シャンプーは化粧品? 医薬部外品との違いと「無添加」表示

無添加ヘアケア

シャンプーは化粧品? 医薬部外品との違いと「無添加」表示

「フケ、カユミを抑える」は、薬用でない普通のシャンプーでも表示できる効能です。厚生労働省の通知が化粧品の効能として定める56項目のうち、(11)「フケ、カユミがとれる」と(12)「フケ、カユミを抑える」がこれにあたります。一方、「ふけ・かゆみを防ぐ」は、平成26年5月2日の厚生労働省通知が示す薬用シャンプー(医薬部外品)の効能の範囲に入る表現です。似た言葉でも、どちらの区分の製品かで書ける内容が変わります。

この記事では、シャンプーが薬機法上どう分類され、それぞれで何が違うのかを、厚生労働省の通知や業界団体の資料など公開情報にもとづいて整理します。

この記事はシャンプーの化粧品と医薬部外品の区分についての解説であり、製品の効能効果を保証するものではありません。肌に合う・合わないには個人差があります。使用中に赤み・かゆみなどの異常を感じた場合は直ちに使用を中止し、皮膚科医に相談してください。

シャンプーは「化粧品」と「医薬部外品」の2区分

医薬品・医薬部外品(育毛剤・薬用シャンプー)・化粧品の区分とうたえる範囲の図

入浴剤には医薬部外品・化粧品・雑貨の3区分がありましたが、シャンプーは基本的に化粧品と医薬部外品のいずれかに分類されます。薬機法は、化粧品を「人体に対する作用が緩和なもの」で、身体を清潔にしたり皮膚や毛髪を健やかに保ったりする目的のものと定めています。医薬部外品には「医薬部外品」の文字の表示が求められるため、パッケージに「医薬部外品」や「薬用」とあれば医薬部外品、なければ化粧品と見分けられます。

区分 うたえる効能効果 成分表示
医薬部外品(薬用シャンプー) 承認された有効成分にもとづく範囲(ふけ・かゆみを防ぐ、毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ、毛髪・頭皮を清浄にする 等) 薬機法は厚生労働大臣の指定する医薬部外品に有効成分の名称と分量の記載を求めている。全成分は日本化粧品工業会の自主基準(平成18年4月1日から実施)で表示
化粧品(一般シャンプー) 化粧品の効能56項目のうち、頭皮・毛髪に関する16項目の範囲内 日本化粧品工業会は「薬機法に基づく化粧品の全成分表示」と説明している

化粧品のシャンプーでうたえる16項目

化粧品がうたえる効能は、昭和36年2月8日付け薬発第44号の別表第1で定められたリストの範囲に限られます。このリストは平成12年に改正され、平成23年7月21日付け薬食発0721第1号で「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする」の1項が加わって56項目になりました。このうち頭皮・毛髪に関するものが次の16項目で、平成23年の追加による変更はありません。

  • 頭皮、毛髪を清浄にする
  • 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
  • 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
  • 毛髪にはり、こしを与える
  • 頭皮、毛髪にうるおいを与える
  • 頭皮、毛髪のうるおいを保つ
  • 毛髪をしなやかにする
  • クシどおりをよくする
  • 毛髪のつやを保つ
  • 毛髪につやを与える
  • フケ、カユミがとれる
  • フケ、カユミを抑える
  • 毛髪の水分、油分を補い保つ
  • 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
  • 髪型を整え、保持する
  • 毛髪の帯電を防止する

注目したいのは、「フケ、カユミがとれる」「フケ、カユミを抑える」が化粧品でも表示できることです。ふけ・かゆみに触れていれば薬用シャンプー、というわけではありません。逆に、この16項目を超える表現(頭皮の炎症を治す、ふけを防ぐ、といった言い方)が化粧品に出てきたら、区分に照らして正確かどうかを確かめたほうがよい、という読み方ができます。なお化粧品の効能は、実際の効能に見合うことを製造販売業者の責任で確認するものとされています。

薬用シャンプーの有効成分は平成26年の留意事項で示されている

医薬部外品の薬用シャンプーは、承認を受けた有効成分を配合し、その成分にもとづいた効能を表示できる点が化粧品と違います。かつては「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日付け薬食審査発第1225001号)にシャンプーとリンスの項がありましたが、この2つの項は平成26年5月2日付け薬食審査発0502第1号「薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について」で削除されました。現在はこの留意事項が基準になっています。

留意事項は、薬用シャンプーを「毛髪・頭皮を清浄にする等のために用いられるもの」、用法を洗髪後に水またはお湯で洗い流すものとし、効能の範囲に「ふけ・かゆみを防ぐ」「毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ」「毛髪・頭皮を清浄にする」などを挙げています。有効成分と配合量の組合せは、シャンプーが別表1に9通り、リンスが別表2に7通り示されています。別表1から主なものを抜き出すと次のとおりです。

