歯磨き粉の化粧品と医薬部外品の2区分の違いを示した図

無添加トリビア

歯磨き粉は化粧品? 医薬部外品との違いとフッ素配合、『無添加』表示

歯磨き粉にも「無添加」「フッ素不使用」といった表示のほか、パッケージに小さく「医薬部外品」と書かれているものと書かれていないものがあります。シャンプーや日焼け止めと同じ薬機法の枠組みですが、歯磨き粉の場合は「フッ素を配合できるかどうか」という点で区分の違いがはっきり法令に書かれています。この記事では厚生労働省の告示・通知にもとづいて整理します。

歯磨き粉は「化粧品」と「医薬部外品」の2区分

歯磨き粉も、厚生労働省が承認した有効成分を配合しているかどうかで、化粧品と医薬部外品に分かれます。パッケージに「医薬部外品」と表示する義務があるのは医薬部外品側で、化粧品側は「化粧品」と表示するか、無表示のことが多いという違いがあります。

区分 うたえる効能効果 フッ素(無機フッ素化合物) 成分表示の義務
医薬部外品(薬用歯みがき類) 歯槽膿漏の予防、歯齦(歯肉)炎の予防、むし歯の発生及び進行の予防など、承認された範囲内 配合できる(濃度の規定あり) 有効成分の名称・分量のみ表示義務(全成分表示は義務ではない)
化粧品(歯みがき類) ムシ歯を防ぐ、歯を白くする、歯垢を除去する、口中を浄化する、口臭を防ぐ、歯のやにを取る、歯石の沈着を防ぐ 配合できない(化粧品基準で配合禁止) 全成分表示が薬機法上の義務

現在、市販されている歯磨き粉の主流は医薬部外品の「薬用歯みがき」です。むし歯予防や歯周病予防をうたう歯磨き粉のほとんどはこの区分にあたります。

化粧品の歯みがきでも7つの効能をうたえる

「化粧品の歯磨き粉は、歯を磨いて汚れを落とすだけ」と説明されることがありますが、制度上はもう少し広い範囲が認められています。化粧品がうたえる効能は、昭和36年の通知で定められ、平成23年7月21日付け薬食発0721第1号で56項目に整理されたリストの範囲内に限られますが、このうち歯・口腔に関するものとして次の7項目が並んでいます。

  • ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
  • 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
  • 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
  • 口中を浄化する(歯みがき類)
  • 口臭を防ぐ(歯みがき類)
  • 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
  • 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

化粧品区分の歯みがきでも「ムシ歯を防ぐ」「歯を白くする」と表示できる、というのがここでの要点です。ただし括弧書きのとおり、多くは「使用時にブラッシングを行う歯みがき類」という条件つきで、ブラッシングという物理的な行為とセットで認められた効能です。

当サイトでは以前、この記事で「化粧品はむし歯予防を表示できない」と説明していましたが、化粧品の効能の範囲(別表第1)を確認したところ「ムシ歯を防ぐ」は化粧品でも認められている項目でした。2026年9月20日に記事を訂正しています。

では医薬部外品との違いはどこにあるのか

化粧品でも7項目をうたえるとなると、医薬部外品との線引きが気になります。薬事法の施行通知(昭和36年2月8日付け薬発第44号)は、医薬部外品の薬用歯みがき類について、効能または効果の範囲を「歯槽膿漏の予防、歯齦(歯肉)炎の予防、むし歯の発生及び進行の予防」としています。同じ通知には、成分としてフッ化ナトリウム、クロロフィリン誘導体、沈降炭酸カルシウム、ヒノキチオール、尿素、炭酸ナトリウム、ステアリルアルコールなどの名称が挙げられています。

うたえること 化粧品 医薬部外品
むし歯に関する表示 「ムシ歯を防ぐ」(ブラッシングを行う歯みがき類) 「むし歯の発生及び進行の予防」(承認された有効成分にもとづく)
歯周病に関する表示 できない 「歯槽膿漏の予防」「歯齦(歯肉)炎の予防」
口臭・歯石・着色 「口臭を防ぐ」「歯石の沈着を防ぐ」「歯のやにを取る」 承認された有効成分にもとづく範囲

