廃止され、現在は食品表示基準(別表第3・別表第4)に引き継がれています。梅干しまわりの定義と名称は次のとおりです。

区分 定義(食品表示基準) 名称の表示
梅漬け 農産物塩漬け類のうち、梅の果実を漬けたもの、またはこれを梅酢などに漬けたもの(しその葉で巻いたものを含む) 梅漬(小梅は「小梅漬」)
梅干し 梅漬けを干したもの 梅干(小梅は「小梅干」)
調味梅干し 梅干しを砂糖類、食酢、梅酢、香辛料等(またはこれらに削りぶし等を加えたもの)に漬けたもの 調味梅干(小梅は「調味小梅干」)

「昔ながらの梅干し」と調味したものは、法的な区分が別です。漬物全体も、塩漬け類・酢漬け類・しょうゆ漬け類・ぬか漬け類・みそ漬け類など、何に漬けたかで定義が分かれています。

原材料名は、漬けた原材料(だいこん、なす、しそなど)を最も一般的な名称で書き、それ以外の漬け原材料を重量の割合の高い順に書きます。

漬物に使われることがある添加物

漬物に使われることがある主な添加物を、目的別にまとめました。いずれも食品衛生法施行規則の別表第1に載っている、使用が認められた添加物です。

カテゴリ 代表的な添加物 目的
保存料 安息香酸(塩類含む)、ソルビン酸(塩類含む)、デヒドロ酢酸ナトリウム カビや細菌などの発育を抑え、保存性をよくする
甘味料 サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム 甘味を与える
着色料 食用タール色素(食用赤色102号、食用黄色4号など12種類) 着色し、色調を調節する

食用タール色素の12種類は、食用赤色2号・3号・40号・102号・104号・105号・106号、食用黄色4号・5号、食用緑色3号、食用青色1号・2号です。このほか、うま味を補う調味料(アミノ酸等)や、とろみ・粘りを出すグァーガムなどの多糖類が使われることもあります。

添加物はどう表示されるか

原則として、食品に使用した添加物はすべて表示しなければなりません。使用できる添加物は、原則として内閣総理大臣が指定したもののほか既存添加物などに限られ、天然物か合成かは問いません。

添加物の用途 表示の書き方(食品表示基準)
保存料・甘味料・着色料 物質名と用途名を併記(例 保存料(ソルビン酸カリウム)、着色料(食用赤色102号))
調味料 一括名で表示(アミノ酸のみなら「調味料(アミノ酸)」)

使用基準(どの食品にどれだけ使えるか)は、食品衛生法第13条にもとづく規格基準として定められています。漬物ごとの上限値は、最新の情報を公式サイトでご確認ください(2026年10月5日確認)。

自治体が漬物の添加物検査の結果を公表している例もあります(京都市など)。検査件数や違反の有無といった数値は、各自治体の公式ページで確認してください。

漬物が保存食として成り立ってきた理由

漬物や梅干しが古くから保存食とされてきたのは、塩や酢を使う製法によるものと一般に説明されます。高い塩分で漬けて干す梅干しの伝統的な製法や、酢に漬ける酢漬けがその例です。冷凍による低温保存やレトルト・缶詰の加圧加熱殺菌とは異なる考え方です。

塩分を控えめにした商品では、保存性を補うために保存料が使われている場合もあります。ただし保存料の有無は商品ごとに違い、塩分との関係を公式資料で一律に示したものは本記事では確認していません。気になる場合は原材料表示と栄養成分表示の食塩相当量をあわせて見ます。

梅干しの赤い色と着色料の表示

赤い梅干しには、しそを一緒に漬けて色を付けたものと、着色料を使ったものがあります。しそを使った場合は、原材料欄に「しそ」として載ります。食用赤色102号などの着色料を使った場合は、「着色料(食用赤色102号)」のように用途名を併記して表示されます。色の濃さや均一さだけでは見分けられないため、原材料表示を見るのが確実です。

2021年6月に漬物製造業が営業許可の対象になった

添加物とは別の話ですが、漬物を取り巻く制度も変わりました。食品衛生法施行令の改正が2021年6月1日に施行され、漬物製造業が営業許可の必要な業種(営業の指定)に加わりました。許可は都道府県知事が行います。対象には、漬物を製造する営業のほか、漬物と併せて漬物を主原料とする食品を製造する営業も含まれます。

改正の時点ですでに営業していた事業者には経過措置があり、それが終わったのが2024年5月末です(厚生労働省の案内では期間終了日は2024年5月31日)。「2024年6月から許可が必要になった」と紹介されることがありますが、許可制の対象になったのは2021年6月で、2024年は経過措置が終わった年にあたります。