有効成分(別表1より抜粋) 配合量(%)
イソプロピルメチルフェノール 0.2
塩化ベンザルコニウム液(50%) 2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1〜0.15
サリチル酸 0.1〜2
ピリチオン亜鉛水性懸濁液(50%) 0.8〜1.6

表は9通りのうち5通りの抜粋で、残りの組合せと薬用リンスの別表2は留意事項の原文で確認できます。留意事項の範囲外の成分や配合量で申請する場合は、承認前例を示す資料か、有効性・安全性等についての必要な資料の提出が求められ、それにもとづいて審査されます。「薬用」の二文字の裏側には、こうした品目ごとの承認の手続きがあります。

医薬部外品の全成分表示は業界の自主基準

薬機法第59条が有効成分の名称と分量の記載を求めているのは、厚生労働大臣の指定する医薬部外品です。全成分については、日本化粧品工業連合会(粧工会)が平成18年3月10日の基本方針で、腋臭防止剤、てんか粉類、育毛剤(養毛剤)、除毛剤、薬用化粧品(薬用石けんを除く)、忌避剤の6種類の医薬部外品を対象に、平成18年4月1日から自主基準として全成分表示を始めました(猶予期間2年間)。表示する範囲は、原則として承認書に記載された全成分です。薬用シャンプーは「薬用化粧品」にあたるため、自主基準にもとづいて全成分が表示されているのが実態です。

化粧品も医薬部外品(薬用化粧品)も、全成分表示を確認できるのが実態です。両者の違いは表示の根拠が法律か業界の自主基準かという点で、「成分が分かるかどうか」ではありません。ただし薬用石鹸は日本化粧品工業会の対象に含まれず、日本石鹸洗剤工業会が別の自主基準(平成18年4月から実施、猶予期間2年間)で全成分表示を行っています。自主基準の担い手が品目ごとに違う点は押さえておきたいところです。

育毛剤・発毛剤との違いは区分そのもの

同じ頭皮ケアでも、育毛剤はシャンプーとは別の品目です。薬機法は医薬部外品の目的の1つに「脱毛の防止、育毛又は除毛」を挙げており、育毛剤(養毛剤)はこれにもとづく医薬部外品の一類型です。日本化粧品工業会の自主基準でも、育毛剤は薬用化粧品とは別の種類として扱われています。育毛剤がうたえる効能の具体的な範囲は、個々の製品の承認内容(パッケージの効能・効果の表示)で確かめてください。

さらにその上には医薬品があります。発毛をうたう外用ミノキシジル製剤は一般用医薬品として販売されており、たとえば大正製薬のリアップは公式サイトで第1類医薬品と案内されています(2026年10月5日確認)。薬機法上、第1類医薬品は薬剤師が販売し、適正な使用のための情報提供を行う区分です。

区分 製品の例 うたえる範囲
医薬品(一般用医薬品) 外用ミノキシジル製剤(例 リアップ、第1類医薬品) 承認された発毛等の効能
医薬部外品(育毛剤) マイナチュレ、チャップアップ 等(区分は各公式サイトで確認) 承認内容の範囲(育毛、脱毛の予防 等)
医薬部外品(薬用シャンプー) 薬用と表示されたシャンプー 平成26年の留意事項にもとづく範囲(ふけ・かゆみを防ぐ 等)
化粧品(一般シャンプー) 薬用表示のないシャンプー 頭皮・毛髪に関する16項目

洗浄と育毛の両方をうたう製品もありますが、その場合はどの区分で承認を受けているのか、成分・承認内容を個別に確認する必要があります。

選ぶときに確認したいポイント

  • パッケージに「医薬部外品」「薬用」と書かれているかで、化粧品か医薬部外品かを判別する
  • 効能の表示が、化粧品なら16項目、医薬部外品なら承認内容の範囲に収まっているかを見る
  • 「ふけを防ぐ」と書いてあるのに医薬部外品の表示がない場合は、区分を確かめる
  • 成分を具体的に確認したい場合、化粧品・薬用シャンプーとも全成分表示を確認する
  • 「無添加」の対象成分(シリコン、パラベン、合成香料、合成着色料など)が何を指しているか、公式サイトで具体的に確認する
  • ふけ・かゆみ等の症状目的なら医薬部外品、それ以外なら化粧品、と用途で選び分ける
  • 抜け毛・薄毛が悩みの中心なら、シャンプーではなく育毛剤・発毛剤という別の区分の製品を検討する
  • 頭皮に合わないと感じたら使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科に相談する

よくある質問

「薬用」と書かれていないシャンプーは効果が弱い?

効果の強さを法律が保証しているわけではありません。「薬用」表示の有無は、うたえる効能効果の範囲がどの基準で決まるかの違いであり、洗浄力や使用感そのものの優劣を示すものではありません。

「フケ・カユミを抑える」と書いてあれば薬用シャンプー?

そうとは限りません。化粧品の効能の範囲にも「フケ、カユミがとれる」「フケ、カユミを抑える」が含まれているため、化粧品区分のシャンプーでも表示できます。区分を見分けるには「薬用」「医薬部外品」の表示を確認するのが確実です。

「ふけを防ぐ」は化粧品のシャンプーでも書ける?