つまり、はっきり医薬部外品でなければ表示できないのは歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)の予防の部分です。むし歯や口臭については、文言としては化粧品でも似たことが言えますが、医薬部外品は承認された有効成分の働きを根拠にしているという違いがあります。

医薬部外品の効能の細目は、現在は厚生労働省の「薬用歯みがき類製造販売承認基準」(令和3年6月28日付け薬生発0628第13号、令和3年7月1日以降の承認申請に適用)に定められています。上で触れた昭和36年の通知が示す3項目より範囲が広く、ブラッシングを行うものでは次の11項目から目的に応じて設定します。このうち、対応する有効成分を1成分以上配合しなければならないとされているものと、そうした指定が表にないものがあります。

効能(ブラッシングを行うもの) 対応する有効成分の指定
歯周炎(歯槽膿漏)の予防 あり
歯肉(齦)炎の予防 あり
歯石の形成及び沈着を防ぐ あり
むし歯の発生及び進行の予防 あり(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなど)
口臭又はその発生の防止 あり
タバコのやに除去 あり
歯がしみるのを防ぐ あり(硝酸カリウム)
歯を白くする 表に指定なし
口中を浄化する 表に指定なし
口中を爽快にする 表に指定なし
むし歯を防ぐ 表に指定なし(「むし歯の発生及び進行の予防」とは二者択一)

「口に含みすすいで、吐き出した後ブラッシングを行うもの」は歯周炎・歯肉炎の予防、むし歯の発生及び進行の予防、口臭の防止、歯を白くする、口中の浄化・爽快などが、洗口のみを行うものは口臭又はその発生の防止、口中を浄化する、口中を爽快にするの3項目が設定の範囲です。基準に適合しない薬用歯みがき類は、承認前例を示す資料や有効性・安全性の資料をもとに個別に審査されます。

フッ素は、そもそも化粧品には配合できない

歯磨き粉の区分でいちばん実質的な差が出るのがフッ素です。化粧品に配合してよい成分・いけない成分を定めた化粧品基準(平成12年9月29日厚生省告示第331号)の別表第1には、化粧品に配合してはならない成分が列挙されており、その24番に「フッ素化合物のうち無機化合物」が挙げられています。歯磨き粉に使われるフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムは無機のフッ素化合物ですから、化粧品区分の歯みがきには配合できません。

この結果として、市販されているフッ素配合の歯磨き粉は、例外なく医薬部外品ということになります。「フッ素不使用」を無添加の切り口としてうたう製品の多くが化粧品区分にあたるのも、裏を返せば同じ理由です。「フッ素入りかどうか」と「医薬部外品かどうか」は、歯磨き粉においてはほぼ連動しています。

医薬部外品の側にも条件があります。薬用歯みがき類製造販売承認基準の別表では、フッ化ナトリウムの配合は0.02〜0.21%、モノフルオロリン酸ナトリウムは0.07〜0.76%とされ、いずれも液体の剤形には配合できず、フッ素化合物を配合する場合の濃度はフッ素として1000ppm以下と注記されています。

フッ素濃度の上限と、6歳未満に関する表示ルール

フッ素を配合できる医薬部外品の側にも、濃度と表示のルールがあります。国内では長く1000ppm(0.10%)が上限でしたが、2017年にこれを超える製品が承認され、上限が1500ppmまで広がりました。これにあわせて厚生労働省は平成29年3月17日付け薬生薬審発0317第1号・薬生安発0317第1号「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」を通知し、フッ素として1000ppmを超える製品について次の対応を求めています。

  • 6歳未満の子供には使用を控える旨を、直接の容器および外部の被包に記載する
  • 6歳未満の子供の手の届かない所に保管する旨を記載する(記載スペースが十分でない場合は省略可)
  • フッ素濃度を直接の容器等に記載する
  • これらの注意表示は、他の注意表示に比べて目立つように表示する(令和2年の改正で追加)