営業許可が必要になるのは「業として」製造・販売する場合です。家庭で漬けて自分や家族が食べる分は営業にあたりません。また、食品衛生法の営業の定義には、農業における食品の採取業は含まれません。施設の基準は、法律にもとづき都道府県が条例で定めます。直売所への出荷など個別のケースがどう扱われるかは、地域の保健所に確認してください。

選ぶときに確認したいポイント

名称欄で「梅干」か「調味梅干」かを見る 塩漬けの梅を干したものか、砂糖類や食酢などで調味したものかが分かります。「昔ながら」「無添加」といった言葉より具体的な手がかりです。

赤色の由来を確認する しそによる色付けか着色料かは、原材料表示で見分けられます。

保存料と食塩相当量をあわせて見る 保存料を使った場合は「保存料(○○)」と表示されます。塩分の高さは栄養成分表示の食塩相当量で分かるので、両方を見て選びます。

よくある質問

市販の漬物は保存料を使いすぎているのですか

保存料は食品衛生法にもとづく使用基準の範囲で使うことが認められ、使った場合は表示する義務があります。自治体が検査結果を公表している例もあるので、気になる場合は各自治体の公式ページを確認してください。

減塩の梅干しは添加物が多くなりやすいですか

保存性を補うために保存料を使う商品もありますが、一律にそうとは言えません。減塩の調味梅干しには砂糖類や調味料が加わることも多いので、名称欄と原材料表示をあわせて確認してください。

赤い梅干しは着色料を使っているということですか

必ずしもそうとは限りません。しそで色付けした場合は着色料に当たらず、原材料欄に「しそ」と記載されます。着色料を使った場合は「着色料(食用赤色102号)」のように表示されるので、原材料表示で見分けられます。

「梅干」と「調味梅干」は何が違いますか

食品表示基準では、梅漬けを干したものが「梅干」、梅干しを砂糖類・食酢・梅酢・香辛料等に漬けたものが「調味梅干」です。名称欄の表示で区別できます。

手作りの漬物にも保存料に相当する工夫は必要ですか

家庭の漬物は営業許可の対象外で、市販品のような表示の義務もありません。保存方法については公式資料で確認した具体的な目安が本記事にはないため、自治体や保健所が出している家庭向けの衛生情報を参考にしてください。

サッカリンなどの甘味料は安全なのですか

サッカリンナトリウムなどの甘味料は、食品衛生法施行規則の別表第1に載っている添加物で、使用基準の範囲内での使用が前提です。使った場合は「甘味料(サッカリンナトリウム)」のように表示されるので、気になる場合は原材料表示を見て選んでください。

直売所の手作り漬物は今も買えますか

漬物を業として製造して販売するには営業許可が必要です。漬物製造業は2021年6月1日施行の改正で許可業種になり、既存事業者の経過措置も2024年5月末で終わっています。許可を取得した事業者の漬物は販売できます。

自分で漬けた漬物を人にあげるのも許可が必要ですか

営業許可が必要になるのは「業として」製造・販売する場合です。家庭で漬けて自分や家族が食べる分は対象になりません。販売や提供が営業にあたるかどうかは個別の事情によるため、直売所やイベントでの提供を考えている場合は、地域の保健所に確認するのが確実です。

まとめ

梅干しは食品表示基準で「梅干」と「調味梅干」に名称が分かれ、パッケージの名称欄から塩漬けを干したものか調味したものかが分かります。保存料・甘味料・着色料は使用基準の範囲で使うことが認められ、使った場合は用途名を併記して表示されます。漬物製造業は2021年6月から営業許可の対象で、2024年5月末に既存事業者の経過措置が終わりました。「無添加」「昔ながら」といった言葉だけで判断せず、名称と原材料表示を見て選んでください。この記事は公開されている法令・公式資料にもとづく整理です。

あわせて読みたい

出典

  • 内閣府(消費者庁)「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」e-Gov法令データ(別表第3・別表第4・別表第6・別表第7・附則第2条) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/427M60000002010 (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「食品衛生法施行令」(昭和28年政令第229号)第35条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/328CO0000000229 (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「食品衛生法施行令」改正履歴 https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_revisions/328CO0000000229 (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「食品衛生法」(昭和22年法律第233号)第4条・第12条・第13条・第54条・第55条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000233 (確認日 2026年10月4日)
  • e-Gov法令「食品衛生法施行規則」別表第1 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/323M40000100023 (確認日 2026年10月4日)
  • 消費者庁「食品添加物 その他(消費者向け情報)Q&A」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/qa_consumers (確認日 2026年10月4日)
  • 日本食品添加物協会「食品添加物の種類と用途例」 https://www.jafaa.or.jp/tenkabutsu01/siryou (確認日 2026年10月4日)
  • 厚生労働省「食品衛生法の改正による経過措置期間が終了します」 https://www.mhlw.go.jp/content/001206635.pdf (確認日 2026年10月5日)

-無添加トリビア