「ふけ・かゆみを防ぐ」は、平成26年の留意事項が薬用シャンプーの効能の範囲として挙げている表現です。化粧品の16項目にあるのは「フケ、カユミがとれる」「フケ、カユミを抑える」で、「防ぐ」は含まれていません。

医薬部外品のシャンプーは全成分が分からない?

薬用シャンプーは日本化粧品工業会の自主基準の対象(薬用化粧品)にあたるため、パッケージや公式サイトで全成分が表示されているのが一般的です。念のため確認したい場合は、パッケージの成分表示欄または公式サイトの成分一覧ページをチェックしてください。

「ノンシリコン」表示に法律上のルールはある?

「ノンシリコン」自体に法律上の定義はありません。全成分表示があれば、成分一覧でシリコン系成分(ジメチコン等)が含まれていないかを確認できます。

シャンプーと育毛剤を併用してもいい?

製品によって想定される使い方が異なるため、公式サイトや説明書の使用方法を確認してください。頭皮の状態が気になる場合は、自己判断で併用を続けず皮膚科・医師に相談することをおすすめします。

育毛剤と発毛剤は何が違う?

法律上の区分が違います。育毛剤は薬機法上「脱毛の防止、育毛」を目的とする医薬部外品で、承認内容の範囲で効能を表示します。発毛をうたう外用ミノキシジル製剤は一般用医薬品で、大正製薬のリアップは第1類医薬品です(2026年10月5日確認)。第1類医薬品は薬剤師が販売し情報提供を行う区分です。同じ売り場に並んでいても制度上の位置づけが異なります。

薬用シャンプーの有効成分はどこで調べられる?

製品のパッケージで有効成分の名称を確認できます。制度全体としての基準は、厚生労働省の「薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について」(平成26年5月2日付け薬食審査発0502第1号)の別表1に、有効成分と配合量の組合せが示されています。以前の「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト」のシャンプー・リンスの項は、この通知で削除されています。

薬用リンスにも基準はある?

あります。同じ平成26年の留意事項が薬用リンスも対象にしており、有効成分と配合量の組合せを別表2に7通り示しています。効能の範囲には「毛髪の水分・脂肪を補い保つ」「裂毛・切毛・枝毛を防ぐ」などが含まれます。

「無添加シャンプー」と「オーガニックシャンプー」は同じ意味?

同じではありません。「無添加」は特定成分を配合していないことを指す表示で、「オーガニック」は原料の栽培方法等に関わる表示です。化粧品のオーガニック認証についてはこちらの記事で解説しています。

まとめ

シャンプーは「医薬部外品」「薬用」表示の有無で医薬部外品と化粧品に分かれます。化粧品でも頭皮・毛髪に関する16項目は表示でき、「フケ、カユミを抑える」もそこに含まれるため、ふけ・かゆみの表示だけで区分は判断できません。薬用シャンプーは平成26年5月2日の留意事項にもとづく有効成分と効能(「ふけ・かゆみを防ぐ」等)を表示でき、全成分は業界の自主基準で表示されています。化粧品は効能が16項目に限られ、全成分を表示します。抜け毛・薄毛が悩みの中心なら、シャンプーの区分とは別に育毛剤(医薬部外品)・発毛剤(医薬品)という選択肢があることも踏まえて選んでください。

無添加ヘアケア全体の比較はこちらの記事、同じ医薬部外品でも成分表示の事情が違う例は石鹸の法律上の分類と制汗剤・デオドラントの法律上の分類、カテゴリ別の「無添加」表示の法的根拠はこちらの早見表もあわせてどうぞ。

出典(いずれも2026年10月4日確認)

  • e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
  • 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日薬食発0721第1号)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/kesyouhin_hanni_20111.pdf
  • 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日薬食審査発0721第1号ほか)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/kesyouhin_hanni_20112.pdf
  • 厚生労働省「薬用シャンプー及び薬用リンスの承認審査に係る留意事項について」(平成26年5月2日薬食審査発0502第1号)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/yakuyous_syounin.pdf
  • 厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(平成20年12月25日薬食審査発第1225001号)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/yakuyou_kounou_1.pdf
  • 日本化粧品工業会「医薬部外品の成分表示の趣旨説明」https://www.jcia.org/user/business/ingredients/drugexplain
  • 日本化粧品工業連合会「医薬部外品の成分表示に係る日本化粧品工業連合会の基本方針」(平成18年3月10日)https://www.jcia.org/user/common/download/business/ingredients/drugexplain/qdlnplan.pdf
  • 日本化粧品工業会「化粧品の成分表示の趣旨説明」https://www.jcia.org/user/business/ingredients/cmtexplain
  • 日本石鹸洗剤工業会「薬用石けんの表示自主基準」https://jsda.org/w/01_katud/a_sekken30.html
  • 大正製薬「リアップ」公式ブランドサイト(2026年10月5日確認)https://brand.taisho.co.jp/riup/

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