この通知は令和2年8月18日付けで一部改正され、注意表示を「他の注意表示に比べて目立つように表示すること」とする項目が新設されました。すでに承認を取得している品目は、遅くとも令和4年8月末を目途にできるだけ速やかに対応することとされています。改正通知に添付された日本歯磨工業会の自主基準(第二版、令和2年8月18日付)は、フッ素の配合量が1000ppmを超え1500ppm以下の製品を対象に、強調は下線・枠囲み・太字・文字を大きくする・文字色や背景色を変える、などの方法から2項目以上を用いること、フッ素濃度は50ppm(0.005%)単位で丸めた値で表示することを定めています(1425ppm以上1475ppm未満なら1450ppm)。市販品で「1450ppm」という中途半端に見える数字をよく見かけるのは、この丸め方のルールによるものです。

高濃度フッ素の製品は6歳未満には使用を控える旨が表示されています。子ども用として売られている製品と、大人向けの高濃度製品は分けて考え、パッケージの年齢に関する注意表示とフッ素濃度の数字を必ず確認してください。無添加かどうかという話とは別の、安全のための表示です。

成分表示は化粧品のほうが確認しやすい

成分表示について、医薬部外品の法律上の義務は有効成分の名称と分量だけで、それ以外の成分をすべて表示する義務はありません。化粧品であれば全成分表示が薬機法にもとづく義務ですから、「無添加」が何を指しているかを成分表で確かめたい場合、化粧品区分のほうが表示の裏付けが強いことになります。

ただし実態としては、医薬部外品の歯みがきでも全成分を記載している製品が少なくありません。これは法律ではなく業界の取り組みによるもので、確実に確認したい場合は公式サイトの製品情報ページも合わせて見ることになります。なお、同じ医薬部外品でも制汗剤・デオドラント(腋臭防止剤)は日本化粧品工業会の自主基準で全成分表示の対象とされている一方、薬用石鹸は日本石鹸洗剤工業会の別の自主基準で全成分表示が行われているなど、品目ごとに事情が違います。

「無添加」の歯磨き粉でよく見かける「フッ素不使用」「研磨剤フリー」「発泡剤フリー」といった表示は、薬機法が定めた用語ではなく、各メーカーが何を配合していないかを独自に説明しているものです。区分(医薬部外品か化粧品か)とは別に、成分表示欄で個別に確認する必要があります。

「無添加」の歯磨き粉を見るときに確認したい視点

  • 医薬部外品か化粧品か(パッケージの「医薬部外品」表示の有無)
  • フッ素を配合しているか。配合されていれば医薬部外品で、濃度の表示があるはず
  • フッ素濃度が1000ppmを超える製品かどうか。超える場合は6歳未満に関する注意表示がある
  • 歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)の予防をうたっているか。うたっていれば医薬部外品
  • 「無添加」の中身が何を指しているか(フッ素・研磨剤・発泡剤・香料・防腐剤など、成分表示欄で個別に確認)
  • 化粧品区分の製品なら全成分表示が義務なので、成分表をそのまま読める

よくある質問

フッ素不使用の歯磨き粉は「ムシ歯を防ぐ」と書けない?

書ける場合があります。化粧品の効能の範囲には「ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)」が含まれているためです。ただしこれはブラッシングとセットで認められた効能であり、フッ素による予防とは根拠が異なります。フッ素によるむし歯予防を重視する場合は、医薬部外品でフッ素濃度を確認することになります。

化粧品の歯磨き粉にフッ素が入っていることはある?

ありません。化粧品基準(平成12年9月29日厚生省告示第331号)の別表第1で「フッ素化合物のうち無機化合物」が配合禁止成分として挙げられているためです。フッ化ナトリウム等を配合した歯磨き粉は医薬部外品として承認されたものになります。

医薬部外品の歯磨き粉は全成分を確認できる?

法律上の表示義務は有効成分の名称・分量のみです。実際には全成分を記載している製品も多いのですが、それは業界の取り組みによるもので、法的な義務ではありません。確実に確認したい場合は公式サイトの製品情報等をあわせて見る必要があります。

「研磨剤フリー」「発泡剤フリー」も区分と関係がある?

直接の関係はありません。研磨剤・発泡剤の有無は化粧品・医薬部外品どちらの区分でもメーカーの処方次第です。ただし化粧品の効能のうち「歯を白くする」「歯垢を除去する」「歯のやにを取る」は、いずれもブラッシングを行う歯みがき類という条件がついている点は押さえておくとよいでしょう。

子ども用歯磨き粉もこの2区分?

子ども用歯磨き粉も同じ薬機法上の枠組みで、医薬部外品と化粧品に分かれます。フッ素濃度が1000ppmを超える製品には6歳未満の子供には使用を控える旨の表示が求められているため、低年齢向けはフッ素濃度を抑えた医薬部外品や、フッ素を含まない化粧品区分の製品が選ばれる形になります。

「歯を白くする」表示は医薬部外品でないと使えない?

化粧品でも使えます。化粧品の効能の範囲に「歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)」が含まれているためです。ただし、これは歯の表面の汚れを落とすことによるもので、歯そのものの色を漂白する行為(歯科医院で行うホワイトニング)とは別のものです。なお「歯を白くする」は医薬部外品の承認基準にも効能として入っているため、化粧品だけに認められた表現ではありません。

「1450ppm」という表示をよく見るのはなぜ?

1000ppmを超え1500ppm以下の製品については、50ppm単位で丸めた値を表示することが、令和2年8月18日付けの改正通知に添付された日本歯磨工業会の自主基準(第二版)に書かれているためです。この自主基準が対象とするのは1500ppm以下の製品で、1500ppmを超える製品の取り扱いは通知にも自主基準にも示されていません。

歯周病予防をうたう歯磨き粉は必ず医薬部外品?

はい。歯槽膿漏の予防・歯齦(歯肉)炎の予防は医薬部外品の薬用歯みがき類の効能の範囲とされており、化粧品の効能56項目には含まれていません。歯周病に関する表示があれば医薬部外品と考えてよいことになります。

液体の洗口液・デンタルリンスも同じ区分?

洗口液・デンタルリンスにも化粧品区分と医薬部外品区分があります。ただし化粧品の効能のうち「口中を浄化する」「口臭を防ぐ」は歯みがき類全般が対象である一方、「ムシ歯を防ぐ」「歯を白くする」等はブラッシングを行うものに限られています。フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意の通知も、対象からは液体の剤形が除かれています。医薬部外品で洗口のみを行うものが設定できる効能は、口臭又はその発生の防止、口中を浄化する、口中を爽快にするの3項目です。

まとめ

歯磨き粉の区分で決定的なのはフッ素です。化粧品基準で無機のフッ素化合物が配合禁止とされているため、フッ素配合の歯磨き粉は必ず医薬部外品になります。一方、化粧品の歯みがきでも「ムシ歯を防ぐ」「歯を白くする」「口臭を防ぐ」など7項目の効能はうたえるので、「化粧品は汚れを落とすだけ」というのは正確ではありません。医薬部外品でなければ表示できないのは歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)の予防です。「無添加」「フッ素不使用」といった表示を見るときは、まず区分を確認し、フッ素濃度と年齢に関する注意表示、そして何を配合していない商品なのかを成分表示欄で個別に確認するのが確実です。

出典(原文の確認日 2026年10月3日) 医薬品医療機器等法(薬機法)/厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日厚生省告示第331号)別表第1/厚生労働省「薬用歯みがき類製造販売承認基準について」(令和3年6月28日付け薬生発0628第13号)/厚生労働省「薬事法の施行について」(昭和36年2月8日付け薬発第44号)の医薬部外品の範囲および化粧品の効能の範囲(別表第1)/厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日付け薬食発0721第1号)/厚生労働省「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」(平成29年3月17日付け薬生薬審発0317第1号・薬生安発0317第1号)および令和2年8月18日付け一部改正通知(日本歯磨工業会の自主基準第二版を含む)

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